この指とまれ 4

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この指とまれ

第4話

 

 

 

「お待たせ。あ、コーヒーブラックだけど大丈夫?」
「あ、すみません。僕はいつもブラックなんで。」
「ええっと・・・二宮君って言うんだ?」
「あ、はい。二宮和也って言います。」
「32歳って聞いてるけど本当に?」
「え?」
「あ、ごめん。おいらまだ翔ちゃんから君の事詳しく聞いて無いんだ。」
「ああ、そうなんですね。正確に言うと31歳です。来月誕生日が来て32になります。」
「全然見えないな・・・」
「えっ?」
「あ、いや・・・年もアラサーには全然見えないし、ましてや子持ちだなんて信じられないから。」
「身長が低いからかなぁ。周りからも良く言われるんですよ。」
「最近越して来たとか言ってたけど、以前は何の仕事してたの?」
「あ、広告代理店の仕事です。」
「へえ・・・プランナーの仕事は初めてなの?」
「ええ、そうです。」
「おいらのチームは結婚式のプランを提供する仕事なんだけど、経験者が居ると心強いよ。」
「経験者って・・・大してお役に立てるとは思わないけど・・・」
「え?」
「あ、いえ・・・僕何も分からないんで、櫻井さんから大野さんのアシスタントとして働いて
色々経験積むように言われてるんで、これから宜しくお願いします。」
「おいらなんかに付いても勉強になるか分かんないけど、とにかく宜しくね。
それじゃ、今回の企画のメンバーを紹介するから着いて来て。」

俺は彼をオフィスフロアに案内した。

「相葉ちゃん、悪いけどチームメンバー集めてくれる?」
「あっ、おおちゃん探してたんだよ。何処行ってたの?」
「えっ?あ、ほら、畠山ちゃんの後任の新人さん来たからさ・・・」
「ああーそういう事ね。了解、待ってて!直ぐに集めるから。」

ウエディングプランニングのスタッフは
相葉君、松本君、風間君、菊池君と俺の5人。
この中で既婚者は風間君ただ一人だ。

「えっと、皆に紹介しておくね。今日から僕たちのチームに仲間として働いてくれることになった二宮君。」
「二宮和也と言います。以前広告代理店で働いてました。プランナーの仕事は未経験なんで
色々とご指導のほど宜しくお願いします。」
「主に会場コンタクトと外注管理を任されてる相葉です。宜しくね。」
「宜しくお願いします。」
「俺は映像と音響関係任されてる松本です。宜しく。」
「宜しくお願いします。」
「僕は風間と言います。僕は松本さんのアシスタントです。」
「宜しくお願いします。」
「僕は菊池です。衣装関係とフードコーディネイトを担当してます。」
「宜しくお願いします。」
「で・・・おいらが一応トータル責任者の大野です。」
「はい、宜しくお願いします。」
「ねえねえ、歓迎会しなくちゃだね。おおちゃん、何時にする?俺予約しとくけど。」
「あ、そうだね。次の週末あたりどうかな?」
「金曜日ね?それじゃそれで手配しとくね。」
「うん、宜しくね。」
「あ、それでさ、早速次の依頼なんだけどね・・・はい、これ見て。」

相葉君が俺に次の企画の依頼に関する資料を手渡した。

「え?み、宮古島?」
「そうなんだよね。」
「マジか・・・」
「下見、どうしよ?」
「そりゃ行かなきゃ駄目だろう。」
「おおちゃんは勿論行ってくれるでしょ?」
「えっ?おいら?」
「あと一人付き添いどうする?」
「あ、僕お供しますよ!」
「風磨は別件も抱えてるから無理だって。」
「どうせ2,3日の出張でしょ?俺行きますよ。」
「下見くらいなら彼に行って貰えば?どうせあなたのアシスタントなんでしょ?」

松本君が二宮君を指差してそう言った。

「え?で、でも出張とかいきなり無理だよね?」
「あ、僕なら大丈夫ですけど。」
「じゃ、決まりね。下見は大野さんと新人君で。」
「それじゃ、明後日の飛行機と宿泊手配するんで宜しく!」
「あ、明後日?」
「今回あんまり時間無いんだよねぇ。急で悪いけど宜しく頼みます。」
「わ、分かったよ・・・」
「その代わり二人の出張中にある程度プランは練っておくんで。」
「そう?それじゃプランは皆に任せるよ。」
「いやぁ、それにしても採用は男性にして貰ってホント良かったよね。
こういう時、畠山ちゃんみたいな女の子だと宿泊で同行とかさせられなかったしね。」
「なんだ?どういう意味だよ?」
「別におおちゃんがどうこうとかって話じゃ無いよ。
一般的に男女が遠方に出張同行するってなんかマズいっしょ?」
「し、仕事だからね?変な勘繰りはやめてくれる?」
「あははっ、ゴメンゴメン、それもそうだね。」

ってことで、俺は新入りの二宮君と急遽仕事の下見で宮古島に出張しなくてはならなくなってしまった。

 

 

つづく

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投稿者: 蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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2件のコメント

  1. お久しぶりです。
    蒼ミモザさん、お帰りなさい!
    また読めてうれしいです。

    今回のお話、二宮さんは、子持ちなのですね!でも子供が大野さんのこと懐いていて、ほほえましいです。
    偶然とはいえ、一緒に仕事をすることになり、運命的な出会いだったのではと思います。。これからの展開楽しみです。
    二宮さんは、❌1かなと思ってるんですけどどうでしょう?

    1. muchpuさん、お久しぶりです。コメントありがとうございます。
      また来て頂いて私も嬉しいです(*´ω`*)
      色んなモヤモヤが晴れないだけに妄想は現実逃避には最適ですね(^^ゞ

      以前智くんが子持ちという設定は書いたことあるのですが、このお話は逆パターンですね。
      二人がこれからどうやって親密になっていくのか・・・気になりますよね( *´艸`)
      じっくり、ゆっくりお話を進めていくつもりなので、是非最後までお付き合い頂ければと思います(^^)

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