鍵のかかった部屋 大宮編

鍵のかかった部屋 大宮編 24

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鍵のかかった部屋 大宮編

第24話

 

 

「二宮さん!何してるんですか。早く!こっちです。」
「う、うん・・・」

そんなに急がなくたって、出発時刻まではまだ十分時間もある。
どちらかというと、俺なんかよりも青砥さんの方がよっぽど
お見送りって感じで、いつもよりおめかししてるし
張り切ってるように見える。

「大丈夫。ここで待ってれば必ず榎本さんは現れますからね。」

俺達は出発ゲート前のロビーの椅子に腰を下ろして
榎本さんが現れるのを待った。

「二宮さん、何て言うんですか?榎本さんに・・・」
「えっ?」
「やっぱりこういう時は行かないで・・・ですよね。」
「あ、あのさぁ・・・」
「え?違うんですか?」
「だって榎本さんは仕事でロスへ行くんでしょ?
そんな子供みたいに引き留めるという訳には・・・」
「何言ってるんですか。ここまで来ておいてまさか
見送りだけとか言わないで下さいよ?」

青砥さんは俺達に相当期待してるみたい。
そんなドラマチックな展開なんてきっと無いよ。
榎本さんとこれっきりになるのは俺も絶対に嫌だけど
あの人の性格だもの・・・
「何しに来たんですか?」
って、冷たくあしらわれるに決まってるよ。

「二宮さん、わたしちょっとお手洗いに行って来るので
ここで待ってて貰えます?」
「あ、うん。分かった。」
「もしもわたしが居ない時に榎本さんが現れたら
しっかり引き留めておいて下さい。」
「まだ来ないよ。随分早く着いちゃったもの。」
「分かりませんよ。榎本さんだって早めに着いてるかも知れませんし。」
「分かったから・・・さっさとトイレ行きなよ。」

ところが・・・
青砥さんがその場を離れてから数分後、
榎本さんが姿を現したんだ。
でも、榎本さんは一人じゃなかった。
その隣には、スーツ着たイケメンの男性が
榎本さんと談笑しながらこちらへ向かって歩いて来る。
一体誰だろう?
俺は彼らに気付かれない様に
すっと席を立ち上がると、話声が聞こえるくらいの距離まで近付いた。

「翔ちゃん、本当にあっちで暮らすの?
もう日本には戻って来ないの?」
「時々は戻るかもしれないけど、基本仕事はロスになると思う。」
「そっか・・・」
「あなたには無理なことお願いして本当にすまないと思ってる。」
「翔ちゃん・・・」

しょ、翔ちゃん?
榎本さんが・・・名前呼び?しかも・・・とんでもなく甘い・・・
え?まさか、あの人榎本さんの?
俺はただならぬ二人の雰囲気に思わず後退りした。
そこにタイミング悪く青砥さんが戻って来た。

「二宮さん?こんな所で何して・・・?
ああ!榎本さん?」
「ちょ、声がデカいよ。」

榎本さんはその青砥さんの声に気付いて直ぐにこちらを振り返った。

「青砥さん?二宮さん・・・」

俺は条件反射的にその場を逃げ出した。

「あっ!二宮さん、待って、何処行くんですか?」
「し、翔ちゃん、悪いけど少しここで待っててくれる?」
「え?あ、うん・・・」

人の波を掻き分けながら俺は出口に向かって必死に走った。

「ま、待って!」

榎本さんの声が聞こえて振り返ったら
ガッツリと片手を捕まれた。

「は、離して!」
「な、何で逃げるんですか?」
「えっ?」
「僕に会いに来てくれたんじゃないんですか?」
「そ、それは・・・」
「ちょっとの間だけ・・・ロサンゼルスに行って来ます。」
「あの人、誰?」
「え?」
「一緒に居たイケメンだよ!」
「あっ・・・」

榎本さんは急にクスクスと笑い出した。

「な、何だよ?」
「翔ちゃんは僕の幼馴染みです。」
「え?幼馴染み?」
「彼、ロサンゼルスに移住するんで、僕に
移住先のセキュリティシステムの設置を依頼して来たんです。」
「えっ?」
「1週間程度で日本に戻ります。
それから二宮さんにはご挨拶に伺うつもりだったんですが・・・」
「携帯は?」
「あっ・・・そうでした。すみません。
実はあの携帯は仕事用で持っていた物なので
先日解約をしたんです。」
「そ、そうなの?でもどうして新しい連絡先を
教えてくれなかったの?」
「それが、中のアドレスをコピーし忘れてしまって
既存のデータを全て消滅させるという失態を犯してしまいまして。」
「ほ、本当に?」
「本当です。」
「さっきの・・・恋人とかじゃないんだ?」
「んふふ・・・そんなんじゃないです。」
「それじゃどうして青砥さんに口止めしたりしたの?」
「え?あぁ・・・たかだか1週間の滞在なのに
話が大きくなるといけないと思ったからです。」
「十分大きくなってるよね・・・ああー、もう!
何だよ!色々心配だったんだからね!」
「二宮さん・・・」
「俺、待ってるから絶対帰ったら連絡してよ。」
「わ、分かりました。」
「約束だからね。」
「はい。約束します。」

それから、榎本さんに新しい携帯の番号を教えて貰い、
二人で元の場所に戻った。

「あっ・・・二宮さん、榎本さん。もう、何処行ってたんですか?」
「ゴメン、ゴメン。」
「二宮さん?ちゃんと榎本さんに告白した?」
「え///あ、そろそろ時間じゃない?」
「告白って・・・何の事ですか?」
「ほら、さっさと行かないと飛行機乗り遅れちゃうよ?」

勿論告白はするよ。
でも、それは榎本さんがロスから戻って来てからだよ。

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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