この指とまれ

この指とまれ 78

この指とまれ

第78話

 

 

 

そして、ニノはハワイ出発までのおよそ2週間を家族水入らずで過ごし
俺も実家から会社に通った。
ニノとカズ君に逢えないのは寂しかったけど、
これから暫くすると、簡単に会えなくなる家族の事を考えたら
俺の寂しさなんてほんの数日で解消されるんだと思えば
大したことではなかった。
そしていよいよハワイへ旅立つ日がやって来た。

「それじゃ、行ってきます。」
「本当に行っちゃうの?」
「母さん、正月には戻って来るって言ってるのに。
たったの3か月会えなくなるだけだよ。」
「だって・・・」

ニノとカズ君を迎えに行くと、おばさんがあまりの名残惜しさに
涙を浮かべた。

「大野さん、うちの子と和幸の事、宜しくお願いしますね。」
「はい。もちろんです。安心して下さい。」
「それじゃ、行って来ます。ほら、かずゆき、ばあちゃんにバイバイは?」
「バイバーイ。」

そして俺達はそれぞれの両親に別れを告げ
タクシーで空港まで向かい、ホノルル行きの国際線に乗り込んだ。
夜出発の便だから、カズ君はニノに抱かれてスヤスヤと眠ってた。

「んふふっ・・・めっちゃ良く寝てるな。」
「そりゃもう昼間死ぬほど外で遊ばせましたからね。」
「それは正解だな。飛行機の中は退屈だから寝てた方が
あっという間に着くだろうからな。」
「そう思って俺も計画的に数日前から生活のリズム
ちゃんと整えておいたの。」
「流石だな。」
「てか、お久し振りですね。」
「ホント、2週間て長かったわ。」
「ここが限界でしたね。」
「うん、もうさ、もしこれ以上会えなかったとしても
おいら間違いなく会いに行ってたわ。」
「ウフフフ、それは俺もです。」
「ああー、早くチュウしたいよ。」
「こんな所でやめてくださいよ。」
「だって・・・ニノもでしょ?」
「そりゃそうだけど。我慢して下さい。あっち着くまでの辛抱です。」
「うううっ・・・マジかよ。おいらその前にどうにかなりそうだ。」
「それじゃ、映画でも見て意識をそっちに集中すれば?」

俺はそう言われて機内で放映されてる映画を見て
なんとか時間を過ごし、深夜には自然に眠くなっていつの間にか眠ってた。
そして翌朝ようやく現地に到着すると、
一足先に現地入りしていた知念が空港まで迎えに来てくれてた。

「大野さーん、こっちです。」
「おおー!朝からすまない。」
「おはようございます。」
「おはよう。」
「機内では眠れましたか?」
「うん、もう気付いたらハワイだった。」

荷物を車のトランクに積み込んで
俺は助手席、ニノとカズ君は後部座席に座り
新居になるマンションまで知念の車で向かった。

「知念君は何時から来てるの?」
「あ、僕は3日前からです。」
「ふうん・・・」
「知念君はハワイ結構詳しいらしいよ。」
「へえ・・・そうなんだ。」
「短期滞在なんですけど、ハワイに来るのはもう10回以上なんで。」
「凄いな。」
「お二人の新居のマンションは、フロアーは違いますけど
僕も同じマンションが社宅なんで・・・」
「そうなの?」
「櫻井さんが、その方がお二人も安心だろうって。」
「安心・・・?」

ニノがビックリしたと言った声を発した。
恐らく同じマンションというのは想定外だったのだろう。

「聞いてないな・・・」
「えっ?」
「あ、何でもないよ。」

バックミラーでニノの表情を確認したら
物凄く不愉快そうなのが顔に出てる。

「パパ、あれなぁに?」
「えっ?あー、海だけど。」
「うみぃ?」
「そうかぁ、カズ君は海とか初めて見るんだ?」
「日本に居る時、海とか連れてったことないから。」
「おおー、それじゃ後から泳ぎに連れてくか。」
「今日は無理でしょ。荷物整理とかしないと・・・」
「かじゅ、うみがいい。」
「海はまた今度だよ。」
「いやいや!うみがいい。」
「僕で良かったら和幸君を海に連れて行きますよ。」
「マジで?」
「結構です。」
「何で?知念君がそう言ってくれてるんだから
お願いしようよ。」
「で、でも・・・」
「遠慮なさらなくても大丈夫ですよ。
僕も挙式まで和幸君とお友達になっておきたいですし。」
「ほらぁ。折角そう言ってくれてるんだしさぁ、
カズ君も外で遊ばせた方がストレスになんないから
お願いしようよ。」
「う、うん・・・」

どうもニノは納得がいかないみたいだけど
何とか俺も説得して、この後午後から知念君に
カズ君の事を預かって貰う事にした。

 

つづく

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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