この指とまれ

この指とまれ 91

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この指とまれ

第91話

 

 

着替えを済ませて庭先に戻ると、皆が一斉にクラッカーを鳴らして
俺達の事を盛大に出迎えてくれた。
そりゃまぁ当然のことなんだけど、とにかく罰ゲームと渡された
フラダンスコスチュームを身に着けたニノに皆の注目が集まって、
俺はその時、初めて自分の嫁さんの恥ずかしい姿が
他の奴らの目の晒し者になるという、何とも言えない嫌悪感を覚えた。

「だ、駄目だ!皆見ないでくれ!」

そう言って俺は両手を広げてニノの前に立ちはだかった。

「え?智?どうしたの?」

ニノが俺のその行動にちょっと意外だったのか?
不思議そうな声で俺にそう問い掛けた。

「大野さん、駄目だよ。これ罰ゲームなんだからさ。」
「ダメだったら!罰ゲームならもっと他にあるだろが。」
「智?俺平気ですよ?」
「ニノは良くてもおいらが駄目なんだって!」
「おおちゃん、気持ちは分かるけどさ、ニノちゃん似合ってるじゃん。」
「相葉ちゃん、だから嫌なんだよ。」
「あははっ、心配なんだ?他の奴にいやらしい目でお嫁さん見られると思うからでしょ?」
「うううっ・・・」
「俺、男だし、おっぱいポロリも残念ながらないよ?
何が心配なの?馬鹿だなぁ。」
「だって・・・」
「ニノちゃんがあんまり可愛いから、他の奴に横取りされるって
心配してるんだよね?おおちゃん。」
「ううっ・・・」
「もぉー、だったらどうしてさっき着替えてる時に言わないんですか?
この期に及んで往生際悪いって思われるの俺なんだからね。」
「まぁまぁ・・・とにかく、お二人さんこっちへどうぞ。」

松本君が笑いながら俺達を手招きした。
中庭のプールの向こうサイドに設置された真っ赤なバージンロード。
どうやらここで式を執り行うみたいだ。

「ええっ?まさか・・・ここでするの?」
「マジか・・・」
「ウェディングドレスにしようか凄く悩んだんですよ。
だけど、ハワイってこともあるし、ハワイらしい格好の方が
いいかなって思ってこういう事になりました。」

松本君がそう言いながら、俺達にカラフルなハワイアンレイを掛けてくれた。

「ニノは翔さんとあっちからバージンロードを歩いて来てくれる?」
「え?ああ・・・うん。」

バージンロードのスタート地点に翔君がタキシード姿でスタンバイしてた。
ニノは照れ臭そうに頭を掻きながら翔君の傍まで走り寄った。
横からカズ君が現れてニノにブーケを手渡した。

「はい、パパどうぞ。」
「あ、ありがと。かず・・・」
「パパ?おっぱい?」
「え?あ、これか?違うよ。これはこういうお洋服なんだ。」
「ふうん。」

カズ君もニノが身に着けてるビキニのブラが気になって仕方ないみたいで
必至でそれを触りたいみたいで、小さい手をニノの胸に向かって伸ばしてる。
カップ入ってるから、本物のおっぱいだと思ってるんだ。

「それじゃ、神父の入場でーす。」

松本君の合図で現地の太った牧師さんが姿を現した。
これって、結構本格的なヤツじゃん。
神父さんは俺に近付くと、いきなりハグして来た。

「Satoshi、このたびは・・・おめでと・・・ございます。」
「あっ、ど、どうも・・・」

片言だけど日本語も話せるらしい。

「それでは・・・始めましょう。」

窓全開の部屋の中から、録音されたパイプオルガンの音が響き渡り、
ニノが翔君と腕を組んでバージンロードをゆっくりと
こっちへ向かって歩いて来る。
本当なら感動する場面なんだろうけど、
どうしてもニノのフラダンスコスプレが気になってそれどころじゃない。

「はい、大野さんお渡ししますよ。」
「う、うん・・・」

ニノが翔君から離れて俺の隣に並び、俺と腕を組んだ。

「な、なんだかなぁ・・・」
「ウフフッ、いいじゃないですか。同性カップルの結婚式らしいですよね?」
「そうか?」
「新郎、大野智・・・あなたは、健やかなるときも病める時も・・・
新婦二宮和也を生涯妻として愛し、尊い、いつくしむことを誓いますか?」
「ち、誓います。」
「新婦、二宮和也・・・あなたは、健やかなるときも病める時も・・・
新郎大野智を生涯夫として愛し、尊い、いつくしむことを誓いますか?」

一瞬ニノは俺の目を笑いながらチラリと覗き込んだ。

「はい。誓います。」
「それでは、誓いのキスを・・・」
「え?マジで?」

俺は皆の前でキスなんて出来っこないと戸惑ってしまった。
だけど、ニノは何の躊躇いもなく俺の顔を自分の方に引き寄せて
あっけらかんとキスをしてみせた。
その瞬間、拍手と指笛が鳴り響いた。
俺はどうしてか感動過ぎてボロボロと勝手に涙が溢れた。

「え?どうしてあなたが泣いてるの?」
「わ、分かんないけど、感動した・・・」

ニノはそんな俺を笑いながら抱き締めて、
再び頬に優しくキスをした。

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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