真夜中の虹 24

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真夜中の虹 24

 

 

俺は櫻井さんからさりげなく大野さんについての情報を搔き集めた。もう、自分の中ではとっくに探偵の仕事には見切りを付けてはいるんだけど、どうしてもその癖っていうか、聞き込み調査みたいな事をしてしまう。まあ軽く言い訳するとしたら、俺はあの人のマネージャーなんだから必要最低限の範囲のことは知っておく義務がある。本当はもっと聞きたい事は有るけど、とりあえず櫻井さんがあの人のフラれた相手でなかったことが分かっただけでも俺にとっては収穫だ。それから俺は大野さんとの約束の時間に少し遅れてマンションへと向かった。玄関に入ると、来客なのか大野さんのものとは別のスニーカーが並んでいた。

「大野さん、ゴメン。お待たせしました。」

そう言ってリビングに入ると、細身で童顔の男性がソファーに腰掛け、俺の声にビックリした表情で振り返った。

「あ、ニノお帰り。」

「ごめん。来客中って知らなくて・・・」

一瞬だけど気まずい空気が流れた。いったい誰?

「えっと、紹介するね。彼は以前おいらのマネージャー務めてくれてた悠斗くん。」

「どうも、初めまして。悠斗です。」

「は、はじめまして。」

「悠斗、彼が新しいマネージャーのニノだよ。」

この人も勘違いして辞めてったマネージャーの一人か。そんな元マネが今更何の用?

「悠斗、うちのマンションに引っ越してきたんだって。」

「へ、へぇ。そうなんだ。」

フラれた相手のマンションに引っ越し?わざわざ?もしかして、まだ諦めてないのか?

「大野さん、お仕事また忙しくなるの?」

「え?」

「だってマネージャーは暫く付けないって言ってたから。」

俺の顔をチラッと見ては挑発的な表情を見せる。何だよ?コイツ・・・

「おいらはもうマネージャーはいいって言ってたんだけど、潤が勝手に翔君に手配掛けたんだよ。」

「へえ・・・ちぇっ、もうちょっと早く知ってたら俺雇って貰ってたのにな。」

また俺の顔を見る。なんか胸くそ悪いヤツだ。

「大野さん、俺席外そうか。」

「え?あ、うん。悪いな・・・」

「あ、居て貰って全然大丈夫ですよ。大野さん、それより今夜って予定有る?」

「えっ?」

「久し振りだからゆっくり飲みながら話さない?俺んちで・・・」

「悠斗んちで?」

なるほどね。結局俺が居たら話せないって言ってるようなもんじゃん。

「今日はこれからちょっと出掛けるから・・・帰りは何時になるか分かんないよ。」

「俺、結構夜型なんで何時でも構いませんよ。戻ったら連絡下さい。」

そう言って悠斗は携帯番号を素早くメモして大野さんに渡した。

「それじゃ、待ってるね。」

「えっ、あっ・・・うん・・・」

悠斗は断れない大野さんを見て嬉しそうに帰っていった。大野さんは参ったなって言わんばかりの表情で頭を掻いてる。そんな大野さんを見て、俺は呆れかえり大きく溜息をついた。

「はあっ・・・あのさ・・・」

「えっ・・・」

「俺もこんな事は言いたくないんですけど、大野さんってモテモテですよね?」

「ええっ?ど、どういう意味?」

「そのまんまです。」

「は、悠斗はそんなんじゃないよ。」

「ふうん・・・俺は確かにマネージャーだけど、もうそれだけじゃないんですよね?」

「う、うん。」

「夕べ俺に言ったこと覚えてます?」

「も、もちろん。」

「それじゃ、どうして彼の家なんか行く約束してるのよ?」

「に、ニノも一緒に行こうよ。」

「は?分かってます?あの悠斗って人、俺が居たら話せないからあなたを家に誘ったんですよ。」

「あ、そうか・・・」

「きっと告白でもされるんじゃない?」

「ええっ?それはないよ。」

「もしも迫られたら?」

「だからそれもないよ。」

「どうして言い切れる?それがないと思うだけであなたは他の人と二人っきりで飲むの?しかも彼の部屋で?」

「で、でも・・・」

「大野さん?付き合うってそういう事ですよ。俺があなたの知らない人と勝手に自分ちで仲良く家飲みされて平気ですか?平気じゃないよね?」

「へ、平気じゃない。でも・・・ちょっと心配し過ぎだよ。悠斗は全然そんな気はないと思うよ。」

「そりゃ、俺なんかより彼の事の方をあなたは理解してるんでしょうよ。」

「わ、わかったよ。悠斗との家飲みは断るよ。」

「ホントに?」

「その代わり・・・」

「えっ?」

「その代わり、ニノ、今夜もうちに泊ってくれる?」

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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投稿者: 蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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