この指とまれ

この指とまれ 83

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この指とまれ

第83話

 

 

side nino

「あー美味しかった。ご馳走様でした。」
「また何時でもいらして下さい。」

知念の手料理をご馳走になった俺達は、満腹で自宅に戻った。
俺は、さっきの智の言葉が引っ掛かって面白くなかった。

「だけど、知念があんなに料理が得意なの知らなかったな。
あれはマジで店が出せるレベルだよ。どうして秘書なんか
引き受けたんだろうな?」
「知りませんよ。」
「ん?何?なんで怒ってるの?」
「智って何時からそんなデリカシーの無い男なんですか?」
「ええっ?おいら何か言ったか?」
「すみませんね、俺の料理は不味くって。」
「そ、そんなことおいら言ってない・・・」
「知念君に料理習えばって言いました!」
「え?あっ・・・あれはそういう意味じゃ・・・」
「そんなに毎日美味しい料理が食べたければ
料理の腕前がプロ並みの人を探せば良かったんだよ。」
「ちょっと待ってよ。何もおいらはニノの料理が不味いとか
全然思ってないからね?」
「どうだか・・・」
「にのぉ・・・もう、勘弁してよぉ。」
「悪いけど、俺の料理はレパートリーに限りがあるんで。
最悪飢え死にさえしなければいいと思ってるんで。」
「ニノの作る物は何でも美味いよ。」
「今更そんなこと言われてもね。」
「本当においらはニノが作る料理は全部好きだよ?」
「あ、そう?それじゃこれからはレトルトカレーかレトルトハンバーグだから。」
「うん、うん。それでも良いよ。」
「あー、なんか疲れたぁ。和幸、歯磨きして寝るよ。」
「はぁい。」

本当は言っててとても虚しかった。
言い訳するわけじゃないけれど、何だかさっき
自分に無いもののアピールされた気分だったんだ。
実際俺は料理が得意な方ではない。
俺が誰にも負けない事と胸を張って言えるのはゲームくらいだし
あと、智を好きな気持ち?
だけど、それも正直今は自信が無い。
だって、俺は自分が面白くないからといって智に八つ当たりなんかした。
最低だよ・・・完全に自己嫌悪に陥る。
俺はその場の空気に耐えられなくなり、
和幸にパジャマを着せて、歯磨きをさせ、
子供部屋のベッドで和幸の隣に添い寝すると
いつものようにお気に入りの絵本を読んで聞かせた。
今日も一日中外出したりしてたから、和幸は疲れ果てたのか
あっという間に眠ってしまった。
子供の寝顔って天使だから、嫌な事も直ぐに忘れさせてくれる。
俺もこんな純粋な可愛らしい時期はあったはずなんだよな。
はあっ・・・深い溜息をつきながら、和幸の頭をそっと撫でた。
重い気持ちのまま子供部屋を出てリビングに向かうと
智が俺のゲーム機を起動して一人で遊んでた。

「おっ、ニノ、ちょっとこれどうやんの?」
「智・・・」
「何回やってもわかんねぇんだよ。」

俺が不機嫌なのも全部分かってて、俺の好きな事で
何とか俺のテンションを上げようとして
わざわざ合わせようとしてくれてるのが痛い程分かる。
智ってそういうところある。本当に優しい。
それに引き換え、俺ってなんて女々しいヤツなんだろう。
智がこんなクズみたいな俺に優しくすればするほど心が痛む。

「ゴメンね・・・」

俺は泣きそうな声でそう言って智の背中に抱き着いた。

「んふふ・・・何言ってんだよ?な、教えてよ?これ、こっからどうやるの?」
「俺、あいつみたいにまでは無理だけど・・・ちゃんと料理覚えるよ。」
「ええっ?ニノ・・・」
「だから・・・嫌いとかにならないで。」
「馬鹿だなぁ。誰が嫌いなんて言った?」
「智・・・」
「ったく・・・分かってないなぁ。」
「え?」
「まだ分かってくれてないんだ?おいらがどんだけニノの事が好きか・・・」

智はそう言って俺の方を振り返るとギューッと
俺の身体を抱き締めた。
そしてそのままフロアーに倒れ込み縺れ合う様に
長く激しいキスを繰り返した。

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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