この指とまれ

この指とまれ 32

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この指とまれ

第32話

 

 

「えっ?正気で言ってるの?」
「正気って?」
「こ、ここに泊まるって・・・」
「はい。泊めてくれるんですよね?」

風磨の件の疑いは晴れただろうけど、
宮古島の件についてはまだ何も解決してないからな。

「見ての通り、うちはニノの家みたいに広くないし客間も無いよ?
泊まるのは構わないけど、客用の布団だって無いんだよ?」
「あ、俺クッションあれば何処でも寝れるんでお気遣いなく。」
「それにほら、おいら・・・また寝込み襲うかもしんないじゃん?」
「あなたはそんなことしないですよ。」
「え・・・?」
「宮古島の事をいってるんですよね?実際あなたは自分から俺に指1本触れてないですよね。」

そう言ってクスクスと笑った。
え?何?どういうことだ?

「フフフッ、実は俺知ってたんです。」
「はぁ?」
「だって、あの時もっとあなた反論するかと思ったんだけど
 意外にもあっさりと諦めちゃったでしょ? 
 俺はね、言おう言おうと思ってたんだけど、
 歓迎会の時に菊池君に言い寄られて困ってるあなたを見たら、
 つい変な悪知恵が働いちゃって・・・あっ、でもそれはあなたの為ですよ?」
「だ、誰にも言わないとか言ってたからあの時は流石に焦った。
 一緒に聞いてた翔ちゃんなんて目が真ん丸になってたし。」
「あはははっ。でもホント、それはごめんなさい。
 あれで諦めてくれると思ってたんだけどなぁ。考えが浅はかだったなぁ。」
「だけど、ニノはちゃんと分かってくれてたんだ。それ聞いてホッとした・・・」
「あなたって人が良過ぎますよ。俺にしがみ付かれたくらいで
 一晩中身動き取れなくなるなんて、逆に迷惑な話でしょうに・・・
 それを文句ひとつ言わずに朝まで我慢してくれるなんて、
 俺も正直朝目が覚めた時はビックリしちゃいましたけど。」
「だって、あの時ニノは何か知んないけど夢見て泣いてたんだよ。
 そんで行かないでってしがみ付かれたらそりゃ動けないじゃん。」

そこの部分はニノも良く覚えてなかったみたいで、
流石に恥ずかしそうに両手で口元を覆い隠した。

「それじゃ、どうして翔ちゃんにあんな事言ったの?」
「え?」
「次の下見の話だよ。個別で部屋を用意して欲しいとか言ってたじゃん。」
「そ、それはあなたと菊池君がそういう関係を持ったと思ってたから
 あいつにまた嫉妬されると面倒だと思ったからです。」
「それじゃ、おいらとの相部屋が嫌だからってことじゃないんだね?」
「あ、もしそうなら今夜ここに泊めてとは言わないですよ。」
「それもそうだな。」
「だけど、俺も本当の事が言えてスッキリしました。それじゃ、帰りますね。」
「ええっ?」

ニノは急にそう言うとその場から立ち上がった。

「ご馳走様でした。あの、今日はかずゆきのお風呂まで入れて貰って
本当にありがとうございました。」
「え、待ってよ。もう帰るの?泊まるんじゃなかったの?」
「いえ、やっぱ迷惑そうだし・・・」
「迷惑なんかじゃ・・・ないよ。っていうか、本当においらに言いたい事言えたの?」
「えっ?」
「まだおいらに言いたい事有るんじゃないの?」

泊まると言ったり、帰ると言ったり・・・

「一体どうしたいんだよ?」
「え?」
「ううん、ごめん、これ自分に言ってるんだ。」
「大野・・・さん?」
「うん、そうだよ。ニノまだ帰んないで。」

俺も立ち上がってニノを引き留めた。

「で、でも・・・」
「おいらはまだ帰したくない。」
「え・・・酔ってるんですか?」
「おいらは素面。」

だって、誤解が解けたって言うのにどうしてもその距離が縮まんなくて
何処か遠慮しててよそよそしくて、もどかしい感じが耐えられなくて・・・
これって俺がハッキリしないから駄目なわけで、
帰したくないという意味がどういうことなのか?
そんな大それたことを言い放ってしまって、俺は責任取れんのか?とか
もう訳が分かんない事で頭の中が大混乱し始めてる。

ニノが風磨にヤキモチ妬いてたのは事実。
それはさっき聞かなかった事にしてくれと言った言葉が何よりの証拠。
それを分かっていながら家に誘い、何もしないというのは
ちょっと男として卑怯じゃないか?

「おいらさ・・・ニノに誤解されてる事が凄く辛かった。」
「大丈夫です。もうその誤解は解けましたし。」
「うん、それはそうなんだけどさ・・・それがどうしてなのかが
 自分でも良く分からなかったんだけど、今日やっとそれが分かったっていうか・・・」
「え?」
「おいら、ニノが好きなんだ。」
「俺も大野さん好きですよ?」
「えーっと、なんて言ったらいいんだ?その、そういう好きじゃないんだ。」

顔から火が出るんじゃないかってくらい熱い。
もう嫌われるの覚悟で俺はニノに一歩ずつ近付き
彼の身体を引き寄せて胸の中に抱き締めていた。

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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