この指とまれ

この指とまれ 37

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この指とまれ

第37話

 

 

正直あまり気は進まなかったけど、友達という立ち位置に
どうしても納得のいかない俺はあれから2週間掛けて
翔ちゃんと綿密に段取りを組んで
いよいよニノに気持ちを確かめるべくその日がやって来た。
数日前からニノの予定を確認して週末に飲みに行く約束まで
話は意外とスムーズに進んだ。
翔ちゃんの行きつけの居酒屋を予約してもらい準備は万全に整ってる。
心配なのは俺がニノの前で嘘の小芝居が上手く出来るかどうかだ。
絶対ニノはこんな小賢しい悪知恵働かせる男なんて
嫌いに決まってるんだから、失敗すれば付き合って貰えるどころか
それ以前に嫌われてしまう可能性だってある。
だから、今日は何が何でも俺は例え大根だろうと
役者になるって決めた。
だけど、緊張のあまり夕べ殆ど眠れてなかったから
昼間の会議中にあくびが連発してしまい

「大丈夫ですか?今夜行くのやめときます?」
「ちょっと最近眠れない事多くって。でも大丈夫だから。」
「ホントですか?無理しない方がいいと思いますけど?」
「ううん、マジで平気だから。」

わざわざお母さんに遅くなるからと、俺との約束の為に
前以て段取りまでしてくれたのに簡単に延期にしてなるものか。
本題はさておいてもなかなかこうやってニノを飲みに誘う事も
ままならないんだから、例えどんな状況になっても
地面這ってでも飲みには行くと決めている。
実際ニノと二人きりのプライベート飲みは、
俺の部屋であんな事になって以来だ。
本当はあとちょっと待てば次の仕事の下見の出張というのも
控えてはいるんだけど、それはそれで別々の部屋なんて事になってるし
俺としてはなんとかそこまでにニノと両想いになりたいと思ってて
そう考えたらやっぱり気持ちを確かめるのは今しかない。

昼間の会議ではあんなに眠かったのに
夕方が近付くにつれ、どんどん緊張してきて
すっかり俺の目も冴えてしまった。
18時になって、デスク周りをザっと片付けた俺とニノは
会社を出てタクシーに乗り、翔ちゃんから教えて貰った居酒屋へと出発した。
店の前に到着し、タクシー代を支払って車を降りると
洋風でお洒落な玄関の居酒屋に、ニノが一瞬ビックリした様子で

「へぇ・・・あなたこんなお洒落な店使ってるんだ?」
「え?う、うん。時々ね・・・」

そりゃニノが不思議に思うのも当たり前。
俺はこんな洒落た店なんて使った事も無い。
ここから疑われたんじゃどうしようもないじゃん。
翔ちゃんももうちょっと普通の店を予約してくれればよかったのに・・・
そこは打ち合わせ不足だった自分にも反省した。
玄関を入って受付で名前を名乗って店員に中に案内された。
店の客席の殆どが個室になってて4人掛けのテーブル席に
俺達は対面で腰掛けた。
店員からおしぼりを手渡され、先ずは生ビールを頼んで
適当につまみも何品か頼んだ。
そして直ぐに運ばれてきたビールで乾杯して
ゴクゴクと喉を鳴らして美味しそうにビールを飲むニノが
あんまり可愛くてつい俺は見惚れてしまう。

「え?何?」
「ううん、喉乾いてたの?」
「あ、うん。めっちゃ乾いてた。」

こないだまではそれくらいの台詞で何とも思わなかったのに
もう、今はニノが何を言ってもどんな仕草しても可愛く思えて
駄目だ・・・多分めちゃくちゃ俺は顔が緩んでる。

「何か良い事有りました?」
「えっ?」
「さっきから顔が緩みまくってますけど・・・」
「あっ・・・マジで?」

早速突っ込まれる。

「たまに外で飲むのって良いですよね。俺かずゆきが居るから
あんまり頻繁に皆さんみたく飲みに行くって出来ないでしょ、
だから誘って貰って凄く嬉しかったの。」
「そ、そうか。そうだよね。たまにはニノも息抜きしないとね。」
「それに、俺・・・実はちょうど大野さんに話が有ったんですよね。」
「え?話?」
「はい。」

これはちょっとシナリオに無い展開だぞ。どうしよ?

「話って?」
「今日は大野さんも何か俺に相談ごとが有るって言ってましたよね?
そっち先に聞いてからで良いですよ。」
「えっ?い、イイよ。ニノの話からで・・・」
「俺は最後に話します。ちょっとお酒の力も借りたいし。」
「え?気になるよ。仕事の事?」
「いえ、プライベートな話です。」

ニノの話って何だろう?
酒の力を借りるってどういう事?
素面じゃ話せないような事なのか?
気になるはきになるけど・・・まぁ、それなら仕方ない。
それじゃ、早速俺の本題に入るとするか。

「じゃ、じゃあ俺の相談からしてもいい?」
「いいですよ。あ、でも・・・」
「ん?でも?」
「言っときますけど俺なんかに相談しても何も解決とかしないかもですよ?
そもそも俺はあなたより年下だし、人生経験としては
結婚して離婚してるあたりじゃ確かに先輩ですけど・・・」
「いや、一般的な意見を聞いて参考にさせて貰えればと思ってっから・・・」
「ふうん・・・それで?どういうご相談ですか?」
「うん、実は・・・」

 

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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