この指とまれ

この指とまれ 30

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この指とまれ

第30話

 

 

side nino

俺が風呂場の脱衣所のドアを開けると、一糸纏わず素っ裸の二人がビショ濡れで立っていた。

「あっ、パパ―ッ!」
「えっ、何でニノが居るの?」
「こっ、こっち来なさい、かずゆき。」

慌てて大野さんにバスタオルを渡し、もう一枚のバスタオルで和幸の身体を包んだ。
そして俺はなるべく大野さんから目を逸らした。

「何でって、ここは俺の家ですから。」
「合コン行ってたんじゃなかったの?」
「行ってきましたよ。・・・そんなことより早く服着て下さい。」
「あ、うん・・・」

普段服着てるから気付かなかったけど、大野さんって見た目華奢だけど
意外と筋肉質で男らしい体つきしてる。
同性の裸見てここまでドキドキするなんて自分でも信じられない。
俺としたことが何考えてるんだ?まだ少し酔いが残ってる?
いかんいかんと頭を左右に振って邪念を払い除ける。
大急ぎでかずゆきに服を着さして抱き上げると
俺はその場から逃げる様に立ち去った。

数分後に風呂から上がった大野さんがリビングに戻って来た。

「大野さん、有難うね。カズ君は私とじゃお風呂何時も嫌がるからホント助かったわ。」
「いえいえ。お安い御用ですよ。」
「ほらっ、カズ、あんたボーッとしてないで大野さんにビールでもお出ししなさい。」
「え?あ、うん・・・」
「あ、イイですよ。もうホントお気遣いなく。」
「どうせ明日お休みなんでしょ?ゆっくりしてってよ。」

俺は冷蔵庫から缶ビールを取り出すと、大野さんに手渡した。

「ハイ、どうぞ。」
「で、でも・・・」
「遠慮しないでいいですよ。丁度俺も飲み足りなかったし。」
「そ、それじゃ遠慮なく。」

かずゆきは大野さんの胡坐の上に当たり前のような顔で座ってて
これじゃどっちが本当の父親だか分かんないって感じ。

「ちょれ、かじゅもほしい・・・」
「ええっ?ダメだよ。これビールだよ?」
「母さん、かずゆきのジュース取ってあげて。」
「いやいや、ちょれがいいの。」
「カズ君はもっと大きくなってからね。」
「ホント、かずゆきはあなたの子供みたい。」
「そっかぁ。カズ君?おいちゃんちの子になるか?」
「うんっ、おいたんちの・・・になるっ。」
「あーあ、知んないですよ。子供だからってそんないい加減な事言ったら
本気にしますからね。」
「んふふふ・・・マジか。それじゃおいらも真剣に考えないとな。」
「えっ・・・?」

大野さんが真顔でそういう事を言うものだから
冗談に聞こえなくてちょっとだけ焦って持ってたビールを一気に喉に流し込んだ。

「さぁ、カズはそろそろ寝る時間よ。」

嫌がる和幸を母さんが無理矢理大野さんから引き離して
寝室に連れてった。

「じゃ、そろそろおいらも帰るわ。」
「え?もう?あ、俺・・・送って行きますよ。」
「えええ?いいよ。直ぐそこだし。女の子じゃないんだから。」
「ちょっと歩きたい気分なんです。」
「そうなんだ?」

何て言うか、大野さんが家に来てたのは最初驚いたけど
俺はちょっと嬉しかった。
会社で見せる顔とかずゆきに見せる表情は全然違ってて
俺は和幸と居る大野さんの事が好きだから
正直言うとまだもう少し一緒に居たかった。
俺の自宅と大野さんの家まで歩いて10分掛からない距離。
何か話さないといけないけど、菊池君の事とかで
この頃ちょっと意固地になってまともに話をしてなかったものだから
まだお互いに何だか気まずい感じではあった。
あの先の角を曲がると大野さんのアパートが見えて来る。
どうしよう?何か話さないと・・・

「聞かないんですか?」
「えっ?」
「今日の合コンのこと・・・」
「は?な、何で?」
「別に俺の合コンなんて興味無いか・・・あははっ・・・
あなたにはもう菊池君って子が居ますもんね。」

言ってて何だか虚しくなった。

「ニ、ニノ?」

大野さんが心配そうに俺の顔を覗き込んだ。

「俺何言ってんだろ。あっ、今の聞かなかった事にして下さい。そ、それじゃ俺はこれで・・・」

まともに目を見たら、きっと泣きそうになるから視線を逸らしながら
反対方向に走り出したら、何故か大野さんも俺の後を追ってきた。
直ぐに大野さんに追いつかれ、右肩を捕まえられた。

「ま、待てよ。どうして逃げんの?」
「逃げてなんていません。」
「逃げてるじゃん。あのさ、時間は有るよね?明日休みだし
おばあちゃんがカズ君見てくれてるし。」
「え?」
「ちょっとうちで飲み直そうよ。」
「はっ?」
「いいから、来な。」
「えっ?ちょっと・・・あの・・・」

大野さんは俺の手をガッツリ掴むと、無言のまま大野さんの家の方向に歩き出した。

 

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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