真夜中の虹 70
「マ、マネージャーはニノがやるんじゃないの?」
翔さんが慌てて智に確認する。
「いや・・・もうカズにはおいらの仕事は関わらせない。」
「は?どうしてだよ?何でそんな勝手なこと・・・」
「カズはおいらにとって、もう家族も同然なんだ。」
「家族で一緒に仕事して何が悪いんだよ?」
「いいから、カズは黙っておいらの言う事を聞いててくれ。」
「じゃ、分かった。大野さんとしては、これまでみたいに身の回りのお世話を含めたマネージャーという事じゃなくて、あくまでもビジネスをサポートしてくれるマネージャーを付けて欲しいって、そういう解釈でいい?」
「うん。」
「それなら、ニノも納得するでしょ?」
「えええっ・・・でも・・・」
「ようは、ニノは専業主婦みたいなことやらされるよりも大野さんとこれまで通り一緒に仕事したいんだよね?」
「そ、そうですよ。流石松本さんは話が分かるな。」
「誰も専業主婦してくれなんて思ってないし。」
「えっ?違うの??俺にはそういう風にしか聞こえなかったけど。」
「違うよ。」
「俺個人の意見としては、ニノはこれまでのマネージャーと比べてもかなりの敏腕だと思うけどね。」
「言われなくても分かってるよ。」
「うん、まぁ、後は二人でゆっくり話し合ってさ、結論出たら連絡くれても遅くは無いと思うよ。」
俺は智が考えてる事が全く理解出来なかった。寧ろ、もしかすると俺に対する愛情も実はすっかり冷めて来てる?とまで思えた。真琴が居なくなり、俺だけは自分の傍から離れないでって思ってたんじゃないのかよ?俺はずっと寄り添うつもりでいただけに、今回の智の発言にはかなりテンションが下がった。その後、家飲みは2時間以上続いたけど、俺はその事に頭の中を占領されてしまい、全然腑に落ちないし面白くなくてひたすら黙々と酒を飲んだ。
「それじゃ、そろそろ俺達はお暇するよ。あーそれにしても久々飲んだなぁ。」
「楽しかったね。また来てよ。」
「うん、そうさせて貰いますよ。あ、仕事決まったら連絡するから。」
「宜しく頼むよ。翔ちゃんもね。」
「えっ?あ、うん。俺は何時でも派遣出来るから・・・」
「そんな事より、よーく二人で話し合いなよ?」
「うん。分かってる・・・」
「じゃ、ニノ、またね。」
「あ、うん、気を付けて・・・」
二人が機嫌よく帰って行った後、俺は堪らず智に詰め寄った。
「どういうつもりなの?」
「えっ?」
「何で俺を仕事から外そうとするの?」
「カズ?酔ってる・・・」
「酔ってなんかいません。」
「酔ってるって。顔真っ赤じゃん。」
「俺は飲むといつもこうなるの。知ってるでしょ。」
「とにかく明日にしようよ。」
「嫌だ!寝れない!」
「それじゃ、もう少し飲むか。」
「馬鹿にしてる!」
「んふふっ。してないってば。」
ズルいんだよ、あなたは。そんな蕩けるような優しい笑顔見せたって、俺は誤魔化されないんだから。
「どうして?どうしてあなたは何時もそうなの?」
悔しくて愛おしさ溢れて俺は智の胸に飛び込んで力一杯彼を抱き締めた。
「カズ・・・?」
「俺はあなたに一生付いて行こうと思ってる。それなのに・・・どうして?俺、あなたの足手纏いになるような事した?」
「違うよ。誤解してる・・・」
「だったらちゃんと・・・説明・・・」
俺の言葉を遮るように、智の柔らかい唇が俺に重なった。
つづく
{お詫び}いつも読んでくれてありがとうございます。お話も佳境に入って参りましたが、その前に皆様にお詫びを。先週、体調不良で寝込んでしまい全くパソコンの前に座る事が出来ず、勝手ながら週一の更新をお休みしてしまいました。更新を楽しみに覗いてくれた方には心よりお詫び申し上げます。尚、現在は体調も元に戻っております。朝晩冷え込みが厳しくなっておりますが、皆様もお体には十分ご自愛下さい。本日も覗いて頂きありがとうございました。 蒼ミモザ
こんばんは🌙
蒼ミモザさま
体調はいかがですか❓
朝晩は冷え込むし昼間は暑いので誰でも体調を崩すかと思います。
お話の感想いつも書こうと思っているのですが、苦手ななので失礼していましたがしっかり楽しませていただいてます。
大野さんはいつも一人で決めてしまう癖がありますね💕真琴を手放してしまった時も、今回のマネージャーを付けるのもジョニーさんが亡くなったときも
説明(相談?)するのが苦手な人かも知れませんね💕もっとカズに頼れば良いのにとヤキモキしてしまいます。
なにぶん文章力が無いので許してください。
ではお身体に気おつけてお過ごしください。
muchipu様、コメントありがとうございます。
体調は、なんとか正常に戻りました。ご心配をお掛けしてすみませんでした。
仰る通り・・・智は説明するのが苦手なタイプですね(^-^;カズには一切相談しないので色々拗れてしまいます。
でも、そういう不器用な感じとかを書きたかったんで、感じ取って下さってる事には、書き手としては喜びを感じます。
真琴くんを親元に返して、これからカズと二人っきりのラブラブ生活・・・で終わるかと思いきや・・・
もうひと悶着あってからの最終話に繋がります。もう少しだけお付き合い下さいね。