鍵のかかった部屋 大宮編 23

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鍵のかかった部屋 大宮編

第23話

 

 

「本当は固く口止めされたんです。
でも・・・二宮さん、あなたには話しておく必要があると思いました。
それは、私が榎本さんの傍で色んな人との関わりを見てきましたが
榎本さんが心を開いた人は、二宮さん、あなた以外私は
見たことが有りません。なので・・・榎本さんから叱られるのは
重々承知の上で、お話します。」
「青砥さん・・・」
「でも・・・それをお話するには、どうしても二宮さんの
お気持ちを知る必要が有るんです。二宮さん・・・
榎本さんのこと、愛していらっしゃいますか?」
「えっ///」
「包み隠さず話して下さい。」
「う、うん・・・でもどうして青砥さんがそこまで?
あ、もしかして青砥さんも榎本さんのこと・・・?」
「え?あっ・・・榎本さんは確かに良い人ですよ。
でも、私はどちらかというと筋肉マッチョで
ワイルドな方が好みなんで・・・
恋愛対象となると、それはちょっと違うかなって。」
「そ、そうなんだ。」

なんとなく分かる気がする。

「で?二宮さんは?どうなんですか?」
「最初はあんな堅物な人とは意見も合う訳無いって思ってたんだけど
一緒に居ると落ち着くし、癒されるし、守られてる安心感有るし
今では一緒に居ないと不安になるっていうか・・・」
「そうですか・・・それはやっぱり愛ですよ。」
「そ、そうなのかな?」
「そうですよ。分かりました。それじゃ、お話します。
来週の金曜日の夕方5時、成田発のロサンゼルス行きで
榎本さん、誰にも内緒で日本を発つつもりです。」
「ええっ?ロスなんて何しに行くの?」
「私にもそれは教えてくれなかったんです。
出発便が分かったのも、たまたま榎本さんの車の助手席に座った時に
航空チケットがダッシュボードに置いてあって・・・
それは何ですか?って問い詰めたんですけど
何でも有りませんって例の調子で全く話してくれなくて。
でも、奇跡的に出発の日時だけは確認することが出来たんです。」
「青砥さん、あの人今何処に居るか分かんないの?」
「分かりません。」
「携帯電話は?」
「繋がらなくなってますね。」
「新しい番号も聞いてないの?」
「聞いてません。」
「それじゃ連絡のしようがないよ・・・」
「ですから、来週、直接成田に行くしかないんですよ。」
「で、でも、もし会えなかったら・・・」
「大丈夫です。出発のゲートで早めに行って待ち構えておけば
必ず姿現しますよ。」
「えええっ・・・でも誰にも会いたくないんでしょ?」
「そんなの強がってるだけですよ。
絶対二宮さんには逢いたいはずですって。」
「でも、行ってどうなるの?今更引き留めたって
もうあの人ロス行き決めちゃってるんでしょ?」
「勿論そうでしょうけど、行かなきゃ一生後悔しますよ?
何も始まらないまま終わるんですよ?それでもいいんですか?」
「そ、それは・・・」
「私には分かります。榎本さんは二宮さんの事が大好きなんです。
その大切な人を今回危険な事に巻き込んでしまった事で
きっと責任を感じて、それでうちの仕事を辞めたんだと思います。
自分なんかに関われば、この先も二宮さんを不幸にしてしまうって
考えたんじゃないでしょうか。だから中途半端に離れるより
思いっきり遠い場所に行く事を選択したんじゃないでしょうか。
それって何か・・・榎本さんらしいですよね。」
「青砥さんって凄いね・・・」
「え?凄いって何が?」
「今青砥さんが言ったこと、榎本さんも同じことを言ってたんだ。
もう、これ以上自分に関わらない方がいいって・・・」
「えええっ!ホントですか?何か感激。」
「えっ・・・」
「だって、私はあくまでも憶測でお話しただけなのに
同じセリフを榎本さんは二宮さんに話してたんでしょ?」
「う、うん・・・」
「ってことは、榎本さんはやっぱり二宮さんの事が大好きなんですよ。
そこはきっと榎本さんのことだから、自分の口からは言えてないでしょうけど
絶対間違いないです。私、密室の推理とかは全然ダメなんですけど
恋愛の推理は結構良いセンいってると思うんですよねぇ。」
「へ、へえ・・・」

もう完全に青砥さんは自分の推理に酔ってる。
多分BLとか恋愛小説の読み過ぎなんじゃじゃないかな。
ま、でも・・・彼女のお陰でギリギリ間に合うかも知れない。
自分の気持ちを榎本さんに直接キチンと伝える最後のチャンスかも。

「あ、二宮さん、当日は私も空港までお供して良いですか?」
「ええっ?青砥さんも来るの?」
「はい。お二人の行く末を是非見守りたいので。」

絶対自分が思い描いてるラストシーンを拝みたいだけだろう
とは思ったけど・・・
まぁ、ここまで俺らのこと応援してくれる人も珍しいから
来るなとも言えないし。
そういうことで、俺は次の金曜日、青砥さんと成田に向かう事になった。

 

 

つづく

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投稿者: 蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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