真夜中の虹 26

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真夜中の虹 26

 

 

俺が大野さんの家に住み込みで働くという新たな展開になってしまい、大野さんの実家行きを急遽変更して、俺達はショッピングモールへ出掛けた。支払いは全て大野さんが持つと言ってくれてるので、最初は戸惑っていた俺も途中から開き直って遠慮なくあれこれ買い物をした。引っ越しとは無関係な欲しかったゲームソフトまで買って貰って、ちょっと流石に調子に乗ってるって自分でも思った。

「なんか悪いね。引っ越しとは関係の無いものまで強請っちゃって。」

「んふふ、いいよ。もっと他に欲しいものあったら遠慮なく言ってくれていいんだよ。」

「ねえ?まさかとは思いますけど、今まであなたのところで働いてた人って皆こんな好待遇受けてたの?」

「ええっ?まさかぁ。ニノが初めてだよ。」

「ホントに?」

「うん。」

「どうして俺にそこまでしてくれるんですか?」

「だってニノはマネージャーというよりも恋人じゃん?」

「あ///それね・・・」

「んふふ・・・」

男同士で恋人って何なの?マジで言ってるの?やっぱり本当に同性愛主義なのか。どうしようかな。今更怖気づく俺もどうかと思うけど、やっぱり冗談でしたっていう訳にもいかないし・・・そもそも俺が男に片想いしてるなんて作り話したからこんなことになっちまったわけだし。なので大野さんに嘘がバレてしまうのは全てにおいてマズい。とにかくここは何が何でもこの設定を貫くしかないよな。

買い物を済ませて夕方マンションに戻ると、大野さんは俺の目の前で悠斗に電話して家飲みをキャンセルした。俺も相葉さんに話を聞くために一旦自分の家に戻って電話を掛けた。相葉さんは電話では話せないからと、俺の自宅に直接来てもらう事になった。

「ニノ、どういう事だよ?所長から聞いたけど、辞職を申し出たそうじゃない。」

俺はついさっき、所長に電話を掛けて自ら探偵の仕事を辞めたいと伝えたところだった。多分それを聞いて血相変えてやって来た感じなんだろう。

「まぁ、相葉さん落ち着いてって。」

「今朝も電話で言ったけど、お前は俺なんかより探偵が向いてるっていうのに、何でわざわざ自分から辞めたりするんだよ。所長からクビだと言われたならばまだしも・・・」

「俺はもう無理なの。」

「どうして?所長はお咎めなしにしてくれたのに。」

「実は俺、今大野さんのところで働いてるの。」

「えっ?」

「あの人のマネージャーの仕事してるんだ。」

「う、嘘?」

「本当だよ。こんな事嘘ついてどうするのよ。分かったでしょ?そういうわけだから、無理なものは無理なのよ。」

「ニノ、悪い事言わないから、今直ぐその仕事辞めなよ。」

「は?無理だって。」

「お前がもう探偵に戻りたくないのなら、そこはこれ以上無理には引き留めない。だけど、大野さんからは今直ぐ離れろ。」

「はぁ?それって今回の調査の件と何か関係あるんだよね?」

「大有りだよ。」

「言っとくけど、あの人は人を殺せる様な人間じゃないよ。一体どんな依頼が来たの?」

「ニノが仕事を本気で辞めるのなら、依頼人の情報は話せない。」

「もちろん、それは分かってる。絶対に他には漏らさないって約束するからヒントだけ教えてよ。」

「教えてもいいけどひとつだけ条件が有る。」

「え?条件?」

「うん。ニノが大野さんのところで働いてるというなら、調査に協力して欲しいんだ。」

「協力って・・・俺はもう探偵じゃないから調査はしないよ。」

「分かり得る範囲の情報だけでも良いんだ。協力してよ。」

「で、でも・・・」

「内容知りたいんだろ?」

そりゃ、知りたいよ。知りたいけど、これ以上俺はあの人を騙すようなことは出来ない。

「ごめん。やっぱ無理だわ。但しこれだけは言っておくけど、大野さんは誰にでも優しいけど自分はしっかり持ってる人だよ。それこそお金にも困ってないし、物欲的な事で言うと全然無いに等しい人だから。依頼人がどんな調査依頼してきたかは知らないけど、見当違いだからね。大野さんは犯罪を犯すような人じゃないから。調査するだけ無駄だよ。」

俺は本気であの人と付き合っているわけじゃない。だけど流石にあの人の事、事件の犯人扱いされることが馬鹿馬鹿しいを通り過ぎて苛立ちすら感じた。

 

 

 

つづく

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投稿者: 蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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