この指とまれ

この指とまれ 36

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この指とまれ

第36話

 

 

業務拡張の話はそっちのけで、いつの間にか俺達の話題は
俺の恋愛相談に変わってしまってた。
翔ちゃんが親身に話を聞いてくれてるうちに
何か良いことを思い付いたみたいで、ちょっとハイテンションで
俺にその「良い事」の中身を話し始めた。

「で?ニノの気持ちを確かめるって、どんなことすんの?」
「うん、ちょっとニノには悪いけど・・・軽く騙されて貰う。」
「えっ?騙すの?」
「そう・・・」
「だ、駄目だよ、そんなの・・・」
「でも、あなたはニノのこと諦めきれないんでしょ?」
「う、うん。でも騙すとかそういうのは駄目だよ。」
「それならもう一度当たって砕ける?」
「えー?砕けたくはない。」
「でしょ?だったら黙ってここは俺の話聞いても損はしないと思うよ。」
「何する気?」
「あ、その前に一つだけ確認しとくけど、もしもだよ?
もしもニノの気持ちが残念ながらあなたに傾いて無いことが
確定したとしたら、その時はきっぱり諦められる?」
「えええ?待ってよ。何それ?」
「あのさぁ、言っときますけど恋愛なんてさ、ましてや相手が同性なんだ。
普通に考えたって双方の気持ちが通じなきゃ成立しないんだよ?
残酷な事を言うようだけど、相手が自分の事を受け入れられないと
頑なに思ってる場合、どんなにあなたが頑張ったとしても
それは120%上手くはいかないからね?」
「そ、そうなの?」
「だって、あなたがそうでしょ?」
「えっ?」
「風磨のことよ?」
「ああ・・・確かに・・・」
「ね?風磨がどんなにあなたの事振り向かせようと頑張っても
あなたが他所を向いてる限り絶対無理なんだよ。」
「うん。本当だ・・・」
「もしかするとあなたにとって必ずしも嬉しい結果は得られないかも知んない。
だけど、こういう事は長引かせない方が良いと思うんだ。
長引けば長引くほど傷が深くなる可能性が高い。」
「ええっ?何、それってもうニノに見込み無いの前提の話じゃん。」
「勿論結果は俺にもまだ分からないけど、そこは大野さんも大前提として
ある程度の覚悟しといた方が良いって話をしてるのよ。」
「マジか・・・」
「では本題に入りましょうか。」
「何するの?」
「今からそれを説明しますってば。まぁ、焦りなさんなよ。」

翔ちゃんはビールを飲み干すと再び店員を呼んで水割りを注文した。

「恋愛相談って、気の置ける相手にしか出来ないよね?大野さんも
俺だから話してくれてる。それは俺の事を信頼してくれてるから。
・・・ですよね?」
「も、勿論。」
「これを利用するんですよ。」
「え?利用?」
「ここからはシナリオね。あなたにはちょっと抵抗が有るかも知れないけど
ニノのあなたに対する気持ちを知るのに一番手っ取り早い方法なんで
ここは腹括るしかないですよ。」
「な、何?」
「いい?これはあくまでもお芝居だから、そう思って聞いて。
大野さんはこの俺に恋をしてしまった。
その事でニノにどうしたらいいかを相談する。」
「えええ?おいらが翔ちゃんを?」
「勿論それは作り話だからね。」
「そ、そんな芝居おいらには絶対無理だって・・・」
「大丈夫だって。今あなた俺に相談したじゃない。
それと同じニュアンスで構わないんだよ。ただ相手を
俺に変えるだけの事だから・・・」
「どうして翔ちゃんなの?」
「あ、別に風磨でも良いけど。」
「いや、それはマズいよ。」
「でしょ?相手は俺じゃ無くても誰だっていいんだよ。
でも、後々俺の方が疑われた時に話が変に拗れないでしょ。」
「なるほど・・・」
「ニノは大野さんと特に仲の良い友達でいたいと言ったんだよね?」
「うん。」
「だったら、ニノにだから話すけど・・・みたいな取っ掛かりで
かえって話易いと思うんだけど。」
「ええ・・・でもどうすんの?ニノがそれ本気にしたりなんかしたら。」
「そこが重要なんだよ。」
「えっ?」
「本気にしてくれなきゃ困るでしょ。こっちは気持ちを確かめたいんだ。
疑われちゃ始まらないでしょ。」
「だって、本気でアドバイスとかされちゃったらおいらどうすればいいの?」
「そこそこ!そこだよ。そこで判断するしかないんだよ。」
「ええっ?」
「応援してあげるモードに一切入らないようならまだ脈あると思う。
そこで不愉快を前面に出してくると思うから。それは風磨の時と一緒で
ヤキモチ妬いてるって証拠じゃない。」
「アドバイスされちゃったら?」
「勿論、それも強がってそうなるパターンも考えられるから
即駄目だと決めつける必要はないと思うんだよね。
もしも応援します、みたいな展開になった時はニノから俺に
大野さんの気持ちを伝えて欲しいってお願いしてみて。」
「翔ちゃんに?」
「そう。そうすれば次は俺がニノの心情を探る事も出来るしね。」
「出来るかなぁ・・・」
「大丈夫だって。やらなきゃ何時まで経ってもモヤモヤした気持ちで
先へは進めないんだよ?あなたも男なら覚悟決めなよ。」
「うーーーん・・・」
「難しく考えない。恋愛に相談はつきものだよ。
それをうまく利用しない手はないと思う。」
「もしも本気で応援されちゃったらどうすんの?」
「そん時は俺達が付き合えばいい。」
「はぁ?」

真顔でそう言った後、翔ちゃんは腹を抱えて一人で爆笑してた。

 

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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