
第4章
急展開⑪
「泣くこたないのに・・・」
「だっ、だって。」
「勿論、ニノがおいらの事は白紙に戻したいって真剣に思ってるなら話はべつだけど?」
「は、白紙になんか戻したいわけないじゃん。」
「でしょ?ほら、もう泣くなよ。ニノの泣き虫は昔っから変わってないな。」
「う、煩いな。泣いてなんかいないよ。これは目にゴミが入っただけだ。」
「んふふっ。おいらはニノのそういうところが好きだ。」
「知らないよ?せっかく大きなチャンス巡って来てるのに。あなただって独立するまでは簡単じゃなかったはずでしょ?きっと大変な思いしてきたんでしょ?」
「おいら、昔っから絵を描くことだけが取り柄っていうかさ。得意な事をそのまんま仕事に出来たからラッキーだったとは思う。」
「俺はね、あなたからそれを奪う権利は無いって思ってる。」
「だって、究極の二択なんだもん。仕方ないよ。」
「え?どういうこと?」
「ニノを取るか、仕事を取るか。だったら俺は自分にとって大事な方を選択する。」
「おーのさん。」
「ニノだって自分がしたい事諦めなきゃなんないんだもの。その代わりみたいなのがなければ失望でしかないでしょ?」
「その代わり?」
「そう。それがおいら。おいらもイラストの仕事が無くなれば何の取柄もない男になっちまうけど、それでもニノが一緒に居てくれたら・・・おいらはそっちの方が絶対幸せだと思う。」
「何それ?めっちゃプロポーズされてるみたい。」
「んふふっ。それと同じだよ。」
「軽いよ、軽すぎ。おーのさん。」
「ええ?軽いとか重いとか関係あんのか?」
「だって、俺の事まだ知らない事多過ぎでしょ?そんなんで生涯のパートナー決めちゃって良いんですか?」
「うん・・・そうだな。確かにまだ全部は知らないね。」
「そうだよ。決めるの早過ぎますよ。」
「それはつまり、おいらはやんわり断られてんのか?」
「そっ、そうじゃないけど・・・」
「それじゃさ、今夜は全部教えて貰おうかな。」
「えっ?」
「ニノはおいらと約束したもんね。」
「や、約束?」
「何だよ?もう忘れちゃったの?」
「お、俺何か言いましたっけ?」
「今夜も一緒に寝るって言った。」
「あっ///な、何だよ・・・その事かよ。」
「思い出した?」
「さ、さあ?何のことだか覚えてませんけど。」
「まぁ、おいらはニノが良いって言ってくれるまで我慢できるけど。」
「プラトニック貫くつもり?」
「だって、べつに急がなくてもずっとこの先一緒に居れるんだし・・・」
「やせ我慢すんなよ・・・」
ニノが俺に聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でぽつりとそう呟いた。
「はあ、ご馳走様でした。もうお腹パンパンだよ。母さん、こんな馬鹿みたいに沢山作って、全部食えるわけ無いってぇの。」
そう言ってスっと俺から逃げるように立ち上がると、キッチンで食器の後片付けを始めた。
俺があんなこと言ったから、ちょっと意識しちゃってんのかな?俺も立ち上がってキッチンに向かい、洗い物してるニノに後ろから話し掛けた。
「あのさ?」
「ん?何ですか?」
「おいら酔っ払って記憶失くしてニノんちに泊ったじゃん?」
「あ、うん・・・」
「まだ、おいらちゃんと聞いて無いんだよね?」
「え?何をですか?」
「あの時、おいらはニノに何かした?」
「はっ?」
「そのさ、ほら・・・エッチなこととかしなかった?」
「ウフフフッ・・・知りたい?」
「そうやってあの時も教えてくんなかったじゃん!」
「気になる?」
「そりゃ、気になるよ。」
「残念ながら・・・何もしてませんよ。」
「え?マジか?だ、だって責任取れって言ったじゃん。」
「あれは、あなたが何も覚えてないから、ちょっとからかってみただけですよ。」
なんだ。ちょっとは期待してたのに・・・俺は次の瞬間、背中からニノをギューッと抱き締めた。
「あっ、ちょっ・・・」
「やっぱ無理だわ。おいら、ニノが好きで好きで堪んないよ・・・」
「はっ、おーのさん・・・」
後ろを振り向こうとしてるニノの首筋に唇を這わせ、ニノはその場に立って居られなくなり、2人で床の上に膝から崩れ落ちていった。
つづく
こんにちは。かりょんと申します。
大野くんファン、大宮&山好きです。
前のブログから大好きでこちらにも
飛んできてしまいました。
よろしくお願いいたします。
かりょんさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
前ブログから読んで頂いてるということで、引っ越しにもお付き合い下さり、感謝しかございません。
こちらでもマイペース更新ではありますが、今後ともどうぞ宜しくお願い致します☆