真夜中の虹 71

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真夜中の虹 71

 

 

「んっ・・・ズルい・・・離して・・・」

言葉とは裏腹に智の熱いキスに完全に身を委ねる俺。悔しいけど結局はこうなる。それは俺も好きなんだから仕方ないんだけど・・・智がこうやって話をはぐらかす時は、必ずと言っていいほど何か企んでるんだ。俺はわざと色気たっぷりに誘うかのように激しくキスしながらそのまま智をソファーに導いた。案の定、智は鼻息荒く自分の着てる物を脱ぎ捨て、俺の服も脱がせようとする。そこまではされるがままなんだけど、俺の素肌に触れようとしたタイミングで俺はその手を掴み「待った」を掛けた。

「えっ?なんでだよ?」

「何か企んでるでしょ。」

「は?」

「俺には分かるんだから・・・」

「そんなのいいから・・・」

そう言って無理矢理またキスで口を塞ごうとするから、俺は直ぐさま身体を起こしてそれを逃れた。

「何で逃げるのさ?誘ったのはカズじゃん。」

「そうですよ。」

「もう、わけ分かんない。」

「それはこっちの台詞だよ。」

「うう・・・もうおいらはスタンバイしてんだぞ。」

確かに、濃厚なキスを交わしてる最中に智の中心が固く変化してる事には俺も気付いてた。それが突然お預けを喰らったものだから、その顔ったら情けないったらありゃしない。

「俺と・・・したい?」

「当たりめぇだ。」

「フフッ・・・だったら白状しましょう。何企んでるの?」

「何も企んでなんかいないってば。」

「正直に言ってくれれば、俺の身体好きにしていいのに。」

「しょ、正直も何も・・・おいら何も隠し事とかしてないもん。」

「それじゃ、どうして俺の事マネージャーから外そうとしてるの?」

「あ・・・それは、あれだ・・・」

「あれだ、じゃ分かんないよ。」

「カズにはさ、ほら、真琴の荷物の整理とか、遠藤さんに保育園の事とかも色々とまだ引き継いで貰わなきゃならない事もあるしだな・・・」

「そんなの数日で終わりますよ?」

「そう?」

「終わりますよ。」

「そうか、そうだよな。」

「だから、どうしてそれだけの理由でマネージャー外されないといけないんですか?」

「さっきも言ったじゃん。カズは家族だからだよ。」

「お前一人くらい俺が養う・・・ですか?」

「あ、勿論それはそうだけど・・・」

「他に何かあるんでしょ?」

「え・・・うん・・・」

「やっぱり。」

「カズはさ、相葉君の仕事を手伝いなよ。」

「はぁ?」

「カズは本当は探偵の仕事、辞めたくなかったんだよね?」

「えっ?」

「この前、相葉君から色々と聞いたんだけど、カズが探偵の仕事をクビになったのって、元々おいらのせいだったんでしょ?」

何か、色んなことがあったからそんな事すっかり忘れてた。

「まぁ、実際はそうなんだけど、でもあなたのせいだとは思ってませんけど。」

「だけど、おいらと出会ってなければ今頃はまだ探偵として働いてたかもしれないよね。」

「あの・・・何が言いたいの?悪いけど、俺はあなたと出会わなきゃ良かったなんて一度も思った事ないですよ。俺はきっかけが何であれ、あなたと出会えたことは運命的なことだと思ってる。だから、探偵の仕事してた事も、ニューハーフの杏奈さんがあなたを調べて欲しいと依頼してきたことも、俺が担当としてあてがわれた事すらその全てが運命だと思ってる。あ、勿論探偵の仕事自体は嫌いではなかったよ。」

「うん、だからさ・・・相葉君がカズの能力をとにかく絶賛してて、そんなに探偵の仕事が向いてるんなら、カズには好きな仕事を自由にさせてあげた方がいいんじゃないかって思ったんだよ。おいらのマネージャーなんて、大してやりがいのある仕事でもないでしょ。」

「あなたは何も分かってないよね。これまで何人のマネージャーに優しくしてきたの?早苗さんだってそうだけど、その優しさに勘違いした人間がどれだけいると思ってるの?」

「以前潤にもそれ同じ事言われた。」

「あなたに自覚がないのが怖いんですよ。」

「いや、だからもう身の回りのお世話みたいな仕事はマネージャーにはさせないって言ってるじゃん。」

「そんなに俺と四六時中居るのが嫌?」

「違うよ・・・逆だ。」

「えっ?」

「この先、ずっとおいらはカズと一緒に暮らしたいんだよ。だからこそカズには自分がやりたい仕事に就いて欲しいんだ。勿論、今後はマネージャーとは仕事以上の付き合いは絶対にしないって誓うよ。」

そこまで自分の事を考えてくれてたんだ。これはきっと喜ぶべきことなんだろうな。智は智なりに色んなことを乗り越えて成長してるのかもしれない。いつまでも心配とか言って甘えた事ばかり言ってごねてるのは俺の方なのかも。そう思ったら、ちょっと自分が情けなく思えてきた。全ては俺がこの人を信じてあげればいいだけ。

「分かりましたよ。あなたがそこまで考えてくれてたなんて・・・俺、仕事のこと前向きに考えてみます。」

「カズ・・・」

お互いの身体の火照りは完全にクールダウンしてしまったけど、俺達は再び激しくキスを交わし、夜が更けるまで夢中で愛し合った。

 

 

 

つづく

 

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投稿者: 蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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2件のコメント

  1. おはようございます☀
    智は、勝手すぎ😡ですね!
    カズの事を考えてるようで、自分勝手に思えてきました。(辛口でごめんなさい🙏)でもそんな所も含めて好きなんでしょうね♥回りの人がサポートしてくれてる。良い関係ですね💕
    ちなみにコメ編てどうやってみるんでしたっけ?なにをかいたのかも見る事ができないんです。ご面倒お掛けしてすみませんがブログまでお願いします🙇‍♀️

    1. こんにちは。muchipu様、コメントありがとうございます。
      辛口のご意見も全然歓迎でございますよ!今回の智は確かに勝手に事を進めてしまいがちですね(^-^;
      それもカズを想ってからの行動だったり、考えだったりなのですが、結果カズを振り回してますね。ごめんなさいm(__)m
      コメントに関しては、私の承認次第で反映されるのですが、私自信がPCから操作しなくてはならなくて、承認&お返事が遅れがちで申し訳ありません。

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