この指とまれ

この指とまれ 73

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この指とまれ

第73話

 

 

俺達の結婚が着々と進んでいた一方で、
実は会社でちょっとした事件が起きていた。
それは、この俺の事をあれ程好きだとアピールしていた風磨が
突然翔ちゃんに心変わりしたって話だ。
俺がそれを聞かされたのは、ハワイ出発のひと月前だった。
物凄く久し振りに翔ちゃんから誘われたんで
二人で飲みに出掛けたんだけど、何にも聞かされてなかった俺は
翔ちゃんの話にとにかくビックリしてしまった。

「そ、それマジで?」
「そりゃ大野さんも驚くよなぁ・・・」
「い、何時から?」
「あなたが俺にニノとの結婚の報告した辺りだから・・・
ちょうど2か月くらい前かなぁ。」
「それで?本当に一緒に住んでるの?」
「うん・・・」
「まさか翔ちゃんが風磨と・・・」
「俺も最初は困惑してた。」
「そうか・・・それで風磨のヤツ、ニノに祝福とかしてたんだ。
どうりで最近変わったと思ったよ。」
「一緒に暮らしてるとは言っても、別にあなたが思ってるような
特別な関係はまだ何もないんだよ。」
「ええ?そうなの?いいよ、嘘付かなくても。」
「う、嘘じゃ無いよ。信じてよ。」
「そんなの風磨が可哀想じゃん。ちゃんとあいつの気持ちに
応えてあげなよ。」
「うーん・・・でもなぁ。」
「だったらどうして一緒に暮らしてるんだよ?
好きだからでしょ?」
「いや・・・俺にもそこがちゃんと分かってなくって。」
「えええ?」
「飲んでたのよ、俺、あいつと。大野さんの事で
お悩み相談受けてさ・・・大野さんにはニノが居るから
諦めなって話をしたのは覚えてるんだけど・・・
とにかくベロベロになるまで飲んで、翌朝起きたらさ
風磨が隣に寝てたんだ。」
「えええっ?」
「いや、勿論服はちゃんとお互いに着てたけど。」
「まさか酔ってそういう事態になって、翔ちゃん責任感じちゃったとかか?」
「いや、責任とかでもないんだけどね。」
「どういうこと?」
「何て言ったらいいのかな?なんか、可哀想になっちゃってさ。
情が湧いちゃったとでも言うかね・・・
あいつは大野さんの事真剣に想ってたみたいなんだ。
あなたとニノがそこまで親密になってたって本人は知らなくて
俺から話を聞いた時、相当ショックだったんだろうね。
目の前でわんわん泣いちゃって・・・」
「そ、そうだったんだ・・・」
「うん・・・だからね、その後俺も気になって何度かこっちから
飲みに誘ったりしてるうちに、もう面倒になってきて
家で飲もうって自宅に招いたのが始まりでさ・・・
今に至ってるって感じなんだよね。」
「それは、愛情なの?」
「いやぁ、どうなんだろう?風磨は確かにチャーミングな奴ではあるよ。
だけど、どうだろう?俺の事は多分兄貴として慕ってるんじゃないかな。」
「なるほどね。」
「あなたへの失恋の傷が癒えるまでの間だと思ってるけど
風磨がこれからどうするのかは分からない。
うちに居る間、ずっと家事をやってくれてて
俺は凄く助かってるし・・・」
「もう一緒になっちゃいなよ。」
「もう、大野さん?他人事だと思ってるでしょ。
そもそもあなただって関係してるんだよ?」
「お、おいらも?」
「そうだよ。あなたが風磨とうまくやってくれてたら
こんな事にはなってなかった。」
「ちょっと待ってよ、おいらは確かに風磨から誘われたりしてたけど
ちゃんとしてたつもりだよ。ニノの事もあったから・・・」
「フフフッ、冗談だよ。」
「マジで勘弁してよ。」
「それより、どう?新婚生活は。幸せ?」
「あ、うん・・・めっちゃ幸せだよ。」
「そっか、そっか。そりゃご馳走様だな。」
「色々翔ちゃんには感謝してるよ。」
「移住の準備は進んでるの?」
「うん。おいらはアパート完全に引き払ってニノの家に居るし
あとはニノの荷物整理したりするだけかな・・・」
「そうそう、来週からあなたの通訳兼秘書になる人が
出社してくる予定だから・・・」
「え?現地採用じゃないの?」
「うん。それだと段取りとか間に合わないからね。
ひと月掛けて研修してもらうのよ。」
「そうなんだ。」
「4か国語は話せるらしいし、若いけどしっかりしてるから
あなたも安心して仕事出来るんじゃないかな。」
「へえ・・・すげえな。幾つなの?」
「今25歳とか言ってたな。名前は・・・知念君。」
「へえ。翔ちゃん何処でそんな人材見付けて来るの?
ハローワークじゃないよね?」
「彼はうちのイベントのお得意さんの社長の息子さんだよ。」
「そうなの?」
「うん。意外とこういう仕事してたら繋がりも多くてね。
あなただって、必ずハワイではそうなるよ。」
「ふうん・・・そうかなぁ。」
「あなたに会えなくなるの、俺もちょっと寂しいけど
俺はちょくちょくハワイの事業所には顔出すつもりだから。」
「うん、しょっちゅう来てよ。」
「それにしても楽しみだなぁ。あなたとニノの結婚式。
どっちがどっちなの?」
「ええ?」
「一応設定では必要でしょ?新郎新婦・・・」
「あ・・・考えて無かったわ。」

こんな話してたらハワイ行きもいよいよ感が高まって来た。
仕事はまだ不安なことだらけだけど、翔ちゃんは変わらず
サポートしてくれると言ってるし・・・
今の俺はニノとカズ君との新生活に期待で胸が膨らむばかりだった。

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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