この指とまれ

この指とまれ 16

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この指とまれ

第16話

 

 

「ねっ、ちょっと、今風磨が言ってた事本当なの?」
「だからこれには深い訳が有るんだって。」
「ほ、本当なんだ?」
「もう、翔ちゃんまでいい加減にしてよ。」
「だって、だからさっきあなた相部屋の事をどうとか言ってたんでしょ?」
「おいら本当に何にもしてないよ?」
「そ、そうなの?」

ほら、翔ちゃんだってもう疑ってる。
一緒に寝たというワードは確かにパンチ有り過ぎるからな。
それにしても、ニノのやつ・・・
隣のテーブルに目をやると、ニノは平然と風間君達と談笑してる。
俺はまだ疑ってる翔ちゃんに、事の真相を全て話した。

「・・・そういう訳だから、おいらは何もしちゃいないんだ。」
「なるほどね、そういう事だったのか。でもさ、どうして朝目を覚まして直ぐに
それを二宮君に説明しなかったの?ちゃんと話しておけば誤解も直ぐに解けただろうに。」
「おいらも話そうと思ったよ。でも、ニノが寝惚けてたのか何なのか分かんない感じでさ
まるで何事も無かったかのように振舞ったから、言えなくなっちゃって。」
「それにしたって、東京に戻るまでに何度も説明する時間は有っただろうに。」
「もうさ・・・面倒臭くなっちゃって。必死で真実を訴える事で
余計に言い訳してる様に聞こえたりすること有るじゃん。」
「酒で失敗するパターンは聞いたことあるけど、同性のそういうのは珍しいからな。
ましてやそこに、あなたに片思いの風磨が絡んで来てめっちゃ三角関係って・・・」

翔ちゃんは堪えきれなくなってクスクスと笑い始めた。

「面白がってるの?」
「あっ?ゴメン、ゴメン。決して面白がってる訳じゃないけど、
なーんかあなたらしいなぁと思って。」
「え?どういう意味だよ?」
「昔から優しいとこ有るから誤解を招きやすかったじゃない?」
「そうかなぁ・・・」
「そうだよ。今回だって別に寝相悪くてベッドから転倒しようが、
普通は放っておくと思うんだよね。それを見て見ぬふり出来ないって
ホント大野さんらしいっていうかさ。結局二宮君もまだ本当の事は知らなくて
誤解したまんまなんだよね?俺から話してやろうか?」
「いいよ。」
「どうして?」
「結果、勝手に傷付いちゃったみたいだけど、風磨は諦めてくれたみたいだし
多分、彼はおいらを助けてくれたつもりなんだろう。」
「そうか、なかなか気転の利くやつだな。」
「ま、あの時飲み過ぎたおいらも悪いんだし・・・もう忘れる事にする。」
「モテる男は辛いねぇ。」
「冷やかさないでよ。」

それから暫く和やかに飲み会は続き、2時間ちょっとでお開きとなった。

「大野さん、どうする?二次会行くの?」
「いや、今夜はやめとく。」
「そうだよね。出張帰りだから疲れてるもんね。」
「うん、ゴメン。また別の機会に誘ってよ。」
「また改めて誘いますよ。それじゃ、お疲れ様でした。」
「お疲れ様。またね・・・」

他の連中は居酒屋を出てぞろぞろと二次会のカラオケ屋の方向に歩いていく。
俺は皆と逆方向の地下鉄の駅に向かって歩き出した。
明日は仕事も休みだから、本当は二次会に参加しても良かったけど
流石に疲れてたから、早く自宅に帰りたかった。

「大野さーん。」

後ろから聞き覚えのある声に振り返ると、ニノがこっちに向かって走って来てた。

「あっ・・・」

俺はその場に立ち止まり、ニノが俺に追い付くと二人で並んで歩道を歩いた。

「二次会行かなかったんだ?」
「まさかぁ。さっき宮古島から戻ったばかりなのに・・・」
「そっかぁ、そうだよね。カズ君も奥さんも待ってるもんね。」
「え、まぁ・・・」
「あっ、そう言えばさっき・・・」
「ああ、菊池君ですか?」
「うん、何て言ったの?」
「なんかね、あいつ俺に挑発的態度取るんですよ。で・・・
たまたまあなたがあいつに告られて困ってるの見ちゃったんで
つい、一緒に寝たって教えてあげたんです。それでも信じないから
直接聞いたら?って促したら本当に確認しに行くから・・・」
「あのさ、一緒に寝たからっておいらは別に何もしてないからね?」
「そんなの分かってますよ。でもあなたもそれを否定しなかったんですよね?
だから菊池君は怒ってそのまんま帰ってしまった。」
「う、うん。」
「良かったじゃないですか。お役に立てた訳だし。」
「だけど一緒に聞いてた翔ちゃんまで驚いてた。」
「ウフフッ、それは誤算でした。すみません。」
「もう、いいよ。言っちゃったものはどうしようもないもん。」
「気持ちを打ち明けて来た相手に思わせ振りな態度って
本当は一番やってはいけない事なんですよ。
あなたが菊池君を受け入れるつもりがあるのなら話は別ですけどね。
そうでないなら相手を諦めさせるには他に好きな人が居る・・・
仮に嘘でもそのくらいの事を伝えるのが効果的なんです。」

確かにね。それは分かるけど、何も相手が同性のニノじゃなくたって・・・
しかもこれって不倫関係ってことじゃん。
もう、余計ややこしくなるわ・・・
俺は顔を歪めて頭を掻くしかなかった。

 

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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