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第13話 好きな人の過去

 

 

高額な取引きが決まった事もあって、大野さんはご機嫌で俺にモデルの依頼をしてきた。
開栓したワインも談笑しながらあっという間に二人で半分以上を飲んでいた。

「あっ、そうだ。忘れるところだったよ。これ、さっき真理っていう人の母親って人から
預かったんだけど・・・」

俺はさっきの御仏前ののし袋を大野さんに差し出した。
すると、明らかに大野さんの顔色が一変した。

「ここに来たの?」
「うん。もう直ぐ戻るから上がって待ってるようにお願いしたんだけど、
時間が無いから俺から渡して欲しいって。」
「そ、そう・・・他に何か言ってた?」
「えっ、あー、何かこういう事されるのは困る、みたいなこと言ってた。」
「そうか・・・」
「それって法事にあなたが包んだものなんでしょ?娘さんとは知り合いだったの?」
「うん・・・まあ。」

大野さんがこの事について話したくなさそうなのは、俺にも直ぐに分かった。
最初から訳ありっぽかったから、これ以上突っ込んで聞くのは良くないと察した。
人には知られたくない過去なんて誰にでも有る。
俺だって、あの事件の事はもう誰にも話したいとは思わないもの。
相手から聞かれなくて済むのなら、こちらからあえて話す必要は無いと思ってる。
だけど、好きな人の事を知りたいと思うのもごく自然な事で
俺は大野さんの事を実は殆ど何も知らない。気にならないと言えば嘘になる。
そして現にその話をし始めた途端に大野さんの元気が無くなったから
余計に俺は、その真理という人と大野さんの関係が気になって仕方ない。
そうかといってストレートには聞けるはずもなく、話題を変えるかのように
遠回しに質問を投げ掛けてみた。

「大野さんって、付き合ってる人いないの?」
「えっ?」
「恋人とかいないの?」
「な、何で?」
「だって、もしそうなら、俺がここに居座るとマズいんじゃないかなって・・・
彼女も気軽に家に誘えなくない?」
「本当にそんな人いたら最初からここにニノのこと住まわせたりしないでしょ。んふふっ、何言ってんの?」
「そ、そうだよねぇ。」
「だけど、おいらにはニノを引き留める権利は無いから。
何時でも帰りたくなったらおいらに気を遣わずに帰っていいんだよ。」
「うっ、うん。分かってる・・・」

俺がここに居たいと思って住まわして貰ってるんだもの
帰っていいとか言われるとちょっと寂しくなってしまう。
だけど付き合ってる人がいないって聞いて、そっちはホッとした。

「だけど大野さんくらい優しい人、女の子はほっとかないでしょ。」
「えええっ?なんだよ、さっきから・・・」
「本当はいるでしょ?」
「だから、いないってば。そういうニノこそ好きな人いるんじゃないの?」
「いますよ。」
「へ、へえ・・・」

目の前にね・・・って言いたいけど、流石にそれは言えない。

「打ち明けたの?」
「えっ?」
「好きだって・・・」
「まさか。」
「片思いなんだ?」
「だって、俺こないだまで警察に捕まってた人間なのよ?
そんな奴から好きだとか告られても、普通困るでしょ。」
「そうかなぁ。」
「そうだよ。」
「でも、あれはニノは悪くないよ。思い切って打ち明けたら?」
「え?いいの?」
「だって、そんなこと言ってたら一生恋愛なんて出来ないよ?」
「それじゃ、付き合ってくれます?」
「え・・・?あっ、一人じゃ心細いんだ?うん、いいよ。
おいらで良ければ、何時でも付き合うよ。」
「はっ?」
「えっ?何??相手の所に一人で行くの心細いんでしょ?」
「あ・・・そういう意味じゃないです。」
「ええっ?分かんないよ。どういう意味?」
「大野さんってホント鈍いんだね。」
「えええっ?」
「もう、分かんないんだったらイイですよ。」

俺の言い方も確かに軽かったとは思う。
だけど、あれを告白と一切受け取ってくれない大野さんは鈍感過ぎるよ。
俺は大野さんの過去なんて、もうどうでもいいんだ。
大野さんだって、俺の過去には拘らないと言ってくれてるし
本当に付き合ってる人がいないのなら、この俺にも十分チャンスはあるはず。
それに、昨夜の賠償金の話は抜きで誘って欲しかったって言葉・・・
あれは絶対に冗談には聞こえなかったもの。
まあ、焦る必要もないかな。俺はとりあえず絵のモデルを頼まれた訳だし。
これから告白するチャンスなんて幾らでも巡って来るだろう。

夕食を終えても、大野さんは俺にもう少し付き合ってと
水割りを作って暫く二人で飲んだ。
普段飲まないアルコールのせいで、俺は完全に酔っ払ってしまい
それから先の大野さんと、どんな会話を交わしたのかすら覚えていなかった。


 

続く

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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