この指とまれ

この指とまれ 85

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この指とまれ

第85話

 

 

side nino

それから3週間が過ぎ、いよいよ俺達の挙式の日が近付いて来て
日本からわざわざその日の為に翔さんと菊池がハワイにやって来た。
俺は智に頼まれて空港まで二人を迎えに来ていた。

「代表!こっち、こっち!」
「おおーっ、ニノ、お久し振り。」
「菊池君もわざわざありがとうね。」
「二宮さん、お元気そうで・・・」
「二宮さんは可笑しいだろう?もうニノは大野さんの正式な奥さんなんだから。」
「あっ!そうだった。」
「いいですよ、別に呼び方なんてどうでも。」
「あっ、それに代表はこっちでは大野さんだからね?」
「ええっ?だって代表は代表でしょ?」
「櫻井でいいよ。」
「うーん、それじゃ翔さん?」
「あははっ、うん、それでいいや。」
「それじゃ、乗って下さい。先ずはホテルですよね?」
「ゴメンね、ハイヤーみたいな真似させちゃって。」
「いえいえ、本当はあの人もお迎え来たかったみたいなんだけど
通常の営業有るから無理だって・・・。代わりに行ってくれって
頼まれたんです。どうせわたしは家に居ても暇なんで・・・」
「えっと、今回はね、ホテル予約してないんだよ。」
「ええ?何処に泊まるんですか?」
「セカンドハウス。」
「えっ?」
「こっちに以前来た時に手頃な価格の物件があったんで
思い切って購入したんだよ。」
「す、凄いな・・・」
「ここから1時間掛からないんだ。案内するから
そこまで乗せてって貰えるかな?」
「分かりました。へえ・・・別荘在るなんて知らなかったな。」

翔さんは助手席、菊池君は連れて来てた和幸と後部座席に乗り込み
一路、俺は翔さんの別荘へと向かって車を走らせた。

「菊池君はハワイは?」
「初めてなんです。」
「そうなんだ?」
「だからもう楽しみで楽しみで・・・それより、大野さんは
お変わりないですか?」
「え・・・あ・・・うん・・・」
「ん?どうした?何か元気ないけど?」

翔さんが助手席から俺の顔を覗き込んだ。

「最近、休みの日になると毎週必ず一人で出掛けるんですよね・・・」
「ん?一緒にじゃなくて?」
「ええ。一人でです。」
「ど、何処に?」
「本人いわく、釣具屋だそうですけど。」
「確かに大野さん、釣り好きだからなぁ・・・」
「でも、一度も釣具屋で買い物してきたこと無くて。」
「何か買いたくてどうしようか迷ってるだけなんじゃないの?」
「ええ、そうかも。一度、和幸を一緒に連れてってあげてって
頼んだ事も有るんだけど、今度ねって交わされちゃって。
俺は釣りとか分かんないし、興味も無いから一緒に行く気にも
ならないんですけどね・・・なーんか様子が変なんですよね。」
「え?もしかして浮気?」
「こ、こら、風磨!いい加減な事口走るんじゃないよ。」
「だって・・・」
「慣れない土地で浮気のしようも無いとは思うんですよね。」
「俺から大野さんにそれとなく聞いてあげようか?
何か事情があるのかも知れないし・・・」
「あ、いえ。この話はここだけの話にしておいて下さい。」
「で、でも・・・」
「いいんです。俺はあの人を信じてますから。」
「そ、そうだよな。いくらなんでも大野さんがニノ以外の人に
気持ちが離れちゃうなんて事が有る訳が無いもんな。」
「すみません、何か変な話になっちゃって。」
「いやいや・・・何か困ってる事あったら何時でも言って。
俺なんかでよければ何時でも相談に乗るからさ。」
「ありがとうございます。でも、ホント大したことじゃないんで。」

結婚式に来てくれてるというのに、こんな話をしちゃうなんて
俺もどうかしてる。
だけど、翔さんと風磨に話した事は何一つ偽りない事実なんだ。
近頃、帰りも少しずつ遅くなってるし・・・
日曜になると半日程だけど必ずといっていい程
一人で出掛ける事が増えた。
お互いを干渉しない事が夫婦円満の秘訣だってことは
百も承知なんだけど、英語もろくに話せない智が
一人で釣具屋行って一体何をしてるのか?
俺はそろそろ後をつけてみようかとも真剣に考えたりもした。
だけど、仮にそんな事をして浮気でもされてたらと思うと
不安で平常心を保てなくなるのが分かる。
だから信じるって決めたんだけど・・・
外でこんな事話してしまうのは、俺が信じると言いながら
完全に疑ってる証拠なんだと思う。
家に引き籠って専業主婦してる女性の気持ちがようやく分かった。
旦那さんが家庭に落ち着かないのはその生活が窮屈に感じるから。
智はもしかすると、俺との暮らしを窮屈に感じ始めてるのかもしれない。
だったら、自分の時間も必要なんだろうから
そっとしとくしかない。
元々智は独身貴族だったわけだから、束縛される事は
苦手なの分かってる。俺も反対の立場なら分からなくもない。
夜の営みが途切れないってことは、浮気とかじゃない筈。
だからひたすら信じるしかない。

「あ、ここだよ。」
「え?あ、ここ?」

案内されて到着した翔さんの別荘は、恐ろしく高そうな豪邸だった。

「うわぁ・・・すげーっ」

菊池も思わず絶句する。

「暫く来てないからほこりだらけかも。とにかく中に入ろう。」
「あ、はい。」

トランクからスーツケースを降ろして中に入った。
敷地がとにかく広くて、中庭にはプールも付いてた。
翔さんは全ての部屋の窓を開けて家の中に外の空気を送り込んだ。

「風磨、カズ君を頼むよ。俺はニノと買い物に行って来るから。」
「了解です。」

俺と翔さんは再び車に乗り込み、近くのスーパーへと出掛けた。

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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