暗闇の天使達
第4話
「えええっ?それじゃ、あの時の大野くんがスクープされたのって本当は二宮くんとの交際だったって事?」
「うん・・・実はそうなんだよね。」
「でもあの週刊誌の記事だと、確かお相手は元タレントの女の子だったよね?」
「あれはね、全て二人の関係を隠す為のカモフラだったの。二人が土下座して謝った時は既に
幹部がうまく話をすり替えて記事にする様に、あらゆる手回しをしてたらしいの。」
「SNSで拡散させてたヤツ?」
「ああ、そうそう。」
「それじゃ、二人はそんな記事が出る事も知らなかったって事?」
「知らされてなかったらしいよ。」
「そんな・・・それはあまりにも可哀想だな。何で会社はそこまで?」
「だから、全てはオリンピック関連の話がおじゃんになっては困るからだよ。」
「二人の関係を世間に明かすことがそんなに駄目だったの?」
「そりゃあね。同性愛はファンの一部には祝福して貰えても受け入れて貰えない方が多数だもの。世間の目はもっとシビアでしょ?」
「うーん。そりゃまあそうだけど・・・」
===2015年9月side nino===
「ちょっと!これってどういうこと?」
「分かんない。でも・・・これから謝罪会見するからこれを覚えるように言われた。」
それは宮城での復興イベントライブの当日、
リーダーは1枚の紙のシナリオを真剣な表情で覚えてた。
「リーダー?まさか、ハイ分かりましたって承諾したの?」
「うん・・・」
「だってあんな記事全部でっち上げじゃん!あなたは何も悪い事してないじゃん!」
「うん・・・だけど、今更あの記事嘘だったって言えないし・・・」
「ダメだよ!あなたのファンが死ぬほど泣いてるんだよ?
会見なんて出る必要ない!俺、ユリーさんに話してくる!」
「ニノ!待って!」
「やだ!あなたは悪くない!」
俺はリーダーが止めるのも聞かずに部屋を飛び出してユリーさんの元に詰め寄った。
「リーダーの会見を取り止めて!」
「はっ?何を言ってるのよ?そんなもの無理に決まってるでしょ。」
「だって、これじゃリーダーだけが悪者じゃない。」
「大丈夫よ。もう会わないって謝れば済む事よ。」
「そういう問題じゃないでしょ!どれだけのファンが辛い想いすると思ってるの?」
「あんたがそんな偉そうな事言える立場?それじゃ、あんた達が付き合ってると言えば
誰も悲しまないとでも?」
「そ、それは・・・」
「いい?もうこういう事二度と無いようにね?分かってるとは思うけど。
あ、それからあんた達の交際は認めないから・・・もう別れるのよ?」
「ええっ?何で?もう撮られないように気を付けるよ!約束するから!」
「別れなさい!」
「嫌だ!」
「我儘は通らないわよ。」
「だったら俺、五十嵐辞める!」
「・・・」
「もうアイドルなんて辞めるから!」
「まさかそんなに大野のことが?」
「悪い?」
「呆れた・・・そう、そこまで本気なのね?いいわ。」
「えっ?」
「いいわ。認めてあげる。」
「ほ、本当に?」
「その代わり条件が有る。」
「えっ?条件?」
つづく