この指とまれ

この指とまれ 62

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この指とまれ

第62話

 

 

side nino

 

大野さんって不思議な人だ。
俺と結婚したいと言って、あれ程張り切って実家の
ご両親に俺を合わせたりしたかと思えば、
和幸の事があったとはいえ俺と美紗紀に
復縁した方が良いとか言い出すし・・・
俺が大野さんの立場だったら絶対にそんな事は言えないと思う。
だって自分の想いを犠牲にしなくちゃならないんだから
俺にはそんなの耐えられないと思う。
あんな母親失格みたいな美紗紀にさえ
何時でも逢いに来ればいいと優しい言葉を掛けた。
元々揉め事が苦手そうだけど、大声張り上げて
怒鳴ったりしてるところも俺は見たことがない。
どんなに自分に対して迷惑被った行為をされたとしても
むやみに怒ったりしないし、相手を傷付ける様なことを
一切言わないんだよな。
ただ単に平和主義ってことじゃなくて・・・
何時だって誰にだって優しいんだ。
そういうところ、俺は好きになったんだけど
それでも復縁の話は正直ショックだった。
そりゃあ、付き合って結婚の話まであまりにも時短過ぎて
多少戸惑いは有ったけど・・・
それでも俺はめちゃめちゃ嬉しかったんだ。

ただ、今回の事で少し考えさせられた。
俺は自分の恋愛ごとが上手く行き過ぎて
ちょっと自分が幸せになる事だけを優先して考えてた気がする。
勿論俺が幸せになる事で和幸も同時に幸せになる事では有るんだけど
それでも、和幸にとって本当に幸せな事ってのは、
実の両親に育てられる事なのかなって・・・
大野さんから言われるまで正直思いもしなかったことだけど
改めてそう言われてしまうと、俺は父親としては
自分の事しか考えてないから失格なんじゃないのかなって、
自分の大切な人の為に自分の想いを犠牲に出来る
大野さんとはえらい違いだなって・・・
そりゃへこむに決まってる。

美紗紀のマンションから自宅に帰り着いたのは午前0時を回ってた。

「はぁ・・・遅くなっちゃいましたね。」
「疲れただろう?明日仕事だし今夜はとっとと寝ようぜ。」
「とんだ週末だったよね・・・」
「そうか?ちょっと忙しかったけど、おいらはずっとニノと居れて
嬉しかったよ。」
「ズルいよ・・・」
「えっ?」
「自分だけそんな風にカッコよく纏めちゃって・・・」
「えええっ?べ、別にカッコよく纏めたつもりはないよ?」
「ウフフッ・・・冗談ですよ。さ、寝ましょう。明日起きれないと
二人で遅刻とかヤバいですから。」
「だな・・・」

色々考えなきゃなんないことはあるけれど、
その日はもう何も考えずに俺は大野さんの腕の中で眠った。

そしてその翌朝、俺は大野さんと一緒に会社へと出勤した。

「おはよう、おおちゃん。ニノもおはよー。」
「あ、相葉ちゃんおはよ。」
「代表がおおちゃんを探してたよ。会社着いたら
直ぐに代表の部屋に来てって。」
「え?そうなの?なんだろう?」
「あ、ニノはバルーンの資材が届いてるらしいから
荷受けチェックしてくれる?」
「あ、もう届いたんだ?分かりました・・・」

大野さんはその後直ぐに代表の部屋に向かい
俺は相葉さんとバルーンアートの資材の着荷チェックを始めた。

「ええーっと、ハートのピンク中が25個・・・
ハートのブルー中が10個・・・ノーマルのオフホワイトが200個・・・
こりゃ大変な作業だな・・・」
「ねぇ?ニノはおおちゃんから聞いてる?」
「えっ?何を?」
「おおちゃんさ、新事業の代表取締役になるらしいよ。
今もその話で呼ばれてるんだと思うけど。」
「あ、なんかそれちょっとだけ聞いてますけど・・・」
「新事業はね、ハワイに社屋を構えるらしいよ。」
「ハ、ハワイ?」
「ブライダル事業部を拡張するんだって。」
「そ、それホントですか?」
「うん、間違いないよ。」
「ハワイか・・・」
「うちのチームからも何人か抜擢されるってよ。
ニノも選抜候補に挙がってると思うな。」
「どうして?」
「だっておおちゃんの右腕だもん。このバルーンの件にしても
ニノの対応がお見事だったって社内でも評判だよ。」
「えっ・・・で、でも俺には子供も居るし・・・」
「あっ、そーかぁ。そうだよね・・・
チビちゃん連れてハワイは厳しいよねぇ。」
「う、うん・・・」

大野さんがハワイ?
しかも転勤のメンバーがこのチームから抜擢?
俺はすかさず菊池君の方に視線を向けた。
菊池君はその事を知ってか知らずしてか
心なしか嬉しそうに鼻歌なんか歌いながらパソコンに向かって作業をしてた。

 

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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