鍵のかかった部屋 大宮編

鍵のかかった部屋 大宮編 最終話

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鍵のかかった部屋 大宮編

最終話

 

 

「ホント、良かったですね!」

空港から帰る車の中で青砥さんはずっとそれを繰り返し俺に言ってた。
まあ、話の半分は青砥さんの勘違いだったけど。
青砥さんは、榎本さんがまるでロスに移住するみたいに受け取って
何とか俺に引き留めさせようとしてたみたいだけど
結局それは勘違いで、榎本さんは幼馴染みの翔さんという人に
移住先のセキュリティーシステムの設定を依頼されて
1週間程で日本に戻って来るって話だった。
でも、今回成田まで会いに行って良かった。
そのお陰で榎本さんとキチンと約束が出来た。

「青砥さん、ありがとね・・・」
「御礼はまだ早いですよ。榎本さんが帰って来てから
ちゃんと告白が成功してからにして下さい。」

青砥さんはそう言いながらも超ご機嫌だった。
俺達はきっと上手くいくって信じてるらしい。

「送って頂いて有難うございました。」
「うん、これから仕事?」
「はい。またご連絡してもいいですか?」
「あ、いつでもどうぞ。」

俺は青砥さんと別れて自宅のマンションに戻った。
俺が自宅の鍵を開けてたら、榎本さんの所に見知らぬ男が立ってて
その人はリュック背負って旅行用のトランクケース引き摺って
ポケットから何やら鍵らしきものを取り出し
玄関を開けようとしてた。

「え?あ、あの・・・」

俺が声を掛けると、不思議そうな顔をしてその人は
俺の方を振り向いた。

「え、榎本さん?」

思わず俺はそう叫んだ。
だって、服装の雰囲気こそ違うけど、その人は
明らかに榎本さんと見間違えるくらいそっくりだった。

「は?何?」
「榎本さん・・・じゃないの?」
「え?僕?僕は大野だけど・・・」
「おおの?あっ、ご、ごめんなさい。人違いでした。」

そりゃそうだよ。榎本さんはたった今ロスに向かったはず。
そんなはずないって分かってるけど、とにかく似過ぎてて
声を掛けずにはいられなかった。

「君、お隣さんだよね?」
「え?あ、そうだけど・・・っていうか、お引越しされて来たんですか?」
「あ、うん。今日からここに引っ越してきたの。宜しくね。」
「いやいや・・・あの、ここは榎本さんって人がまだ住んでるんですよ。
あなた部屋番号確かめました?間違えてますよ。」
「ええっ?だって、ほら・・・鍵も合ってるよ?」
「えっ?」

その人はそう言いながら何食わぬ顔で扉を開けて見せた。
俺は慌てて駆け寄りその中を覗き込んだ。
すると、部屋は完全に引っ越しされてて空き家状態だった。

「ね?間違いじゃないでしょ?じゃ、そういう事だから・・・」
「えっ・・・あ・・・」
 
榎本さん・・・一体いつの間に?
俺と榎本さんの思い出の場所だったのに・・・
何だか急に切なくなった。
そう言えば、次の仕事が決まって一緒に暮らせなくなったとか
あの手紙では言ってたけど・・・
ロスの話はたった1週間だから、次の仕事ってまた別の場所なんだろうか?
ここから通えるような距離じゃないって事なのかな?
今俺が色々考えてもどうにもならない。
全てはあの人がロスから帰ってから話を聞かないと・・・

それから1週間後・・・
榎本さんは約束通り、ロスから帰国すると
真っ直ぐに俺の自宅にやって来てくれた。

「榎本さん!」
「ただいま帰りました。これ、お土産です。」
「あ、ありがと。とにかく入って。」
「それではお邪魔します。」
「俺、あなたに沢山話が有るんだ。」
「僕もです・・・」
「えっ?」
「二宮さんからどうぞ・・・」
「ううん、榎本さんから先にいいよ。」
「そうですか?・・・実は、次の仕事は軽く1年程は東京に戻って来れそうにないんです。」
「えっ?1年も?」
「はい。」
「場所は?」
「沖縄です。」
「お、沖縄?」
「ええ。そう簡単に休日に戻ってこれる距離ではありません。」
「そ、そうだよね。」
「そこで、折り入ってご相談が有ります。」
「え?」
「二宮さんさえ良ければ・・・なのですが・・・」
「な、何?」
「僕と・・・その・・・つまり・・・」
「何?」
「一緒に沖縄に着いて来て頂けないかと・・・」
「えっ?だ、だけど俺仕事が・・・」
「勿論その・・・あなた一人養うくらいの収入は有ります。」
「そ、それって・・・」
「無理にとは言いません。二宮さんさえ良ければって話です。」
「な、何で?どうして?どうして俺に着いて来て欲しいの?」
「はっ?・・・いや///それは///」
「行く!着いて行くに決まってるでしょ。」

いつになくモジモジしてる榎本さんが愛おしくて
俺は榎本さんの胸に飛び込んだ。
そして榎本さんの掛けてる眼鏡に手を伸ばし、それをそっと外した。
キョトンとしてる榎本さん目掛け、俺は跳び付くように自分から唇を重ねた。

「んっ・・・榎本さん・・・すき・・・」

そのまま縺れる様にソファーに倒れ込み、
俺を上から見下ろす榎本さんだったけど
急にソファーに座り直し

「え?どうしたの?」
「・・・」

顔の横で指をスリスリと擦り合わせ
無言で何かを考え始めた。

「こんな時に・・・何謎解きしてんだよ・・・いいから早く来て!」

THE END

 

 

*特別出演 大野智(隣の住民)

最後までお付き合い有難うございました。

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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