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第10話 恋心

 

 


「俺の事・・・好きにして良いですよ。」

大野さんは俺のその言葉にビックリした様子で目が真ん丸になり、口はポカンと開いたまんま。

「も、勿論それで許して貰おうなんて思ってませんよ。でも、その、何て言うか、
俺なんかの事そこまで大事にしてくれる人他に居ないし、俺もあなたならイイかなって。
あ、でも勘違いしないで。俺べつに元々そっちの趣味だったとか一切そういうのとは違うから。
こう見えても高校の時はちゃんと彼女だって居たんだよ。あ・・・俺何言ってんだ?」

自分でもかなり恥ずかしい事を言ってるのは分かるか。
だからついつい早口になってるのが分かる。

「ニ、ニノ?」
「お、俺の身体があの絵と同等の値打ちかどうかは分かんないけど
それで気が済むんだったら・・・
っていうか、あなたの気が済むまで俺の事好きにしていいよ。」

真っ赤になりながらそこまで一気に喋ったら、大野さんが腹を抱えて笑い出した。

「あはははっ・・・・ははははっ・・・」
「な、なんだよ?こっちは真剣に考えて話してるのに。」
「ご、ゴメンゴメン・・・だって・・・」
「だって、何?」
「ううん・・・分かったよ。」
「え?」
「ほんじゃ、行こう。」
「は?」

大野さんは必死に笑いを堪えながらそう言うと
急に立ち上がって俺の腕を引っ張って、寝室に向かった。
部屋に入り、セミダブルベッドに腰掛けると、突然目の前で着ていたTシャツを脱ぎ始めた。
パッと見、俺みたいに華奢だと思ってたけど、実際は腹筋が割れてて意外と細マッチョな男らしい体つきしてる。
大野さんのセミヌードに見惚れてたら、大野さんがそれに気づいてまた笑った。

「ん?どーした?こっち来なよ。」
「えっ?あぁ・・・う、うん・・・」

心臓が信じられないくらい高速で高鳴ってる。
自分から誘っておいて、今更怖気づいたなんて思われたくない。
ふうっと腹を決めて、大野さんの隣に腰掛けたら、
いきなり大野さんが俺の身体に覆い被さる様にしてベッドの上に押し倒されてしまった。
そして両手が重なり、指を絡ませると大野さんの顔がゆっくりと俺の方に近付いてきた。
もう恥ずかし過ぎて、目を合わせる事が出来ない俺は鼻先が触れそうな距離まで近付いた時
思わず目を瞑った。

チュッ・・・

音を立てて軽く触れた大野さんの唇は、俺の唇ではなく額にだった。
唇にキスされると思ってた俺はビックリして瞼を開いた。
すると、大野さんは俺の事を優しく見つめてニッコリ微笑んで

「んふふっ。本気ですると思った?」

そう言うと、ベッドの上に大の字で寝転んだ。

「えっ?」
「あんなの真に受けると思わなかったからビックリしたよ。」
「だって・・・」
「頼むから、もうあの絵の代金の事は忘れてよ。」
「えっ?」
「ごめんね。身体で払えなんてさっきは酷い事言って。」
「大野さん・・・」
「でも、なんかちょっと嬉しかった。どうせならさ・・・」
「ん?どうせなら何?」
「あ、いや。何でもない。」
「えっ?ちゃんと言ってよ。どうせなら何よ?」
「いや、ホント大したことじゃ無いんだ。」
「やだ!ちゃんと言ってくんなきゃ、俺また眠れないじゃん。」
「んふふっ。どうせならね、損害金のどうのって話は抜きで誘って欲しいかなって(笑)」

大野さんは恥かしそうにそう言うと、脱ぎ捨てたTシャツを再び身に着けて
一人リビングに戻って行った。

待って?今のはどういう意味だろう?
俺とそういう関係になることを求めてないわけじゃないって事だよね?
・・・ってことは、無理やり今俺と関係を持つことも出来たのに
大野さんってどんだけ優しい人なんだよ。

今のこの瞬間、確実に俺はあの人に恋をした。
男も女も関係無いよ。ここまで優しくしてくれたら誰だって好きになるに決まってる。
ただ、優しいのはいいけど、こうなると話は変わってくる。
きっかけが損害金だろうと何だろうと、やっぱり今親密な関係を持つべきだった。
だって、こんな恥ずかしい事、今後自分から言えるのかって話だもの。
今ほど絶好の機会はそう訪れるものじゃない。
それを考え始めたら、これまた眠れなくなってしまった。

そしてその翌朝、大野さんは夕べ何事も無かったかのように
普通の態度で俺に接してくれた。
俺の方は、まるで魔法にでも掛けられたみたいに妙に大野さんの事を意識してしまって
まとも目も合わせられないでいた。

「ニノ、今日は仕事休んでいいから、一度自宅に戻って必要な物取りに行ってきなよ。」
「え?でも・・・」
「全然あれから家に帰って無いでしょ。郵便物とか溜まってると空き巣に狙われるかもしんないしさ。」
「そ、そっか。そうだね。分かった、それじゃお言葉に甘えてそうさせて貰うね。」
「あっ、それとも、もうこれからは自宅から通うようにする?だいぶ精神的にも落ち着いたみたいだし。」
「えっ・・・もう少しここに居させて貰ったら駄目?」
「勿論、おいらはずっと居てくれて構わないんだけど。」
「だったら、俺はここがイイな。あなたが迷惑でないなら・・・」
「んふふふ、迷惑じゃ無いよ。」
「良かったぁ。」

俺の大野さんへの想いが恋心だと気付いた以上、大野さんと離れて暮らすなんて選択肢は
正直もう俺の頭の中の何処にも無かった。

 

続く

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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