この指とまれ

この指とまれ 68

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この指とまれ

第68話

 

 

実家から戻ったニノはとにかく元気が無かった。
きっとご両親から俺達の結婚について色々言われたんだろう。

「ただいまぁ・・・」
「パパッ・・・」
「おっ、かずゆき良い子にしてたか?」
「お帰り。どうだった?」
「う、うん・・・」
「やっぱそう簡単には許して貰えないか?」
「うん・・・もう少し時間くれるかな?」
「勿論、時間はたっぷり有るから焦んないでいいよ。」
「うん・・・」

本当はどういった話をして来たのか気になったんだけど
あんまりニノが落ち込んでる様子だったから
突っ込んでその内容まで聞くことは出来なかった。
そして、週明けに再びカズ君はニノのお母さんに連れられて
実家の田舎へと帰ってしまった。
俺とニノは通常通り会社に出勤したんだけど
会社に到着すると、仲間たちが俺達を出迎え

「おめでとうございます。」

と、祝福の言葉を浴びせた。

「え?なに?」

ああ、そうか・・・
ハワイに俺が栄転になるという話を翔ちゃんから聞いたんだな。

「お、おめでとう、なのか・・・」
「聞いたよ?結婚決まったんだって?もうビックリしちゃった。
二人は何時からそういう関係だったの?」
「えっ?」

相葉君がいきなり俺にそう話し掛けてきた。

「な、何でそれ知ってるの?」
「代表から聞いたんだよ。」
「しょ、翔ちゃんから?」
「照れることないよ。おめでたい話なんだからさぁ。
そうそう、それでね、おおちゃんの結婚式は是非俺らが
全部プランニングしてやってくれって言われたの。
費用は全部会社で負担してくれるらしいよ。」
「マジで?」

ニノの顔をすぐさま覗き込んだら、
ビックリしてるかと思いきや、全然沈んじゃってて
何か言いたそうなんだけど、ひと言も話さないで
自分のデスクに静かに腰を下ろした。
そしたらそのニノの所にあの風磨がやってきて・・・

「二宮さん!」

また何か突っ掛かるのかと思ったら

「おめでとうございます。」
「えっ・・・」
「ご結婚、おめでとうございます。」
「あ、ありがと・・・」

ニノもその風磨の言葉には流石にビックリしたようで
暫くポカンと風磨の顔を見上げてた。

「良かったですね。好きな人と結ばれて。
僕も結婚式のプランニングには全力で参加させて貰いますね。」
「う、うん・・・」
「二宮さん?どこか具合でも悪いんですか?」
「えっ?」
「さっきから全然元気ないですけど・・・」
「そ、そんなこと無いよ?」
「俺、色々二宮さんには嫌味な事ばっかり言ってしまって
ホント、すみませんでした。」
「ううん・・・」
「僕、もう大野さんの事何とも思って無いし
本当に心から祝福してるんで、安心して下さい。」
「そ、そうなんだ。」

意外な展開。あんなにニノの事を敵対視していた風磨が
俺達の結婚の事を聞かされてからだろうか
完全に俺の事は吹っ切れたみたいだ。
俺としてはホッと胸を撫で下ろすところだけど
やっぱりどう見てもニノの様子が明らかにいつもと違う。
何か思い悩んでる感じに見えた。
それから午前中の企画会議を終えて、
俺は翔ちゃんに誘われてランチを一緒に食べに出掛けた。
ニノも誘ったんだけど、何か休憩時間にやりたいことがあるからと
あっさり断られてしまった。
何が理由で落ち込んでるのかは分かんないけど
少しでも元気付けてあげられたらって思ってたんだけど
一人で考えたい事も有るだろうから無理には誘えなかった。
昼休憩明けにフロアーに戻ると、ニノの姿が見当たらない。

「あれ?ニノは?」
「あ、二宮さんならちょっと具合が悪いので早退させてくれって
さっき帰られましたよ。」
「え?マジで?」

俺は慌てて上着のポケットからスマホを取り出して
ラインを確認してみたけど、何の連絡も入ってなかった。
俺は何だか朝の表情といい、ニノの様子がずっと気になっていたから
ちょっとだけ胸騒ぎがして、慌ててニノに電話を入れてみた。

「もしもし・・・ニノか?どうした?どっか具合でも悪いのか?」
「大野さん・・・」
「いいよ、いいよ。無理すんな。ゴメンな、全然気付かなくて。」
「そうじゃ・・・ないんだ・・・」
「え?」
「体調なんて悪くないんだ。」
「は?だったら何で?」
「ゴメンなさい・・・」
「謝ること無いけど、ちゃんと理由を聞かせてよ?」
「それは・・・上司としてですか?それとも恋人として?」
「ええっ?あー、勿論恋人としてに決まってる。」
「俺・・・」
「うん・・・」
「やっぱりね・・・」
「うん・・・」
「あなたとは・・・結婚出来ない・・・」

 

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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