この指とまれ

この指とまれ 63

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この指とまれ

第63話

 

 

side nino

 

代表の部屋に呼ばれた大野さんは、それから約1時間程経って
ようやく自分のデスクに戻って来た。
色々聞きたいけど、会社ではまだ誰も俺達の事を知らないから
必要以上に馴れ馴れしく俺の方からは話掛けられない。
仕方ないから、俺は大野さんにLINEで話し掛けた。

『代表の話だけど、何だった?』
『新事業の話だよ。』
『ハワイって本当なの?』
『何で知ってるの?』

大野さんが驚いた表情で向かい側のデスクに座ってる俺の顔を見た。

『相葉さんに教えて貰ったんです。』
『そっか。うん、本当だよ。』
『何時から?』
『9月だって。』

9月って、今6月だからあと3か月も無いじゃん。

『一緒に転属になるメンバーは聞きましたか?』
『あ、うん。それは今夜帰ってから話すよ。』
『了解』

やっぱりハワイ行きの話、本当だったんだ。
そのメンバーには俺も含まれてるのかな?
俺は日本じゃないと仕事は出来ないな・・・
和幸を見て貰う事が出来なくなるもの。
だけど、もしも俺が行けなくて、菊池が着いてくとか
そういうことになったりしたら・・・
あいつの朝からずっとテンション高いのが
やたらと気になって仕方ない。
それにしても、何でわざわざ海外なんだよ・・・
まぁ、日本人がハワイで式挙げるのって今や珍しい事ではないけど。
そんな事を考えていると、目の前の内線が鳴った。

「はい、もしもし二宮ですが・・・」
「あっ、ゴメン。その辺に風磨が居ないかな?」
「えっ?あ・・・居ますけど・・・」
「今直ぐ俺の部屋に来るように伝えてくれる?」
「わ、分かりました。」

内線は代表からだった。
たまたま席を外してた菊池を代表が探してたようだ。

「菊池君、代表が今直ぐ部屋に来るようにって。」
「えっ?代表が?了解です。」

菊池はそれを聞いて凄く嬉しそうにフロアを走って去って行った。
きっと、ハワイの件だ。
やっぱりあいつもメンバーに抜擢されたんだ。
それから暫くして菊池がフロアに戻って来たけど
どうやら辞令でも出たのだろう。さっきなんかよりも
更に顔がニヤけていやがる。
おあいにく様・・・大野さんはもう俺のものだから。
心の中で俺はそう呟いた。

そしてその日の仕事が終わり、俺は大野さんと自宅へ戻った。
大野さんは明日の会議の司会進行役が決まってたから
帰りの車の中ではずっと資料に目を通してて
邪魔しちゃいけないから、そこではハワイの話は一切しなかった。
自宅に帰り着いて、ようやくその話を切り出すことが出来た。

「ねえ?今日の代表の話だけど・・・」
「あっ、そうそう!ハワイな。」
「ハワイに事業所構えるの?」
「うん。ニノも一緒に来てくれるよね?」
「で、でも俺、代表に呼ばれてませんよ?」
「えっ?」
「俺はメンバーに選抜されてないって事ですよね?
まぁ、選ばれてもハワイなんて俺は無理だし・・・」
「何言ってんの?」
「俺には和幸が居るから、そんなの無理に決まってるもの。」
「ニノは選ばれないよ。」
「うん、分かってますよ。そんなこと・・・」
「だからさ、ニノは8月一杯で会社辞めるんだよ?」
「え?」
「おいら今日翔ちゃんにちゃんと伝えといたから。
おいらはニノと結婚するって。」
「えっ・・・」
「最初はニノもメンバーに入ってたみたいなんだよ。
だから、おいら慌ててメンバーから抜いてくれって
頼んだんだ。だってニノはおいらと結婚するし
仕事は辞めて当分は専業主婦になるわけだしね。
翔くんも驚いてたけど、祝福してくれたよ。」
「そ、そういうことか・・・」
「一緒に行くよね?ハワイ・・・」
「本当に俺なんかでいいの?」
「何言ってんだよ。おいらはニノが良いに決まってるじゃん。」
「もぉー・・・何処まで勝手なんですか・・・」
「ええっ?嫌なの?」

そんな訳無いでしょ。
俺は嬉しくて堪らず、そのまんま大野さんの胸に飛び込んだ。

「大野さん・・・まだうちの親の説得が終わってないよ?」
「あっ・・・そうだったわ。」
「ウフフッ、大丈夫です。俺も全力で説得しますから。」
「それって、ニノもOKって事?」

俺は返事の代わりに大野さんの頬を両手で包んで
笑いを堪えながらジッと目を見つめて
自分の方からゆっくりと唇を重ねた。

 

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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