この指とまれ

この指とまれ 79

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この指とまれ

第79話

 

 

「着きましたよ。ここが社宅になります。」
「おおーっ、海も近いし最高じゃん。」
「それじゃ、正午過ぎ頃に和幸君をお迎えにあがりますね。」
「うん、色々すまないな。」
「いえ、これも私の仕事みたいなものですから。
それじゃ、また後程・・・」

知念と別れて俺達は自分たちの新居へと向かった。

「秘書って大変なんだね・・・」

ニノが不満そうにボソリと呟いた。

「え?う、うん・・・確かに。」
「俺には無理。絶対出来ないな。だって会社ならまだ分かるけど
プライベートの事まで面倒みるなんて・・・」
「マ、マネージャー的な感じなんじゃないのかな?」
「ふうん・・・至れり尽くせりですね。」

いちいち言い方に棘がある。
知念に対する態度が、どうも風磨の時とはちょっと違う
と感じるのは気のせいだろうか?
鍵を開けて部屋の中に入ると、そこはなかなかの広さで
ベランダからは海岸がパノラマに見渡せる絶景の見晴らし。
家具や家電は備え付けでダイニングキッチンとリビングがかなり広い。
寝室を覗いてみるとまるで高級ホテルのスイートルームみたいな
キングサイズのベッドが置かれてある。

「すげえな。」
「へえー、代表にもなると好待遇なんですかね。」
「翔ちゃんがさ、楽しみにしときなよって言うから
どんなんか期待してたんだけど確かにこれは凄いわ。」
「代表が全て準備してくれたんだよね?」
「うん。」
「流石センスいいですね。」
「あとで御礼言っとかないと。」
「下にスーパー有ったから買い物行きましょうよ。
お昼ご飯準備しないと。」
「えっ?外食でよくない?」
「ダメダメ。観光で来てるのとは訳が違うんですよ。
なるべく自炊して栄養有る物を食べないと。」
「えええっ?今日くらいいいじゃん。」
「悪いけど、俺は太った智なんか見たくないですから・・・」
「そっかぁ。こっちの食事はカロリー違うだろうからな。」
「そうだよ。全てにおいて高カロリー。日本人の体質には合わせてないからね。
俺達ってただでさえ食が細いんだから、
こういう海外での外食ってホント気を付けないと太るんだから。」
「日本料理店でうまい店とか今度知念に聞いておくかな。」
「また知念・・・」
「えっ?」

マズい・・・また墓穴を掘ったか?

「随分短期間で仲良くなったものだよね?」
「え、あっ、だってあの子は秘書だからさぁ。」
「あの子・・・?」
「な、何?ニノもしかして妬いてるの?」
「べつに・・・」
「大丈夫だよ。おいらが結婚してることは知念も分かってるからさ。」
「べつにって言ってるのに。」
「んふふふ・・・」
「何だよ?」
「可愛いなぁと思って。」
「バカじゃないの?早くスーパー行きますよ。」
「うん、その前にほらっ・・・」

唇をタコみたいに尖らせてチューを要求する。

「何なの?和幸が見てますよ///」

そんなの分かってるけど、ニノが照れる顔が見たくて
わざと言ってみたんだけどね。
案の定耳まで真っ赤になっててホントに可愛い。

「んじゃあ、後からねっ。」

俺はカズ君を抱き上げて1階に在るスーパーに食材を仕入れに行った。
このマンションは日本人の移住者も居るみたいで、
馴染みのある日本の調味料なんかも普通に置いてある。
ニノは大満足で買い物を済ませて再び部屋に戻った。
ニノが昼食の準備を始めて、俺は予め日本から送っておいた
荷物の荷解きを始めた。

「ニノ?カズ君のおもちゃはどの箱?」
「ああー、確か段ボールに印入れてると思ったけどな。」
「おっ、これか?」
「あー俺の段ボールは俺が開けるから触らないで!」

何か見られちゃまずいものでも入ってるのか?
ニノはキッチンから慌てて俺の方に駆け寄った。
そして段ボールの中からゴソゴソとカズ君のおもちゃを探して

「はい、和幸。これで遊んでな。」

そう言ってカズ君に車のおもちゃを手渡すと、
段ボールの蓋をシッカリと閉めて再びキッチンに戻った。
俺に見られるの嫌で必死に隠したりされると
余計に見たくなるのが人間の心理。
すげえ気になったけど、とりあえず自分の荷物だけ荷解きを進めた。

「智、かずゆき、ご飯出来たよー。」
「はーい。」

俺とカズ君は洗面所で手を洗い、ニノが作ってくれた
特製スパゲッティをペロリとたいらげた。

「あー美味しかった。ニノって料理上手いよね?」
「そうかな?一応2週間でみっちり母さんに料理教わったんだ。
基本、俺あんまり料理って好きな方じゃないんですよ。
だけど、これからは二人にキチンとしたものを作って
食べさせないといけないからね。」
「片付けはおいらがするよ。」
「うん、ありがとう。」
「ねえ?」
「ん?何?」
「あのさっきの段ボールの中さ、何入ってるの?」
「えっ?な、何で?」
「おいらに見られたらマズいやつ?」
「た、例えば?」
「エッチな本とか、エッチな道具とか・・・」
「はぁ?」
「だって見られたら困るんでしょ?」
「呆れた・・・どんだけ欲求不満なんだよ。」
「え?違うの?」
「いいですよ。中身見て貰っても・・・だけど絶対引かないって約束してね。」
「いいの?」
「約束して下さい。」
「うん、約束する。」

だって気になって仕方なかったんだもん。
俺が引くほどの物って何だろう?
そういう言い方するから余計に気になるんだよ。
俺はさっきの箱の所に戻ると、恐る恐るその中を開けてみた。

「それじゃ失礼して・・・え?」

蓋を開けてみたら、その中身は俺が想像してたのとは
また全然違う意味でドン引きするくらいの量のゲームソフトが
びっしりと隙間なく詰め込まれていた。

 

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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