真夜中の虹 20

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真夜中の虹 20

 

 

「えっ?おいらはここで大丈夫だよ。」

「だったら俺がここに寝るから大野さんがベッド使って下さい。」

「そんなの駄目だよ。風邪引いちゃうよ。」

「それならあなただって同じことだよ?」

「おいらは大丈夫だって。」

「恥ずかしいの?」

「ええっ?そういうわけじゃないけど。」

「それじゃ、何でそんなに嫌がるんだよ?」

「べつに嫌がってるわけじゃないよ。」

「俺があなたのこと襲うとでも思ってる?」

「あははは。それも思ってないよ。」

「それじゃ何で?もしかして、あなたが俺の事襲うかもしれないって思ってる?」

「んふふふ・・・思ってる。」

「えっ?・・・マジで?」

そうだ。この人同性愛主義者かもしんなかった。それを考えるとマジで一緒に寝るのはマズいのかも知れない。

「冗談だよ。自分から聞いといて、何その顔・・・」

「えっ・・・あ・・・俺そんな変な顔してた?」

「んふふふ・・・。」

「もう、何でもイイや。とにかくベッドは一つしかないんだ。譲り合ってどちらが風邪ひいてもマズいよ。」

「ニノって・・・」

「ん?」

大野さんはそう言い掛けてクスクスと笑った。

「何だよ?」

「いや・・・ごめん、何でもないよ。分かった。今夜は一緒に寝よう。」

「う、うん・・・」

言い掛けてやめんなよ。めっちゃ気になるじゃん。

「あのさぁ。聞いていい?」

「はい?」

「ニノはどうしてマネージャーなんてやろうと思ったの?」

「え・・・」

「だってさ、俳優を目指してたんでしょ?こないだそう言ってたじゃん。」

「あ、う、うん。でももうそれ辞めました。」

「なんで?」

「何でって・・・俺がフラれた相手って、同じ養成所の人だったんですよ。俳優になりたいって動機がそこだったから、もう意味なくなっちゃったんで。マネージャーはたまたま仕事探してたら募集してたんで。」

「そっか・・・」

「うん。」

「ゴメン。」

「えっ?」

「いや、辛いこと思い出させちゃったね。」

「あ、いえ。」

「また直ぐに良い人見つかるといいね。」

「そ、それなら俺、大野さんがいいな。」

「え・・・」

「大野さんは現在お付き合いしてる人いるの?」

「い、いないけど・・・」

「迷惑ですか?」

「め、迷惑とかじゃないけど・・・」

「大野さん・・・」

「え?」

「そういうところですよ。」

「は?」

「あなた優しいからハッキリ言わないでしょ。例え本当に迷惑じゃないにしても、付き合う気がないんならここは少なからず相手には迷惑って言わないと100%勘違いしちゃいますよ。」

「そ、そうなの?でも・・・」

松本さんの話、本当だったんだな。この人きっと誰にでも優しいからあのオカマの杏奈さんとかも勘違いしちゃったんだよ。まぁ、決して悪気があってのことではないって事は俺にも分かるけど。

「優しさは時に罪って知らないの?」

「でも、おいら、ニノのことは嫌いじゃないよ。」

「えっ?」

「逆においらなんかでいいのかな?って・・・」

「ええっ?そ、それって、もしかしてOKってことですか?」

「うん。だけどニノはおいらのことからかってるでしょ。」

そこは見破るわけだ。

「からかってなんていませんよ。」

そう言うしかないよな・・・

「だけど・・・大野さんは俺がフラれたから同情してくれてるだけですよね?」

「そんなふうに見える?」

「うん・・・」

「それじゃ、ニノと同じだね。」

「え?同じというと?」

「ニノもおいらに同情して釣りに付き合ってくれた。」

この時俺は思った。この人、表面ではふにゃふにゃ笑ってるだけに見えるけど、結構俺なんかのこともちゃんと見てるんだ。もしかしたら嘘で塗り固めてることも、実は全てお見通しなんじゃないかって思って急に気まずくなった。

 

 

つづく

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投稿者: 蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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