この指とまれ

この指とまれ 38

この指とまれ

第38話

 

 

「実はね、好きな人が出来た。」
「えっ?」
「相手はニノも知ってる人なんだけど・・・」
「き、菊池君?」
「ううん、風磨じゃない。その人とはもう10年以上の付き合いでさ・・・
ずっと友達として付き合ってきたんだけど、最近ようやく自分の気持ちに
気付いちゃったんだ。」
「それって、もしかして代表の事ですか?」
「あっ、うん。」
「い、いいんじゃないですか?お二人はお似合いだと思いますよ。」
「マジで?」
「ええ・・・」
「本当にそう思う?」

何だろう?この気まずい雰囲気は?
これって本心ではない?無理してお似合いとか言ってるのか?
それならもう一押し・・・

「代表には伝えたの?」
「え?あ、それがまだなんだよね。」
「どうして?好きなんでしょ?」
「だって、断られたら嫌じゃん。」
「代表って付き合ってる人いないんだ?」
「う、うん。今はね・・・」
「チャンスじゃないですか。」
「ええっ?」

マズい。これって応援するモードになってる?

「伝えないと始まんないですよ。」
「そ、そうだけど・・・」
「だけどビックリだなぁ。まさか代表をねぇ。」
「ど、どうやったらうまくいくと思う?」
「とにかく先ずは伝えなきゃですよ。」
「お、お願いが有るんだけど。」
「何でしょう?」
「ニノが翔ちゃんにそれとなく俺の気持ちを伝えてくんない?」
「あなた男でしょ?告白は自分でしたら?」

その言い方はちょっと怒り口調にも聞こえる。
もしかしてちょっとは妬いてくれてるのか?

「も、勿論最後は自分で伝えるけど、いきなりそういう事言って
引かれたりしたらおいらへこんじゃうもの。
だから、おいらがこういう風に思ってるみたい・・・的な事
ニノから予め伝えておいて貰えると助かるんだけど。」
「はぁ・・・分かりましたよ。良いですよ。俺なんかで良ければ。」
「ほ、本当に?いやぁ、助かるわ。」
「でも、こういう事って双方の気持ちが合わないと
なかなか難しいと思いますよ?」
「う、うん。」

まるでそれは翔ちゃんが俺に言った台詞と同じだ。
っていうか、俺の芝居ちゃんと信じてくれてる事に少しホッとしてる。

「大野さんって・・・」
「えっ?」
「独身が気楽だって思って一人なのかと思ってましたけど、
実はそうじゃなかったんですね・・・」
「い、意外と寂しがり屋だよ。」
「うん、意外ですね。」
「そ、それじゃ頼んだよ?宜しくね。」
「ええ。週明けにでも俺から伝えておきますよ。
うまくいくと良いですね。」
「えっ・・・う、うん。」

上手くいくと良いですね・・・
一番聞きたくなかった言葉だ。
こんなにあっさりと言われてしまうと、もう1ミリの可能性も
残ってはいないのかもしんないな。
ひと通りのシナリオ通りの話を終えると、
何だかとても虚しさが込み上げてきた。
いっその事この場で今のは全部嘘だって打ち明けて謝って
俺が本当に好きなのはニノなんだって正直に言ってしまいたい。
だけど、再び丁寧にお断りとかされたりしたら、と思うと
怖くてそれも出来ない。

「へぇ・・・代表かぁ・・・」

ニコニコしながらそう言って運ばれてきた料理を
美味そうに頬張り、わりとハイペースで酒を頼んで
暫くは何でもない話をして二人で飲んだ。

「そ、そう言えば、ニノの話って何だったの?」
「あ、俺ですか?俺はね・・・うん、そう、丁度良かったです。
俺もね、好きな人出来たんで・・・大野さん?」
「え?は?」
「これからはこうして二人きりで逢うのはもう止めにしましょう。
でないと、今後お互いの相手に変に誤解が生じたらマズいんで。」
「え?誰?おいらが知ってる人?」
「うーん・・・ごめんなさい。それは内緒ってことで。」

正に驚きの急展開だった。
俺の作り話の恋愛相談の筈だったのに
まさかのニノに好きな人って新事実を聞かされる事になろうとは。
もう、完全に俺の望みは絶たれたのと同じで最悪の気分だった。

 

 

つづく

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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