鍵のかかった部屋 大宮編

鍵のかかった部屋 大宮編 21

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鍵のかかった部屋 大宮編

第21話

 

 

そしてその次の日の夜、俺は荷物を引き上げる為に榎本さんの自宅を訪ねた。

「今晩は。荷物引き取りに来ました。あ、それから・・・
これ、今日相葉さんから預かって来た鍵の代金3万5千円。
それと、これは俺から・・・大したものじゃないけど
色々お世話になったんで、御礼っていうか、ほんの気持ちです。」

会社の帰りに買ってきたメロンを渡した。

「御礼なんていいのに・・・」
「そうはいきませんよ。あなたには凄い迷惑掛けちゃったから。」
「迷惑だなんて・・・ちっとも思ってませんよ。」
「ホントに?それじゃ、やっぱりもう少し居候させて貰えば良かったなぁ。」

俺はちょっと意地悪な口調で榎本さんにそう言った。

「あ、でもどちらにしても、もう直ぐここは引き上げるので
何時までも泊めて差し上げる事は出来なかったと思います。」
「えっ?引き上げるって・・・」
「引っ越しです。」
「え、榎本さん引っ越すの?」
「ええ・・・」
「何で?」

榎本さんは、コーヒーを俺の目の前に置くと
向かい側のソファーに腰掛けて自分もコーヒーを飲み始めた。

「ここは弁護士事務所で働くという契約で事務所が借りてくれてただけなんで。」
「榎本さんは契約社員なの?」
「ええ、まぁ・・・そういった感じですね。」
「だったら、ここの家賃は弁護士事務所が負担してくれるんでしょ?
何も引っ越さなくても良くない?」
「もう・・・辞める事にしました。」
「えっ?」
「決めたんです。」
「な、何で?」
「昨日の事件で、流石に懲りました。」
「そ、そうでしょ?ほら、俺が言ったじゃない。
俺、あなたと間違えられて殺され掛けたんだもの。
こんな危険な仕事続けてたら間違いなく何時かは
あなたが確実に狙われるんだよ。」
「僕が狙われる事は正直どうでもいいんです。」
「は?」
「僕のせいで、二宮さんの命が狙われてしまった事が
流石に僕にはショックでした。あれ、間に合っていたから
良かったですが、もし二宮さんが合鍵も持っていなかったら
と思うと・・・」
「ホントだね・・・でも、俺はあなたが絶対助けに来てくれるって
信じてたよ。」
「自分がやってることの重大さにやっと気付くことが出来ました。」
「そっか。分かってくれたんだ。良かった。でも・・・
引っ越すって何処に?」
「まだ決めていません。」
「これから引っ越し先決めんの?」
「はい・・・」
「で?それは・・・いつ頃?」
「決まり次第・・・」
「そっか・・・。何か折角榎本さんと知り合いになれたのに
寂しいなぁ・・・」
「それは僕も・・・残念です。」
「ね、これは提案なんだけど・・・」
「提案?」
「うん、榎本さんさ、俺がここに一緒に暮らしててストレスとかあった?」
「どうして・・・ですか?」
「俺は全然ストレスとか無かったの。それよりもむしろ安心感っていうか
毎日が楽しかった。」
「それは・・・僕も同じです。」
「だったらさ、俺の部屋に越して来ない?」
「ええっ?」
「ねえ、そうしなよ。家賃は半分ずつにすれば俺も助かるし
家事は今までみたいに俺がするから。」
「し、しかし・・・」
「固く考える事ないって。ルームシェアなんて今時は誰でもやってるよ。」
「お気持ちは有難いのですが・・・二宮さん、そんな事をすれば
今後女性を連れ帰るとかも出来なくなってしまいますよ?」
「・・・女?あー、そんなのもう必要ないから。」
「そうでしょうか?」
「俺にはちゃんと心に決めた人が居るし。」
「そうですか・・・」

それは榎本さん、あなたですよって言いたいけど
まだここでは言わないよ。
もっと時間掛けて俺の事を好きになって貰うまでは
こちらからは告白はしないって決めたんだ。
恋愛ってのは絶対焦ったっていいこと無いんだから。

「ね?そうしなよ。一度ルームシェアしてみてやっぱり嫌だと思ったら
何時でも出てって貰って構わないんだから。」
「そうですね・・・少し考えさせて下さい。」
「考える事ないよ。ね?そうしよう。引っ越し何時にする?
勿論俺も手伝うから。」
「とにかく今月一杯はまだここに居るつもりなので
引っ越しするとしても月末という事になると思います。」
「そう?だったら月末ね?俺、予定入れないで空けておくから。」

まだ、正式な返事は貰って無いけど
俺の中では勝手にまた榎本さんと暮らせると思うと嬉しくて
一気にテンションが上がりまくってた。

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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