この指とまれ

この指とまれ 34

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この指とまれ

第34話

 

 

いつの間にかテーブルに突っ伏して眠ってしまった俺は、
ニノが帰ってしまった事すら知らずに夢の中に居た。
明け方目を覚ますと、テーブルの上は綺麗に片付いてて
身体が冷えない様に掛けられた布団も、全てニノがやってくれた事に気付いた。
そうか・・・俺、あれから飲み過ぎて寝ちゃったんだな。
酔い潰れるまで飲んではいたけど、それでも夕べの事はちゃんと覚えてた。
いっその事忘れててもいいくらいだったけど。
俺はニノに告白して、それから彼をハグして拒否られたんだよな。
ニノの「好き」は俺の「好き」とは意味が違ってたんだ。
それは結構俺にとってはショックな出来事だった。
だって、俺は自分の気持ちがハッキリ分かってしまったわけだから
それを拒否されたからといって、今更意識しないでいるなんて出来っこないんだ。
だけど一番堪えたのは、ニノが再婚する意思が有るって言われた事だ。
これって、つまりはカズ君に新しい母親の事を真剣に考えてるって事なわけで
本当に再婚しようと考えてるなら、なるだけカズ君が小さいうちに
考えた方がイイに決まってる。
それを考えたら、やっぱり俺みたいに勘違いしてる奴は
ニノにとっては邪魔だし、迷惑な話でしかないと思う。
俺は男だから、どんなに頑張っても母親にはなれない。
経済的な事や、精神面では支えてあげることは出来ても
血を分ける兄弟を産んだりとかは無理。
愛情だけではどうにもならない事って有るんだよな・・・
無茶な飲み方したお陰で、若干二日酔いで頭がズキズキと疼く。
でも、本当は二日酔いの辛さなんかよりも
何も始まってない恋愛に終止符を打たれたことの方が
俺にはダメージがデカかった。

その日は休日だから、何時もなら公園にスケッチに出掛けるところだけど
今日はそんな気も起きなくて、昼間もゴロゴロと寝て過ごしてた。
夕方近くなって、スマホの着信音が鳴り響く。
俺は寝転んだままでテーブルの上のスマホに手を伸ばした。

「もしもし?」
「智?」
「なんだ、母ちゃんかぁ。」
「何よ?母さんで悪かったわね。」
「何?またどうかしたの?」
「最近全然帰って来ないから元気にしてんのかと思って。」
「あー、この頃出張やら休出やらでバタバタしてて・・・」
「たまには顔見せなさいよ。父さん、あんたにいよいよ
彼女でも出来たんじゃないのかって言ってたわよ。」
「・・・ないよ。」
「ウフフフッ、元気ないけどどうかしたの?」
「そんなことないよ。分かったよ。来週末は戻るから・・・」
「そう?それじゃ来週ね。」

確かに母さんが盲腸で倒れて以来、実家に戻ってなかったな。
心配してくれるのは有難いけど、もう子供じゃないんだから。
とは言っても、親からすりゃ幾つになっても子供は子供か・・・
ハァッ・・・
また勝手にニノの事を思い出して大きな溜息が出る。
そして、再びスマホをテーブルの上に置き
畳の上に寝転んだら、また着信音が鳴り響く。

「またかよ?」

きっと母さんが何か言い忘れたとか?

「もう、何?」
「えっ?」
「えっ?あっ・・・」

母さんからだと思ったその電話はニノだった。

「に、ニノ?」
「あ、そうですけど・・・」
「ご、ゴメン。てっきり母ちゃんかと思って。」
「ウフフフッ・・・すみません、俺で。」
「い、いや・・・」

俺は慌てて身体を起こしてその場に何故か正座した。

「大野さん?公園現れませんでしたけど、二日酔いですか?」
「えっ?あー、ううん・・・恋煩い(笑)」
「ええっ?」
「んふふっ、冗談だよ。」
「大丈夫?」
「うん。心配してくれてありがとう。」
「ゴメンね、昨日は・・・」
「あっ、いや、こっちこそゴメンな。帰ったのも知らなくて。」
「起こそうかと思ったけど、凄く気持ちよさそうに寝てたから。」
「ホント、すまん。」
「元気そうで安心しました。もしかして二日酔いで死んでるんじゃないかと思ったから。」
「今日も行ったんだ?・・・公園。」
「ええ。」
「カズ君も一緒か?」
「はい。かずゆきあなたが来てると思ってて、姿が見当たらないから
ガッカリしてましたよ。」
「そっかぁ・・・そりゃ悪い事したな。」
「別に悪い事じゃないけど。かずゆきがあなたの事を勝手に気に入ってるだけだから。」
「今度・・・」
「え?」
「あ、いや、今度カズ君の絵を描くよ。頼まれてたし。」
「本当に?」
「うん。」
「それからさ・・・」
「はい?」
「ううん・・・何でもない。わざわざ心配してくれてありがとね。」
「い、いえ。それじゃ、また会社で・・・」
「うん、また・・・」

今度・・・それから・・・
俺が本当にニノに伝えたかった事は
また飲みにおいでよ・・・だけどそう言い掛けて止めた。
何て言うか、声聞いただけでドキドキしてしまった。
今までみたいに普通に話せなかった。
それが何を意味してるのか、もう自分ではちゃんと気付いてる。
俺は完全にニノに恋心を抱いちゃってて
自分でももうどうしたらいいのか・・・
全然分からなくなってきてた。

 

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

2件のコメント

    • 蒼ミモザ
      蒼ミモザ

      みゆさん、お久しぶりです。
      妄想で好き勝手やらせて頂いてます(笑)
      今回はじれったいお話ですが大丈夫でしょうか?
      本当はもっとイチャイチャさせたいんですけどね(〃艸〃)ムフッ
      こちらこそ何時も読んで下さりありがとうございます。

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