この指とまれ

この指とまれ 53

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この指とまれ

第53話

 

 

それからニノが風呂に入っている間、俺はテレビで流れてる
バラエティ番組をなんとなく見て過ごした。
そして暫くしてニノが風呂から上がって二階の部屋に戻って来た。

「お待たせしました。お風呂良いですよ。」
「あ、うん。」
「中に有るヤツどれでも好きに使って良いから。」
「うん、ありがと。一度カズ君と入ってるから大丈夫だよ。」
「あ、そうだったよね。忘れてました。あっ、それから
脱いだ服は洗濯するから直接洗濯機に投げ込んで下さい。」
「えっ・・・いいよ。持って帰るから・・・」
「だってかずゆきが居ない間はここに居てくれるんでしょ?
流石に洗い替えないと困ると思うけど。」
「うん、でもどうせ近いし取りに帰れるしさ。」
「大野さん・・・俺達付き合ってるんですよ?」
「あ、うん。」
「洗濯くらい俺にやらせてよ。」
「で、でも・・・」
「俺ね、男だけどその辺の女子なんかに負けたくないんですよね。」
「えっ?」
「あなたからすれば勝ち負けとか何言ってんだ?でしょうけど
離婚してから特にそれは強く思う様になったっていうか。
かずゆきに母親なんか居なくても絶対に不自由な想いさせたくないって
多分そこからそういう感覚になってるんだと思うけど・・・
元々俺、料理とか得意な方じゃないですけど家事は嫌いじゃなくて
俺はあなたの事好きだけど男だし、女の子と比較されたら
多分何処にも勝ち目無いの分かってるから・・・
でも、もしもあなたが女性と付き合ったとしたら
身の回りの事はきっと全部してくれると思うんですよ。
だから、その程度の事なら俺にだって出来るし、
それ以上に俺じゃなきゃ出来ない事とかもきっと有ると思うし・・・」

ヤバいな・・・ヤバいよ。
ニノが何を言いたいのか凄く伝わるし、俺の事好きで仕方ないって
言ってくれてるのと同じじゃんって思ったら、もう愛おしくて
嬉しくて涙出そうなくらいヤバイ。
俺は思わずニノの身体を引き寄せて力一杯抱き締めた。

「大野・・・さん?」
「智でいい。智って呼んでくれ。」
「そ、それじゃ智・・・」
「はあーもう、めちゃくちゃ好き。おいらと結婚してくれ。」
「はっ?」
「うん、そーだよ。ニノ、結婚しよう。」
「あ、あの・・・?」
「ちくしょうっ、こんな事なら一緒に入れば良かったわ。」
「ちょ、ちょっと?」
「風呂だよ!風呂!」
「えええっ?」
「なっ?おいらじゃ駄目か?おいらと一緒になってよ。」
「ま、待って下さい。」
「え?何で?」
「そ、そんなの急過ぎません?」
「こんなの遅くても早くても一緒だって。ニノは仕事辞めて
カズ君の育児に専念したらいいからさ。
生活費はおいらがなんとかするから心配するな。」
「い、いや、一旦落ち着きましょう?」
「おいらは冷静だよ。」
「むちゃくちゃだな。」
「嫌なの?」
「そりゃ、嬉しいですよ。でもここでいきなりプロポーズとかする?」
「あ、ゴメン。ムード無かったか・・・」
「いや、そういうことじゃないのよ。幾らなんでもさ、
もう少し付き合ってみてからでも良くない?
俺もあなたの事好きだけど、あなたもまだ俺の全部も知らない訳だし。」
「おいら、ニノが例え悪魔でもゾンビでも構わないよ?
ここまで一緒になりたいと思った事今までないからね。」
「そっか。まぁ、とりあえず・・・あなたお風呂入りましょうか?」
「おっ、そうだな。続きは風呂から出てからだな・・・」

流れからとはいえ、俺は最初からそのつもりだったから
勢いでプロポーズ出来てかえって良かったとさえ思った。
そりゃあ、ニノからすれば付き合って間もないのに
いきなり結婚の二文字を突き付けられて戸惑うのも無理はない。
だけど、こういう事って直感みたいなものを信じても
間違いないって俺は思うんだよな。
だって、これまで生きてきて、俺にだって色んな出会いも有ったけど
結婚したいと思う相手なんか実際一度も出会ってなかった訳だから。
ニノもカズ君も2人とも同じくらい愛おしいと想えるこの気持ちは
幸せになれる確信さえ有るから本物だ。
まだ、ニノからちゃんとした返事は貰えてないけど
自分の気持ちをストレートに伝えられた事への満足感で
滅多に出ない鼻歌なんか歌いながら、めちゃめちゃ上機嫌で風呂に入った。

 

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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