この指とまれ

この指とまれ 69

この指とまれ

第69話

 

 

具合が悪いと会社を早退したニノに何が有ったのかは知らないけど
突然電話で結婚は出来ないと告げられて、俺は頭の中が真っ白になった。
理由を直ぐにでも聞きたかったけれど、今は仕事中だし
仕事と関係無い話をいつまでもしているのもマズい。
ましてやそれが婚約解消の話となると、
さっき会社の仲間が俺達の結婚式の話で大盛り上がりだった訳だから
流石にそれはもっとマズいだろう。
とにかく話は仕事から帰ってゆっくり聞くって事で
俺はその場の電話を切った。
だけど、今日は実際のところ俺は仕事どころじゃ無かった。
あんなに俺からのプロポーズを喜んで受け入れてくれてた筈のニノが
どうして急に結婚出来ないなんて言い出したのか?
確かに昨日実家から戻って来てずっと元気が無かったから
正直気にはなっていた。
会社に出勤するなり皆から祝福されて戸惑っちゃったのか?
それかご両親からよっぽど何か反対されるような事を言われたか。
だけど最初から反対されるのは想定していたことだし
時間を掛けて説得しようと二人で話していたのだし
まだこの時点で結論を出すには幾ら何でも早過ぎる。
色んな理由は考えられるけど、どうにもならない事が一つだけある。
それは、ニノの気持ちが冷めてしまってるかも知れないってこと。
昨日までのニノを見ていてそれは絶対にないって思うけど
人の気持ちを100%知る事なんて出来ないんだから
全くそれも無いとも言い切れない。
落ち着いて頭の中を整理するけど、とにかく一刻も早く
ニノと話をしたい。話を聞かなきゃあまりにも一方的過ぎて
納得なんて出来るわけがない。

そしてようやく俺は長い長い午後の仕事を終えると
何処にも目もくれずに真っ直ぐニノの自宅に帰った。

「ただいまぁ・・・」

家に戻り、真っ先にニノが居るであろうリビングに直行した。
ところが部屋は真っ暗で、玄関には確かにニノの靴が有ったのに
姿が見当たらない。

「ニノ?」

俺は風呂場やトイレや庭先まで探して回る。
ガレージに車は停めてあるし、実家に行くにしても
車で出掛けるはず・・・
そうだ、二階かも・・・
俺は二階に上がって寝室のドアを開けた。
すると、ニノは真っ暗な寝室のダブルベッドで
頭まで布団の中に潜り込んでいた。

「ニノ?」
「・・・」
「本当に具合でも悪いのか?」
「・・・」

俺が呼び掛けても全く返事をしない。
あんな事を言ってしまって、俺と顔を合わせるのが気まずいのか?
フーッと一度軽く溜息をついて、俺もベッドの中に潜り込んだ。
そして、背中向けてるニノに背中からギューッと抱き締めた。

「おおの・・・さん・・・」
「ん・・・返事しないから死んでるかと思ったぞ。
良かった。ちゃんと生きてて。」
「ゴメンね・・・」
「何も言わなくていいよ。」
「えっ・・・」
「でも、一つだけ教えて?
ニノはおいらのことが嫌いになったんじゃないよね?」

ニノは小さく頷いた。

「うん。もうおいらはそれを聞けただけで安心した。
結婚は白紙にしてもいいよ・・・残念だけどね。」
「えっ?」

ニノはその言葉に驚いて俺の方を振り返った。

「ニノがそうしたいのなら、結婚はしない。
でも、おいらの大切な恋人には変わりない。」
「大野さん・・・」
「それも嫌か?」

俺の問い掛けに大きく左右に首を振ってみせた。

「でも・・・俺、あなたと一緒にハワイにも行けないんだよ?」
「そーなんだよなあ・・・そこをどうしたものか、なんだよ。
ま、それも時間掛けてゆっくり考えようよ。
おいら頭悪いから直ぐに良いアイデア浮かばないしさ。」
「大野さん・・・」

ニノが今にも泣き出しそうな声を出すから
俺も何だか胸がギューッと締め付けられて
そのままニノの唇に唇を重ねた。
お互いが好きって気持ちがその唇から伝わってくる。
そのまんま彼の首筋に唇を這わせたら
切ない溜息みたいな吐息が零れた。
こんなに好きなのに幸せになるには
あまりにも今の二人には障害が多過ぎて、
本当ならばくじけてしまう場面だと思うけど
言葉なんかよりも肌を重ねる事で
不安な気持ちを拭い去れるという事を
凄く単純なことではあるけど、俺達は知ってるから
今はただ、こうして夢中でベッドの上で
熱く激しく絡み合うことでお互いの愛を確かめ合うしかなかった。

 

つづく

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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