真夜中の虹 39

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真夜中の虹 39

 

 

そっと触れ合った唇は直ぐに離れて名残惜しさを残したまま目と目を合わした。うっとりとした目で俺を見つめる大野さん。俺としては予想外の展開に頭も体も完全にフリーズ状態で追い付いていない。ただ、一つだけハッキリしてることは、今間違いなく大野さんは俺の事を恋愛対象として見ている。それに応えるのか否かは俺次第ってこと。それを考える隙を与えないかのように再び唇を重ねる大野さん。今度はさっきよりハードで両方の手が俺の頬を包んだかと思ったら、彼の舌先が俺の唇と前歯の隙間を割って忍び込んで来た。男同士でディープキスだなんて絶対にどうかしちゃってるって以前なら間違いなく否定してたと思うけど、今の俺は違う。何の抵抗もなくそれを受け入れて絡ませたりしてる。そうしているうちに気持ちが高揚して下半身が勝手に疼き始めた。そして縺れながらソファーに倒れ込み、俺は大野さんの身体の下に組み敷かれた。離れた唇が俺の首筋を這う。

「うっ・・・ンぁっ・・・」

えっ・・・誰?って自分でも驚くほど色っぽい声が漏れる。それを聞いて大野さんは興奮を抑えられない様子でその場で着ていたシャツを脱ぎ捨てて上半身裸になった。そして俺の上着も剥がそうとしたから、俺は急にビビッて我に返り

「えっ・・・待って。今ここで・・・するの?」

「うん、駄目?」

「あ、いや、その・・・ふ、風呂は?」

そう尋ねると

「あ・・・確かに。ゴメン、疲れてるから風呂入るように言ったのおいらなのに、つい・・・うん、とりあえず風呂沸かしてくるわ。」

大野さんはそう言うと頭を掻きながら俺の身体から離れて風呂場へ向かった。俺と大野さんは恋人として付き合ってるんだから、いつかはこうなることも覚悟はしてた。だけどいざとなると心の準備も何も出来てないわけだから流石に戸惑ってしまうのも仕方のないことではある。

「風呂、沸いたよ。」

「あ、ありがとう・・・」

取り敢えず俺は大野さんからまるで逃げるように風呂に入った。浴槽の湯船に浸かりながら、一旦頭の中を整理した。俺が沖縄までついて来てるのは単にマネージャーを続けたいだけって事じゃない。恋人って立ち位置を守る為なんだ。だけど正直言うと一線を越えるのが怖い。どうすれば怖くなくなるんだろう?もっと時間掛けて愛情を育めば平気になる?そういう問題?しかも時間ってどのくらいよ?自問自答を繰り返すだけでちっともまともな答えは見つからない。だけど結論は出さないと、大野さんは俺が風呂から上がるのをやる気満々で待ってるに決まってる。だってあの人はその為に身内をホテルに泊まらせ、真琴くんを預かって貰ったんだろうから。

「お風呂、お先しました。あなたも入ってくれば?」

「うん。」

「あ、大野さん、ビール頂いても良い?」

「いいよ。冷蔵庫の好きなの飲んでて。」

「ありがとう。」

そして俺が出した結論といえば、酒に頼る事くらいしか思いつかない。素面でそんな恥ずかしい事出来る訳が無い。俺は冷蔵庫から缶ビールを取り出すと、先ずは流し込むようにあっという間にその1本を空けた。そして再びもう1本・・・ネットで同性愛について検索を掛けて色々と調べてたら何だか余計に喉が渇いてきた。そうして大野さんが風呂から上がって来た時には、既に500mlの缶ビールを軽く3本は飲み干していた。

 

 

 

つづく

 

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投稿者: 蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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