真夜中の虹 18

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真夜中の虹 18

 

 

 

大野さんは俺の釣りの誘いに意外と簡単に反応した。よっぽど行きたいのを我慢してたのかな?早速ネットで満潮時刻とか調べると、この時間から出掛けるのが丁度いいらしくて、大野さんは急いで支度するからと、それは嬉しそうに釣りの準備を始めた。俺は釣りなんか興味ないし、正直な話子供の頃に親父と釣り堀で遊んだって記憶しかない。だったらどうして釣りに誘ったかっていうと、玄関先に飾られてある魚拓と釣竿が大野さんの釣り好きをあまりにも象徴してて、しかも暫く行けてないっていう事も本人から聞いてたし、きっと一番の気晴らしになるんじゃないかって思ったから。本人のモチベーション下がってて、しかもその理由が失恋とかいうなら尚更だと思うけど、周りがどんなに急き立てたところでかえってやる気をそいでしまうというもの。それが正解かは分からないけど、俺だったら一度逆にやりたいことを飽きるまでやるかなって・・・

 

「ニノ、紹介するね。こちらは何時も釣りの時お世話になってる船長の松田さん。」

「どうも、はじめまして。二宮です。」

「お、はじめまして。松田です。ニノちゃんて大ちゃんの新しい恋人かな?」

「ええっ?///」

「せ、船長、何言ってんの?違うってば。」

「またまたぁ、照れなくてイイじゃん。めちゃくちゃお似合いだよ。ニノちゃん宜しくね。」

何か勘違いされてるのは明らかなんだけど、色々否定したり説明するのも面倒そうだから、その場は笑って誤魔化した。

「あははは・・・宜しくお願いします。」

「もう、いいから早く舟出してよ。」

大野さんももうこれ以上は面倒なのか否定せず、釣り道具を車から降ろして船に乗り込んだ。

「ほら、ニノもおいで。」

大野さんは俺の手を取って乗船を補助してくれた。

「それにしても大ちゃん、久し振りだねぇ。もう半年くらい連絡くれなかったから心配してたんだよ?」

「色々と忙しかったんだよ。ゴメンね、連絡も出来なくて・・・」

「もう釣りは辞めたのかと思ったよ。」

「まさかぁ。」

以前は櫻井さんとしょっちゅう釣りに来てたのか。大野さんは持って来た釣竿にリールや餌をセットして俺に手渡した。

「はい、これ使っていいよ。」

「うん、ありがとう。でも俺、釣りとかちゃんとやったことないんだけど・・・」

「マジ?大丈夫だよ、おいらが教えてあげるから。」

「う、うん・・・」

ポイントに着くと、暫く竿を仕掛けて魚が掛かるまでは退屈でボーっと海を眺めてるしかない。

「さっきはゴメンね。船長何も知らないからあんな事言って・・・」

「え?あぁ・・・俺全然気にしてませんよ。」

「ニノにはちゃんと好きな人が居るのにね。」

「え・・・あ・・・」

「あれから告白できた?」

大野さん、俺のあの作り話をまだ真に受けてる。

「あー、それが・・・実は・・・」

「え?まだ告ってないの?」

「違うんですよ。」

「違うって?」

「お、俺・・・フラれちゃったんです。」

また俺はこの人に平気で嘘をついてしまった。だってこう言えば、仲間だと思ってくれるかも知んないって思った。俺が失恋したことを知れば、大野さんももしかすると自分の方から辛い気持ちを吐き出してくれるかもしれない。

「ご、ゴメン。そうだったんだね?おいら知らなくて・・・」

「全然気にしないで下さい。」

「・・・」

だけど、大野さんは辛い気持ちを吐き出すどころか、フラれた時の気持ちを思い出しちゃったのか?その後全然自分から話し掛けてこなくなった。暫くお互い沈黙が続き、なんとも言えない気まずい雰囲気になっていた。そうしているうちに、俺は波に揺られて船酔いしてしまい遂に立っていられないほど気分が悪くなって、急にその場にうずくまってしまった。

「ニノ?どうしたの?」

「き、気持ち悪いよぉ・・・」

 

 

 

 

つづく

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投稿者: 蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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