この指とまれ

この指とまれ 8

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この指とまれ

第8話

 

 

その後、俺達は宿泊先のホテルの部屋に荷物を置きレンタカーを借りて教会の下見に向かう事にした。
カーナビを頼りに教会を目指し、30分程でその場所に辿り着いた。

「ここかぁ・・・」

駐車場に車を停めて、教会の中に入ってみた。
相葉君が連絡は入れてくれてるから、そこの支配人と午後2時に会う約束になっていた。
到着が少し早かった為、まだ支配人は来ていないみたいだった。
とりあえず、俺とニノは教会の中の一番後ろの座席に並んで腰を下ろして
支配人が現れるのを待つ事にした。

「ちょっと早かったですね。」
「ああ、でも遅れるよりはいいと思うよ。」
「そうですね。」
「ひとつ聞いても良い?」
「はい?」
「ニノも結婚式は教会だった?」
「え・・・あ、俺式は挙げて無いんです。」
「そうなの?」
「はい。だから僕なんか何もお役には立ちませんよ。」

式を挙げて無いんだ。
ってことは、デキ婚とかってことか?
子供が先でも後から式を挙げるカップルは幾らでもいるからこれからなのかな?

「予定も無いの?」
「ありませんね・・・」

何かあっさりした言い方に聞こえる。
その後会話が続かず、暫く沈黙が続いて何だか妙に気まずい空気が漂った。
個人的な事聞いちゃまずかったかな。

「そろそろ時間ですけど、支配人さん来ませんね。」
「場所はここで合ってるよな。」
「はい、この資料見る限りはここで間違いないはずですけど。」

そんな事を話していたら、ガチャッと後ろの扉が開く音がして
俺とニノは慌ててその場を立ち上がり振り返った。

「どうも、遅くなってすみません。」
「あ、どうも初めまして。」
「遠路遥々ようこそしらっしゃいました。早速打ち合わせ始めましょう。どうぞこちらへ。」

俺達は教会の奥の控え室に案内された。

「どうぞ、お座りください。」
「どうも・・・失礼します。」
「早速なんですが、式の当日はどちらが新郎でどちらが新婦になられますか?」
「えっ・・・?」
「誓いの言葉を読み上げる際に一応決めておかなければならないのです。
あ、これは形式上だけの話なので、そこまで神経質に考える必要はないですよ。」
「え・・・あ、あの・・・」

何かさっきからちょっとこの人話がズレてる?
ひょっとして俺達が支配人だと思って挨拶したこの人ってここの神父さんとかか?
誓いの言葉とか言ってるから、間違いなくそうだ。

「ちょっとお尋ねなんですけど・・・」
「ん?何でしょう?何なりとご質問されて下さい。」
「あなたはこちらの教会の神父さんですよね?」
「は?勿論そうですが・・・」
「あの、神父さんは支配人も兼ねていらっしゃるのですか?」
「いえ、支配人は別です。」
「あっちゃー」

横で黙って聞いていたニノが、この会話に堪えきれなくなってクスクスと笑い出した。

「こ、こら、ニノ。」
「ご、ごめんなさい。だって・・・フフフッ・・・面白過ぎるから。」
「えっと、神父さん、ホント申し訳ないんですけど、僕達そんなんじゃないんです。」
「えっ?」
「僕達は東京から来月の挙式の打ち合わせをしに来たんです。」
「はぁ・・・お約束をしてましたよね?」
「なんていうか、その結婚するのは僕らじゃないんですよ。」
「えええっ?」
「僕らはウエディングプランナーの大野と二宮です。」
「ウエディングプランナー?つまり、お二人がご結婚されるのではないのですか?」
「ええっ?マジで僕達そういう風に見えました?」

ニノはその会話を聞いて更に腹を抱えて笑い出した。

「ったく・・・相葉ちゃん、どういう仕事してんだ?」
「あはははっ・・・傑作ですね。」
「ここ最近同性カップルの挙式が続いたのでてっきりお二人もなのかと・・・」
「すみませんね、うちの会社の者が説明不足で。」
「いえいえ、こちらこそとんだ勘違いをしてしまって。
あぁ、そうでしたか。お二人のご結婚では無いんですね。」
「あの?そんなに同性カップルの結婚って多いんですか?」

ニノが身を乗り出して質問する。

「こちらでは結構多いんですよ。あ、現地の方の話では無くて
遠方からご本人達のみとか、身内だけで来られるってパターンです。
ここは人口も都会の様に多くないですからね・・・
誰の目も気にせずに挙式出来るって理由で選ばれてるみたいでして。」
「そうかぁ、なるほどねぇ。」
「今日はご本人様が下見にいらっしゃると聞いていたので
支配人でなくて私が打ち合わせをと言われてましたので・・・」
「えっと、依頼主がこちらの敷地内でパーティ披露宴をご希望なんですよ。
その件を細かく打ち合わせしておきたいのですが・・・」
「分かりました。その辺のお話も私がお伺いして支配人の方に伝えておきましょう。」
「何かうちの者の伝達が上手くいってなかったみたいでホントすみません。」
「いえいえ。どうかお気になさらずに。」

まさかの俺とニノがカップルに間違えられるという、ちょっとしたハプニング有ったけど
まぁ、その誤解も解けて式の大まかな段取りは無事に終える事が出来た。

 

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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