鍵のかかった部屋 大宮編

鍵のかかった部屋 大宮編 13

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鍵のかかった部屋 大宮編

第13話

 

 

そして、何事もなく数日が過ぎて行った。
榎本さんの家に泊めて貰う様になってから
まだ1週間も経ってないけど、どことなく
性格が合わないように思ってた榎本さんとも
最初に比べれば随分普通に会話が出来るようになってた。
少なからず、俺と話してる時は笑顔も見せたりするから
かなり心を開いてくれてる方じゃないかな。
初めは怪しいとまで思っていたけど今は全くそれは無い。
むしろ俺はシェアハウスさせて貰ってる事を
本当に感謝してるし、冗談抜きで居心地が良いとさえ思ってる。

だけど、そんな日々もそう長くは続かないもので
その日俺が仕事から戻ると榎本さんから話が有ると
真面目な顔で近付いて来た。

「え?話って何?」
「二宮さん、松本ってご存知ですか?」
「え・・・」

マズい。バレちゃったか?
俺の家の鍵を持って来た、あの人の事だ。
そっか・・・そうだよな。
きっと彼から榎本さんに直接連絡が有ったんだ。

「ええっと・・・誰だっけ?ああぁぁっ!思い出した!
そうそう、俺あなたが留守の時に接客したんだった。」
「依頼してたあなたの家の鍵、預かって貰ったそうですね?」
「そ、そうなのよ。色々他の事考えてたら
あなたに言うの忘れてたんだ。」
「まぁ・・・忘れることは人間誰しも有りますし、
鍵はあなたの自宅の鍵なので、取り付けが遅れるて困るのは
あなたですし・・・」
「そうだよね。ホント、俺って最近こういうところ有って
困っちゃうんだよね。」

俺はバックの中からあの箱を取り出して榎本さんに渡した。

「それじゃ、早速設置してきます。」
「う、うん・・・」

もっと怒られるかと思ったけど、榎本さんは意外と冷静に
何時もと変わらない表情で工具箱片手に俺の自宅へと
鍵の交換作業しに部屋を出て行った。
俺も直ぐにその後を追って後ろから大人しく
作業を見守った。

「終わりました。」
「あ、ありがとう。代金払わないとね・・・」
「それは・・・何時でも構いませんよ。」
「そうはいかないよ。幾ら?」
「3万5千円です。」
「え?でも、設置費用は?」
「込みで結構です。」
「で、でも・・・」
「それに、何も今でなくても次のお給料出てからでも構いませんよ。」
「でも松本さん待ってるんでしょ?」
「僕が代金は既に支払っていますので。」
「いいの?俺、逃げちゃうかもよ?」
「あなたは逃げやしません。」
「どうしてそう言い切れるの?」
「数日ご一緒すれば、あなたがどんな人なのか
大体では有りますが分かったつもりです。」
「・・・俺の何が分かったっていうんだよ?」
「は?」
「ううん、何でもない。それじゃお言葉に甘えて
後日代金は直接榎本さんのところに持っていきます。」
「はい。」

つい・・・心の声が零れてしまった。
俺はここ数日というもの榎本さんに嘘ばっかり付いてたのに。
一体俺の何が分かったというんだろう。
虚言壁人間?洞吹き人間?
確かにそれは本当だったから否定はしないけど、
だけどそれにはちゃんとした理由が有る。
俺は榎本さんのところに出来るだけ長く居たかったんだ。
だからあんな嘘をついた。
そこは分かってくれてないでしょ。
あーあ・・・とうとう戻んなきゃ。

「あ、これ返さなきゃ。この部屋のスペアキー・・・」
「ああ・・・」
「短い間だったけど、俺は結構楽しかったです。
色々とお世話になりました。」
「いえ。僕も・・・楽しかったです。」
「あの・・・?」
「なんでしょう?」
「時々、遊びに来ても良い?」
「え?あぁ・・・何時でもいらして下さい。」
「それって社交辞令?」
「は?」
「本気に受け取るけど?」
「んふふ・・・疑り深いですね。好きな時にいらして貰って
構いませんよ。」
「そんな事言ったら毎日お邪魔するかも。」
「え・・・?」
「じょ、冗談だよ。」
「二宮さん、一応鍵は付け替えましたが戸締りは
しっかりされて下さい。あと、侵入しようとしてた
犯人は再び現れないとも限りません。
念の為、ドアの外側に防犯用カメラを設置しておきます。」
「え?でも・・・俺セキュリティー会社とは契約も何も
取り交わしてないけど?」
「契約は月々の契約料が発生します。二宮さんの負担になることを
お勧めしてもどうかと思ったので・・・勝手ながら
この防犯カメラは僕のパソコンに24時間映るように接続しています。
しかし当然ながらプライベートも移り込む可能性が有ります。
僕に見られるのが嫌と仰るならばこちらは無理にとは言いません。
ですが、防犯という観点から考えても、せめてひと月は
防犯カメラは設置なさった方が安心かと思われます。」
「それって・・・あなたに見守って貰えるってことだよね?」
「四六時中という訳にはいきませんが・・・
万が一犯人が現れて鍵を開けようとした場合、
このカメラが記録してくれるので、安心かと。」
「まだ犯人が来るかもしんないんだ?」
「分かりませんが・・・」
「怖いんだけど。」
「鍵は変えましたので、開ける事は不可能ですから。」
「それでも怖いんだけど。」

駄目元で聞いてみるか。

「俺、もう暫く榎本さんちに居ちゃ駄目?」
「・・・」
「ダメに決まってるよね?いくらなんでも迷惑だよね?」
「・・・」
「いいよ、いいよ。ゴメン、冗談だから聞かなかったことに・・・」
「いいですよ。」
「え?」
「構いませんよ。」

榎本さんは無表情で俺にそう言った。

 

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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