この指とまれ

この指とまれ 86

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この指とまれ

第86話

 

 

side nino

俺は翔さんと二人で近所のマーケットに買い物に出掛けた。
こっちに来てから間もなくの事だったから、てっきり俺は
食料品のストックを気にしてるんだろうと思ってた。
マーケットの駐車場に車を停めて車を降りようとしたら
翔さんが急に話を始めた。

「あのさ・・・俺がこんなこと言うのはお節介かと思うけど
大野さんってさ、ホントたまになんだけど
良かれと思ってやってる事が返って裏目に出ちゃう、
なんて事がこれまでも有ったのよ。」
「え・・・何?突然・・・」
「ほら、さっきの話だよ。」
「ああ・・・」
「俺はあの人とは付き合いも長いから分かるんだけど
何か今は事情が話せないだけでさ、コソコソしてるように見えるのなら
それは恐らくニノの事驚かせようとか、そういう事企んでるんじゃないかなぁ。」
「驚かせる?」
「具体的なことはさすがに俺にも分からないよ。
でも、ニノが大野さんの挙動が可笑しいと感じるのなら
恐らく間違いないと思うんだ。
だけど何もニノに隠れて浮気したりとかさ、そういう大それたこと
出来る人ではない事は俺が良く知ってる。」
「翔さん・・・うん、それは俺も分かってます。」
「そうか。そうだよな。だって二人は夫婦なんだもんな。」
「来て早々にご心配掛けちゃってすみません。」
「ううん。そりゃ、ニノを不安にさせる大野さんにも
十分問題は有るよ。でも、不器用なんだよなぁ。あの人・・・」
「うん・・・俺も分かってます。そこも含めて好きなんですけどね。」
「あー、それ聞いて安心したわ。ゴメンね。余計なお世話だとは
思ったんだけど、ニノの浮かない顔見てたらほっとけなくて。」
「こっち来てから色々話せる人が居ないものだから
俺も正直、誰かに聞いて欲しかったのかな。
ずっとモヤモヤしてたっていうか・・・でももう大丈夫です。」
「それなら良いけど、俺なんかで良ければ何時でも話くらい聞くよ。
とはいえこうやって直接話せる事もそうそう無いけど。」
「ありがとうございます。それを伝える為にわざわざ
買い物に出てくれたんだ?」
「あ、いや、それも有るけど、食糧はどのみちストックが無いから
早めに仕入れておきたかったのよ。」

翔さんって友達想いの良い人なのは知ってる。
俺達の仲を取り持ってくれたのは翔さんと言っても過言じゃないし
智の事を俺なんかよりも一番良く分かってるんじゃないかな。
それでも翔さんはあくまでも親友という立場で語ってくれるから
不思議とこの人に嫉妬心なんてものは生まれないんだ。
むしろ、俺達の事を一番理解してくれてるから
つい何かと相談してしまう・・・

それから俺達はマーケットで買い物を済ませると
再び俺の車で別荘に向かった。

「あ、そうだ。一つ質問してもいいですか?」
「え?何?」
「菊池君は独身だけど、どうして新事業のメンバーに選ばれなかったんですか?
もしかして、あいつ智の事がまだ好きだから?」
「えっ?あ、あの、もしかして大野さんから何も聞いて無いの?」
「えっ?何をですか?」
「い、いや・・・聞いて無いんならいいんだけど。」
「はぁ・・・」
「風磨はもう大野さんには未練は無いみたいだよ。
むしろ、二人の結婚はお似合いだって祝福してる。
日本に居る時も言ってなかった?
でなければ、今回の挙式にも参加してないでしょ。」
「そっかぁ。」
「ニノはもっと自分に自信持っていいんじゃない?」
「ええっ?」
「だって大野さんが選んだのはニノなんだから。」
「そうですよね・・・」
「あ、そうそう。別荘は大野さんとニノが好きな時に使って良いよ。
それを言おうと思ってたんだ。」
「えっ?ホントですか?」
「うん。俺はなかなかこっちに来れないからね。
休みとか3人で使ってくれて全然構わないよ。
後から合鍵を預けとくよ。」
「でも、なかなか来れないのにどうして別荘なんて買ったんですか?」
「お買い得という営業の言葉に弱いんだよねぇ。」
「ウフフフッ・・・なんとなく分かります。」
「広いからゲストも呼んでパーティーも出来るし
自分の別荘だと思って使ってくれていいよ。」
「きっと智も喜ぶと思います。」

そして、別荘に戻ってちょっとだけ皆でお茶した。

「和幸はいい子にしてた?」
「めっちゃ良い子でしたよ。」
「本当に?ゴメンね、子守りなんかさせて。」
「いえいえ、俺、子供嫌いじゃないんで。」
「それじゃ、俺はそろそろお暇しようかな。」
「ええっ?もう帰るの?」
「だって時差ボケだって辛いでしょ。今日はゆっくり休んで下さいよ。
それにそろそろ俺も夕飯準備しなきゃなんないから。」
「すっかり奥さんだねぇ。」
「冷やかさないで下さいよ。俺は仕事してないから
家の事やってるだけですよ。」
「大野さんには明日会社に顔出すって言っといてくれる?」
「分かりました。」
「挙式楽しみにしてるよ。」
「はい。それじゃ、また当日に・・・」
「今日はホントにありがとうね。」
「カズ君、また遊ぼうな。」
「おいたん、バイバイ。」

俺と智の結婚式はいよいよ3日後に控えてた。

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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