鍵のかかった部屋 大宮編

鍵のかかった部屋 大宮編 19

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鍵のかかった部屋 大宮編

第19話

 

 

それから俺は警察で何枚かの写真を確認させられた。
榎本さんら、芹沢の弁護士側の人間は他殺を疑って
現場を視察しに行ってたわけだから、おおよそ誰が犯人なのかは
掴んでいるものの、俺がハッキリ犯人の顔を見ていることと
そいつが俺を榎本さんと勘違いして殺人未遂を犯してることが
俺の証言で明らかになるわけだから、
俺は今回の件では完全に被害者であり、重要参考人となる。
だから、警察に根掘り葉掘り聞かれて
ようやく帰宅出来たのが日付を跨ぐ寸前だった。

「あれ?お粥全部食べたんだ?」

さっきは慌てて出掛けてしまったんで、
お粥作っておいた土鍋が空っぽに
なってること自体全然気が付かなかった。

「ええ。とても美味しかったです。
ところで・・・二宮さんは何故さっきあの現場に
来られたのですか?」
「何故って・・・俺があれ程今日は大人しく寝てるように
言っておいたのに、勝手に仕事なんか行くからでしょ。」
「そうか・・・それで・・・
二宮さんのお粥食べて、栄養剤も飲んだらすっかり
体調も元通りになったんです。」
「でも俺言いましたよね?
夏風邪を舐めてたら酷い目に遭うって・・・
ねぇ、どうして言う事聞かないの?」
「すみません・・・」
「榎本さん?」
「はい・・・」
「あなた、セキュリティ関係が本業だと言ってたよね?」
「え、ええ・・・」
「なのにどうしてあんな危険な仕事をしてるの?」
「え・・・」
「だって、今日もあれ、一歩間違えればあなたが狙われてたんだよ?」
「そうですね・・・」
「そうですね?そうですね、じゃないでしょ。」
「しかし、それは事実ですし・・・」
「ていうか、どうやって俺の居場所分かったの?」
「ああ・・・スペアキーですよ。」
「スペアキー?」
「はい。二宮さんにお渡ししてる合鍵に、マイクロのGPS装置を挿入してたんです。」
「GPS?」
「はい、紛失した時に困らない様にです。
だけど、こんな時に役立つとは思ってもみませんでした。」
「それを挿入してなかったら、今頃俺はこの世に存在してなかったってことか。」
「まさか僕とあなたを間違えるなんて・・・
恐らく犯人は青砥さんと一緒だって事だけで勘違いしたんでしょうね。」
「そういえば時限装置にしたって時間的にもギリギリだったよね?」
「ええ・・・あれは間に合って良かったです。
でも、あのレベルの配線は素人レベルなので、
蓋を開けた瞬間に解除出来ると確信出来ましたけどね。」
「あのさ・・・」

この人、事の重大さ分かってる?
さっきから聞いてたらまるで他人事みたいに話すよな。
それもゲームクリア程度の振り返り方。

「え?何か?」
「もういいよ!あなたに何言っても一緒みたいだし・・・」
「どうして怒ってるんですか?」
「そりゃ怒るでしょ!」
「何に対して怒ってるんですか?」
「は?」

まぁ、確かに怒りの矛先は決してこの人じゃないよな。
憎むべきは犯人なんだけど・・・
何でかずっとさっきから俺は苛々してる。

「榎本さんは密室の謎を分析して解明するプロかもしんないけどさ、
常に今日みたいに命を狙われるかもしれない危険と背中合わせに
いる訳じゃん。それってどうなのよ?って事が俺は言いたいわけ。」
「それは・・・僕の事を心配してくれてるんですか?」
「そりゃそうに決まってるじゃない。」
「ひとつ、お聞きしてもいいですか?」
「な、何?」
「どうして二宮さんはそこまで僕の心配をしてくれるんです?」
「えっ///」
「僕は確かにあなたを自宅に泊めてます。
だけど、それだけであんなに献身的に看病してくれたり
体調を心配してくれたり・・・仕事に関しても・・・」
「お、俺も分かんないけど・・・何かほっとけないのよ。
ほら、前にも言ったけど、俺達が知り合ったのって
偶然じゃないって思ってて・・・」
「あー、前世で恋人同士・・・ですか?」
「え///あっ、いや、それは俺の完全な妄想でしかないけど・・・」
「だとしたら・・・ありがとう・・・」
「えっ・・・」

榎本さんは俺を背中からそっとハグした。そして・・・

「今後は僕みたいな男には・・・関わらない方がいいです・・・」

思いもしなかった言葉を、榎本さんは俺の耳元で囁いた。

 

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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