この指とまれ

この指とまれ 90

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この指とまれ

第90話

 

 

翔ちゃんの別荘に到着した俺は、初めて見るその別荘の凄さに
驚くばかりだった。

「すげえな。マジで・・・」

そりゃ、参加者全員招いてバーベキュー大会が出来るくらいなんだから
相当広い屋敷に違いないとは思っていたけれど、自分の想像を遥かに
超えていた。

「翔ちゃん、日本に居る事が多いのに何でこんな立派な別荘なんて買ったの?」
「え?ああ・・・実はさ、新事業を考えてた当初は俺がハワイに来て
あなたを日本に残すつもりだったんだよね。」
「えっ?そうなの?」
「うん・・・だけど、今の日本の会社が色んな分野の仕事を抱えるように
なったでしょ?あなた一人にそれを任せるのは流石に酷な話だなと思って
考え直したんだよ。
新事業所の社屋や、従業員の住居を準備してた時にここの物件の話を聞いて
もう即気に入って契約したんだけど、まぁ解約するの勿体ないかなって
そのままにしといたんだよね。」
「そうだったんだ。」
「ニノにも話したんだけど、良かったら時々ここ使ってくれて良いから。」
「それはうちらは有難いでしかないよ。」

別荘の中に入ると、既に庭先にバーベキューの準備が施されていた。
流石はイベント企画のプロ達だ。

「二宮さん、早速なんですが、これ・・・」

松本君が俺とニノに何やらショッピングバッグをそれぞれに手渡した。

「ん?何なの?」
「今からこれに着替えて来て下さい。」
「えっ?着替えるの?」
「はい。それが今回の罰ゲームですんで・・・」

松本君がそう言って嬉しそうにニヤニヤと笑った。
もう、その手渡された袋の中身がどういったモノなのか
その松本君の表情で想像は出来る。
きっと、負けた方はとんでもない格好に着替えなくちゃなんないんだ。

「えーっ、やだな・・・」
「やっぱ、おいらが代わってやるよ。」
「結構ですよ。お二人の間で話し合ってチェンジなさっても。」
「ええっ?それじゃ何で対決したか意味が無くなるでしょ。
いいよ。勝負に負けたのは俺だから・・・」
「それじゃ、俺達は待ってますんで、急いで着替えて来て下さい。」

俺達は翔ちゃんに案内されてゲストルームに入った。
そして、お互いのバッグの中身を取り出すと、
俺の方は普通にアロハシャツ、ニノの方はなんと・・・
フラダンスの女の子のコスチュームだった。

「いや、待ってよ。これビキニだよね・・・」
「マジか・・・」
「今日って本当に結婚式ですよね?」
「うん、そのはずだけど・・・」
「何でフラダンスなの?」
「ビキニはマジで気持ち悪いでしょ。」
「でも腰みの着けるからモロには見えないよ。」
「そういう問題?」
「まぁ、とりあえず着てみ?」
「あ、面白がってるよ、この人・・・」
「面白がってはいないけど・・・」

と言いながらやっぱり自分じゃなくて良かったと
心の中で思ったりもした。

「目が笑ってるじゃない。」
「絶対おいらよりニノの方が似合うって。
元々色白だし、女の子みたいに可愛らしいから
意外と似合うと思うよ。」
「地獄だな・・・」

ニノは口を尖らせてブツブツと文句を言いながら
仕方なくそのフラダンスコスチュームに着替え始めた。

「俺の着替え見なくていいから、さっさとあなたも着替えろよ!」
「んふふふ・・・分かってるよ。」

ピンク色にグリーンのモンステラ柄のビキニを身に着けたニノは
どうしても膨らんでしまう股間が気になるのか、
若干前屈み気味で内股になってる。
だから俺も余計にそこに目がいくのは仕方のない事。
ニノは体の線が柔らかいし、体毛も少ないからホントに違和感がない。
それでも恥ずかしいのか?ニノは猛スピードで腰蓑を着けた。
腰蓑のお陰で股間は全然気にならなくなった。

「似合う、似合う!」
「心の中で笑ってるくせに。」
「笑ってなんかいないって。マジでめっちゃ可愛いよ。」
「もうさ、こんな格好マジで今日だけだから!
罰ゲーム嫌だとか言って俺がぶち切れたりして折角の雰囲気を
台無しに出来ないから着てますけど、普通だったら絶対に
こんな屈辱的な格好しないからね?」
「んふふ、分かってるって。」
「でも何で結婚式にこの格好なんだろうね?」
「ハワイだからだろ。」
「結婚式に?」

結婚式に拘りは無いと言ってたニノでもやはり今日のこの日は
密かに楽しみにしていたところはある。
だから「結婚式」という言葉をしきりに繰り返すのかもしんない。
まだそういう意味ではウエディングドレスの方がマシだったかも。

「ゴメンな・・・」
「え?何であなたが謝るの?」
「今回は自分の結婚式だから流石に監修に入れなかったんだ。
こういう内容になるなんて思ってもみなかったからさ・・・」
「ま、いいですよ。だって罰ゲームでこれよりキツイ事だった場合
引き受けられるか自信ないですもん。コスプレなんて考え方に寄っては
可愛いもんですよ。」

一瞬でポジティブに切り替えられるのもニノの良い所だと思う。
だけど、コスプレよりキツイ罰ゲームって例えば何が有るのか?
俺はそんな事を頭の中で考えながら自分の服を着替えた。

「大野さーん、二宮さーん、そろそろ出て来て貰えますか?」
「あ、ハーイ。今行きまーす。」

俺達はもう完全に開き直って皆が待ってる庭先に向かった。

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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