鍵のかかった部屋 大宮編

鍵のかかった部屋 大宮編 2

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鍵のかかった部屋 大宮編

第2話

 

 

隣の住民の榎本って人のお陰で何とか部屋に入ることが出来た俺は
とりあえず風呂に入ろうと思い、脱衣所で服を脱いでいた。
すると、インターホンのベルが鳴って、既に俺は裸になりかけてたから
無視してたんだけど、あんまりしつこくベルが鳴るんで
もしかすると、さっきの彼女が心配して戻って来てくれたのかと思い
慌ててバスローブを纏って玄関に向かった。

「どなた?」
「あ、榎本ですが・・・」
「え?あっ、さっきの?」
「はい・・・」

なんだ、榎本さんか・・・何の用だろう?
俺は頭を捻りながら玄関を開けた。

「さっきはどうも・・・何か?」
「ひとつ、言い忘れていたことがあるんで。」
「はぁ・・・」
「さっきあなたが持っていた鍵はこの部屋のものではありません。
もしも次に出掛けた際には、また入れなくなると思います。
早急に新しい鍵を作られることをお勧めします。」
「ええっ?」
「それだけお伝えしたかったので。それでは僕はこれで・・・」

淡々と言い放って帰ろうとする榎本さんの右手を咄嗟に掴んで
俺は叫んだ。

「ま、待って!あの鍵がこの部屋のじゃないってどういうこと?」
「・・・それは僕にも分かりません。」
「だって俺、あの鍵で毎日ここを開け閉めしてたんだよ?
複数の鍵を持ってたらそんな間違いも有るかも知んないけど
俺はここ以外に所有してる部屋なんてないから。」
「ですから・・・それは僕にも分からないです。」
「か、鍵って直ぐに作れるものなの?」
「そうですね。普通のものならさほど時間は掛からないと思いますが
ここのマンションの扉は特殊な鍵を使っているんです。
恐らく発注してから取り寄せになると思われるので
数日は掛かるでしょうね。」
「そ、そうなの?そしたら俺仕事に出れないじゃん。」
「仕事には行けますよ。」
「だって一度出たらまた開かなくなるんでしょ?」
「ええ。」
「ええって・・・あっ!そうだ!」
「え?」
「あなた、開けてくれる?」
「はっ?」
「さっきも開ける事出来ましたよね?新しい鍵が出来るまで
あなたが毎回開けてくれる?」
「そ、それはお断りします。」
「何で?お金払うよ?」
「そういう事でお断りしてるんじゃ有りませんよ。」
「え?だったら・・・」
「万が一、ここに空き巣が入ったとしたら
間違いなく僕が真っ先に疑われる事になる。」
「あ、空き巣?」
「はい。」
「そんなの考えすぎだよ。」
「そうでしょうか?100%無いと言い切れるでしょうか?」
「もうさ、疑われた時は俺が証人になるからさ~頼むよ。」
「・・・分かりました。そこまで仰るなら・・・」
「それじゃ、俺が帰って来たら直ぐに榎本さん呼びに行くから
お願いしますね。」
「分かりました。但し・・・」
「ただし?」
「僕も午後6時頃までは不在の事が多いので
いらっしゃるのならそれ以降にお願いします。」
「あっ、うん。分かった。」
「尚、開錠費用は1回につき3千円。
おまとめの支払いでは無く、その都度のお支払にて
お願いします。あ、クレカや電子マネーもお断りします。
毎回現金でご用意願います。」
「え?1回3千円?高くない?」
「嫌なら無理には申しません。」
「お、お隣の好でせめて半額とか・・・」
「嫌なら他を当たって下さい。」
「わ、分かったよ。払えばいいんでしょ!払えば。」
「それでは、わたしはこれで失礼します。」
「待ってよ!」
「まだ何か?」
「鍵屋、世話してよ。あなたセキュリティー関係なら
その業界詳しいでしょ?」
「別に業界を通さなくても、僕が直接取り寄せる事も出来ますよ。」

それを早く言えよ!って思ったけど
当面鍵開けて貰わないとならない事も有るし
彼を怒らせても良いこと無いって思った俺は
自分の感情は抑えて必死で笑顔を作った。

「直接取り寄せなら鍵屋に頼むより安いよね?」
「恐らくはそうでしょうね。」
「うん、それじゃ全部榎本さんに任せるよ。」
「分かりました。それでは早急に発注を掛けておきます。」
「う、うん。宜しくね。」

ということで、俺は鍵に関する依頼を全てこの榎本という人に
任せる事になったんだ。

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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