ラブソングは君と,  第4章

急展開⑩

第4章

急展開⑩

 

ニノのお母さんが持たせてくれたお弁当を2人で食べてたら、ニノが突然真顔で俺に向かって話し掛けてきた。

「おーのさん、話が有るんだけど。」

「ん?話って・・・?」

「やっぱり、俺達付き合うのやめましょう。」

「ええっ?ど、どうしたの?突然・・・」

「俺は二宮家の問題にあなたをここまで巻き込むつもりは無かったんだ。」

「その話か・・・」

「母さんは本気なんだ。俺が誰と一緒になろうが、相手と二宮家を継いでくれるっていうのが条件だとか思ってる。」

「うん。今朝そんなこと言ってたね。」

「なんでそんな呑気な顔してられんだよ?二宮家を継ぐってことは、どういうことか分かってんの?」

「箱根の旅館でしょ?」

「はっ?・・・それだけかよ?」

「だって、ニノがおばさんの息子で・・・しかも長男で、他に後継ぐ人間が居ないんじゃ、どうしようもない。」

「ん?おーのさんは俺とはやっぱりその場凌ぎで母さんにあんな事言ったの?」

「馬鹿、そんなわけねえだろ。」

「だったら、どうしてまるで他人事みたいな言い方するんだよ?あなたの人生にも大きく関わってくるんだよ。」

「おいら、他所の家の事はまったく分からないから口を挟む気は無いよ。これが自分ちの事なら何とでも言えるけどね。」

「例えば?あなたが俺の立場だったら何て言うんですか?」

「まぁ、最初は絶対逆らうよね。旅館は自分たちの代で終わらせれば?とか・・・。」

「そんなの俺だってずっと言い続けてるよ。」

「うん。でもさ、親がさすがに年を取ってきて何故それを何時までもしつこく言い続けると思う?」

「え?それは、先が短くて不安だからでしょ?」

「うん、まあそれも確かにあるけどさ。実際はそれだけじゃないって思うんだよね。」

「どういうこと?」

「ニノのご両親は頑張って別館まで建てて業務を拡大させてきたわけでしょ。そこには沢山の従業員を抱えてるじゃん。自分達が年老いたから閉館して土地も売り捌きますってなったら、次の日から食えなくなる人達がどれほど居るんだろう?第三者にやってもらうという選択肢も確かにあるけどさ、経営を他人に任せるのは多分不安なんだろうな。それから、ニノに継がせたいのは親心でも有るんだと思うよ。自分のやりたい事で成功して飯食えるだけの収入を得たとしても、それが一生涯続くかは分からない。おばさんは恐らくそこも心配してくれてるんじゃないかな。」

「俺だって・・・そこが分からないわけじゃないよ。」

「んふふっ。そうだよね・・・だって親子なんだもの。俺なんかよりニノが分かってて当然だよ。」

「俺が自分の夢とかそういうの諦めるのは全然いいんだよ。だけど・・・おーのさんまで道連れにしたりなんか出来ない。」

「おいらの仕事の事か?」

ニノは悔しそうに口を尖らせて、小さく頷いた。

「おいらね、実は今凄くデカい企画が舞い込んできてるの。」

「えっ?」

「小説家の相葉君って知ってる?あ、奈緒ちゃんはファンみたいだけどさ。」

「あ、なんか聞いたことあるよ。」

「その人の小説の挿絵を依頼されたの。」

「へぇー、凄いじゃん。」

「んふっ。そうそう、その仕事ってのがおいらがすげえ酔っ払ってニノの家に泊った日あるじゃん。あの日に決まった話なの。」

「そうなの?」

「これから凄く忙しくなるんだけどね、ニノもおいらの仕事手伝ってくれるでしょ?」

「えっ?そ、そりゃ勿論・・・」

「あぁー良かったぁ。もうさ、正直いうと色々おいらも考えたんだよね。相葉君の仕事を引き受ければ、今よりもっとおいらのイラストが幅広く人の目にも触れられるだろうし、そうなるとこの先仕事がもっと増えて来るだろうし、新しい人材を募集しようとも思ってたんだけど、人を増やしたりしたら簡単に看板下げられなくなっちゃうでしょ。奈緒ちゃんもおいらのプライベートには口挟まずに仕事に集中するって言ってくれたし、ニノが応援してくれれば無理に人員増やす必要もなくなるだろうから・・・」

「えっ?待ってよ。看板下げるって・・・まさか。」

「おいらは旅館の経営については何も素人だから分かんないけど、いざとなればこの仕事手放すくらいの覚悟は出来てる。」

「じょ、冗談でしょ?何言ってるの?馬鹿じゃないの?」

「えっ・・・何でだよ?」

「だって、俺達は最近知り合ったばかりなのに・・・何でこんな俺なんかの為にあなたが仕事を手放したりしなきゃなんないんだよ。」

「最近でも無いでしょ?」

「え?」

「おいらとニノは子供の頃から出会ってたよ。」

「そ、それはたまたま偶然再会しただけのことで・・・」

「ニノはおいらの事、待っててくれたんじゃなかったの?」

「それは・・・」

「おいらはニノと再会出来たことは運命だってマジで思ってるよ。」

「おーのさん・・・」

「だから、さっきの発言は撤回してもらっていいかな?」

「え?」

「付き合うの、おいらは辞めないよ。」

俺のその言葉を聞いて、ニノは目の前でポロポロと大粒の涙を零した。

 

 

 

 

つづく

 

 

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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