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第14話 別荘

 

 

 

 

「別荘?」
「うん。どうせ描くなら集中して描きたいって思って。
画廊はちょっと暫く閉館して明日から軽井沢にある別荘に行こうかと思って。」
「あ、あなた別荘とか持ってるの?」
「別荘って言っても大した事ないよ。多分ニノが想像してるような
立派なお屋敷とかじゃないから(笑)」
「だって軽井沢でしょ?あの有名なリゾート地の。」
「何時も作品を描くときはそのアトリエを使ってるんだ。
本当は海外にでも行きたいところだけど、今回は軽井沢で我慢して。
2週間位は滞在するつもりだから、泊まりの準備しといてくれる?」
「わ、分かった。ね?俺、何を持ってくといい?」
「とりあえず数日分の着替えとか有ればいいよ。
向こうにある程度生活必需品は揃ってるから。」

画廊って、儲かるんだな。
見た感じ、そこまでお金持ちには見えなかったけど
1千万円出しても大野さんの絵を欲しいという人が居るんだから
大野さんは若いけど、信じられない程儲かってるに違いない。
それにしても、あの老人が絵を依頼してくれた事で
2週間も大野さんと別荘で過ごせることになり、
それがとにかく嬉しくて、モデルを引き受けた事も忘れて
まるで旅行にでも誘われた気分だった。

そして、その翌朝俺達は東京駅から新幹線に乗り軽井沢へ向かった。
軽井沢の駅からはレンタカーを借りて、途中ショッピングモールに寄って
食糧を調達してから別荘へ向かった。
有名なホテル等が立ち並ぶ場所から更に10分程車を走らせた場所に大野さんの別荘が有った。

「あ、ここだよ。」
「わぁ。めっちゃお洒落じゃん!」
「そう?この辺じゃ一番小っちゃいログハウスだけどね。」
「十分過ぎると思うけど。」
「気に入ってくれたんなら良かった。でも半年以上来てないから
先ずは掃除しなきゃ。」
「あー、掃除なら俺に任せて。」

元々インドア派の俺も、ここまで雰囲気の有る別荘見て普段ならそこまで
テンション上がる事も無いけど、この日ばかりはハイテンションになってた。
先ずは部屋中の窓を開けて空気を入れ替える。それから1時間掛けて家じゅうを掃除した。
大野さんはその間に水回りの掃除と夕飯の支度をしてくれた。
最後にベッドメイクしようとして、一つだけ問題が浮上した。
寝室の事だ。

「大野さん?」
「ん?」
「寝室、二つ有るけどどっち使うんですか?」
「あー、どっちでも好きな方使うと良いよ。」
「え・・・」

ま、そりゃあそう答えるだろうとは最初から予測は出来た。
でも、こんな雰囲気ある場所にまで来ていて、何も御座いませんでしたって
それじゃ幾らなんでも切な過ぎる。
どうにか大野さんをその気にさせる方法はないものか
あれこれ作戦を練ってみる。

夕食の準備が出来て、俺は大野さんと向かい合わせに席に着いた。
大野さんは料理が趣味なんじゃないかって思うほど、料理の腕前はなかなかのものだ。
ただ自分ではあまり食べない。人に振舞うのが好きらしくて、自分は酒ばかり飲んでる。
この日も大野さんは俺が美味そうに食べてる様子を見て満足そうにビールを飲んでた。
俺はタイミングを見計らってさっき捻り出した作戦を仕掛けてみることに。

「あのさ、大野さん?」
「ん?」
「軽井沢のホテルに夜な夜な幽霊が出る話知ってます?」
「えっ?知らないけど・・・」
「有名な話ですよ。知らないの?」
「知らない。」
「お化けって信じます?」
「わかんない。何で?」
「見たことは?」
「ない・・・」
「俺は有ります。」
「へえ、そうなんだ?」
「本当ですよ。」
「誰も疑ってないよ。」

勿論そんなの嘘の作り話だ。
大野さんに怖い話したら、一人で寝れないとか言い出さないかなって思って始めた作り話だけど
大野さんにはそういうの全然効果無いってことが判明した。
それよりも、話してる自分が怖くなるという最悪の事態に陥る俺。

「俺ね、めっちゃ怖がりなんです。」
「んふふっ・・・そんな感じする。」
「でしょ?それで、あの・・・お願いがあるんだけど。」
「お願い?」
「うん。もう知らない土地とかホント無理なの。一緒じゃ駄目?寝室・・・」
「え・・・いいけど。」
「ホント?」
「んふふふ。怖いんでしょ?」
「そ、そうなの。」
「いいよ。同じ部屋で。」
「あっ、ありがとう。」

何とか作戦は成功。
あとは、どうにかしていい雰囲気を作れば良いだけの事。

「風呂は?」
「えっ?」
「風呂は大丈夫か?」
「あっ、風呂?そ、そうそう、お風呂も怖いかも。」
「一緒に入る?」
「あ、うん・・・お、お願いします。」

まさかの展開。大野さんから風呂まで一緒にって言うと思わなかったから
一瞬焦ったけど、多分これ以上のチャンスは無い。
だけど、女の子を口説き落とすのとは訳が違うから、簡単にいかない事も分かってる。
何とか自然に気持ちが伝えられないかな。

「それじゃ、おいら風呂溜めて来るよ。」
「う、うん。」

大丈夫。流れは今俺に来てる。
誰が何と言おうと俺は大野さんが好きなんだ。
フラれることを恐れていては一歩も前には進めないよ。
俺は若干緊張しながらも覚悟を決めた。

続く

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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