この指とまれ

この指とまれ 44

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この指とまれ

第44話

 

 

直ぐに帰る、とは言ってたものの・・・
高速道路を走ってもうどの位経つだろう。
特にお喋りするって訳でも無くただひたすら宛てのないドライブという感じ。
ニノはとにかくさっきからひと言も喋らないから、
こっちからもなんとなく話し掛け難い。
俺はただボーッと窓の外のテールランプを目で追ってる。
暫くそんな感じだったけど、途中のパーキングエリアで
ニノはトイレに行くからと車を駐車させ、一人で車を降りた。
暫くしてニノが誰かと携帯で話しながらトイレから出てきた。
多分相手はお母さんだろう。
予定よりも帰宅が遅くなってしまったから連絡を入れてるんだと思う。
そうも思ったけど、さっき途中で途絶えてしまった
ニノの好きな人の話・・・実はずっと俺の中で引っ掛かってて
電話の相手は実はその人だったりして?そんな不安も心を過ぎった。
ハッキリとしない相手に嫉妬してる自分って一体何なんだ?
だって、聞いても答えてくんないんじゃ
このままずっとこの状態は続くわけで・・・

「お待たせ。食べます?」

ニノは何事も無かったという表情で車に戻って来て
俺に売店で買ってきたホットドックとコーヒーを差し出した。

「あ、お金・・・」
「いいですよ。俺が無理に誘ったんだから。」
「そうはいかないよ。幾ら?」
「ホントにいいってば。あっ、それなら今度もっと高いものご馳走して貰いますよ。」
「ねえ・・・その事なんだけどさぁ。」
「はい?」
「ニノ、この前さ・・・もう二人っきりで逢うのはやめようって言ってたよね?
それってさ、こんなふうに個人的においらを送るのだって本当はマズいんじゃないの?」
「・・・それより、食べないんですか?冷めちゃいますよ?」

まただ・・・話逸らしてる?

「え・・・」
「あれは・・・あなたが代表と付き合う事になるかもって話の上で言った事です。
言ったじゃない、あの時。変に誤解されるの嫌だからって。」
「それって、翔ちゃんとニノの好きな人にってこと?」
「うん、まあ俺のことはこの際どうでもいいんだけど。
でも、もうあなたは代表のこと諦めたんですよね?
あなたが諦めてないというなら、話は変わりますけど。」
「でも、ニノは?ニノだって誤解されたりしたらマズいんじゃないの?」
「俺の心配は無用です。」
「そ、そうなんだ・・・」
「何でだと思います?」
「え?あっ、その人ってすげえ優しい・・・とか?」
「うん・・・まぁ・・・」
「そっか・・・」

自分から聞いておいて、その答え聞いてへこむってどうしようもないな。
何か聞かなくてもいい事を聞いてしまった気がする。
ニノが幸せならそれでいい。
それでいいんだけど、もう完全に諦めなきゃなんないって
どこまでも中途半端な俺の心の中に何かとどめを刺されてしまったような
最悪の展開に感じた。

「大野さん?どうしたの?元気出して下さいよ。」
「え・・・」
「そりゃあね、フラれちゃったんだもの誰だってへこみますよね。
だけど、気持ち切り替えたらきっといいこと有りますって。」
「あ、そうだ・・・ところでニノの話って何だったの?」
「実は俺、会社を辞めさせて貰おうと思って・・・」

やっぱりその話だったか・・・

「辞めるってどうして?」
「俺ね、好きな人が出来たって言ってたでしょ?」
「そ、それと仕事と関係あるの?」
「有りますよ。」
「え?会社の人間なの?だ、誰?」
「その人ね、かずゆきも凄い懐いてて俺にもとても優しいんですけど
俺じゃない別の人が好きだったらしいんですよ。」
「えっ?え、ま、待って?そ、それって・・・」

もしかして俺?

「あ、心配しないでいいですよ。失恋したばかりのあなたに
好きになって欲しいなんて、これっぽっちも思ってないんで。
何も今直ぐじゃなくてもいいんです。俺がそういう気持ちで
いるって事はどうしても、それだけは伝えときたかったんで。」
「で、でもニノは以前おいらの事は友達としか考えられないって・・・」
「俺、あの時は流石に戸惑っちゃって。
だって、俺バツイチだし、おまけに子供まで居て・・・。」
「ま、マジか・・・おいら、その・・・何て言うか・・・
ニノの気持ちが知りたくて・・・悪気は無かったんだ。
信じてくれ。」
「は?大野さん?」
「翔ちゃんにニノが好きな事相談したんだ。そしたら
おいらが翔ちゃん好きになった事にして、ニノがどういう反応をするか
確かめたらいいって話になって・・・だから、翔ちゃんのことは
その・・・最初から全部作り話だったんだ・・・」
「・・・」
「ニノ・・・?」
「・・・」
「ホント、ごめんなさい。」
「ひっどい男・・・」
「えっ・・・許してくんないの?」
「許さない・・・」

ニノがそう言って俺の顔を両手で包み

「・・・わけがないでしょ。」

薄目を閉じながらゆっくりと顔を傾け近付いて来た。
そしてその柔らかな唇がそっと俺に重なった。

 

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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