鍵のかかった部屋 大宮編

鍵のかかった部屋 大宮編 10

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鍵のかかった部屋 大宮編

第10話

 

 

「二宮さん、一応これお渡ししておきます。」

そう言って榎本さんが俺に差し出した物は榎本さんちの合鍵だった。

「え・・・いいの?」
「急に出掛ける用事など出来た時、これが無いと困るでしょう。
くれぐれもその時は戸締りを宜しくお願いします。」
「うん、分かった。」
「それと・・・僕の寝室は鍵を掛けてますので
残念ながら留守中入る事は出来ません。」
「ざ、残念なんて・・・べつにコッソリ入ってやろうなんて
誰も思ってないし。」
「そうですか・・・それは失礼しました。
では、何かあったら電話して下さい。
なるべく早く帰るようにしますんで。
それから、キッチンや冷蔵庫の中の物は遠慮なく好きに使って下さい。」
「分かった。あっ、ねえ?榎本さん苦手な物とか有る?」
「いえ・・・特には・・・」
「そう?それじゃ適当に作っとくね。」
「お願いします。では、行って来ます。」
「いってらっしゃい。」

って、まるで俺って付き合い始めたばかりのあの人の彼女みたいだな。
榎本さんが出掛けてしまい、家の中に俺はポツンと一人取り残されてしまった。
寝室に鍵を掛けて出掛けるなんて・・・
よっぽど俺、信用されてないのかな?
まぁ、さっき冗談でもあんなお芝居しちゃったから
なんだ?コイツってな感じなんだろうな。
それにしても・・・さっきは本当にビックリした。
あんな華奢な身体なのに軽々と俺の事を抱き上げるんだもの。
脱いだら実は筋肉ムキムキの細マッチョだったりして。
え・・・俺また何考えてんの?
あの人ホントに色々謎が多くて興味深い人なんだよなぁ。
そんな事を考えていたら、

ピンポーン!と、インターホンが鳴った。

ん?誰だろう?榎本さん?榎本さんなら
鍵を持ってるからわざわざインターホンなんて鳴らさないよな?
俺はモニターで来客の相手を確認した。
モニターに映ってるのは俺と同世代くらいの、なかなかイケメンの男性だった。

「あの?どちら様でしょう?」
「え?榎本さん・・・じゃないの?」
「あ、榎本さんは今お留守です。」
「おたく誰?」
「え?あ、俺は榎本さんの知り合いで二宮と言います。」
「知り合いってどういう?」
「えっ・・・あー、それがですねぇ・・・」
「ま、いいや。ちょっと開けてよ。」
「えっ?で、でも・・・」
「俺は松本。榎本さんとは以前同じ職場で働いてたの。
もう長い付き合いなんだ。決して怪しい者じゃないよ。」
「は、はぁ・・・」

まぁ、榎本さんの名前呼んでるし悪い人には見えない。
だけどあの人の知り合いにしては随分スタイリッシュというか・・・
とりあえず、ドアを開けて俺はその人を中に入れた。

「で?ところで二宮くんだっけ?何であなたここに居るの?」
「あ・・・俺、鍵を失くしたんで暫くの間お世話になってるんです。」
「あー、もしかしてお隣の?」
「そうです。」
「なるほどね。あービックリした。榎本さん女性に興味ない人だから
ついに男の恋人出来たと思っちゃった。」
「こ、恋人?///」
「あ、でさぁ、これ榎本さんに頼まれてたヤツなんだけど・・・
多分お宅の家の鍵だよ。」
「えっ?」
「これ特殊だからなかなか在庫として何処も扱って無いんだよ。
色々当たってようやく見付けたから早い方がいいかと思って
直接持って来たんだ。」
「さ、三週間はかかるって聞いてたけど・・・」
「うん、普通はそのくらい掛かるんだけどね、
俺この業界の知り合い多いから。」
「同じ職場って、セキュリティ会社のことですか?」
「うん、そうだけど。」
「あの、どうして榎本さんは弁護士事務所なんかで働いてるんですか?」
「密室の事件の謎解きが得意なんだよね。だから
弁護士に気に入られちゃって引き抜かれちゃったんだよ。」
「へえ・・・謎解き・・・」
「だけど珍しいよ。あの人あんまり他人を家の中に入れない人なんだ。
だからてっきり恋人かと思った。」
「いえ、僕はそんなんじゃ・・・」
「まぁいいや。それじゃ間違いなくそれ渡したから。
請求書もその箱の中に入ってるから、榎本さんにも
そう伝えておいてよ。」
「わ、分かりました。」
「二宮君だっけ?これからは気を付けなよ?
聞いてるとは思うけど、その鍵めちゃくちゃ高いんだから。」
「で、ですね・・・」

松本という男性はその鍵の入った箱をテーブルの上に置くと
榎本さんに宜しくと言い残して帰って行った。
鍵、もう届いちゃった・・・
俺は暫く腕組みをしてその箱を見つめた。
この箱をあの人に見せたら恐らく直ぐに設置するだろうし
俺は自分の部屋に戻らなくちゃならなくなる。
どうしてか、まだここに居たいって気持ちが芽生えてしまって
俺は自分の持って来た荷物のバッグの一番奥底に
その箱をそっと隠すように仕舞い込んだ。

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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