truth
第15話 バスルームの告白
チャポンッ・・・
別荘の浴室は家族向けに作られてるから、二人で入っても余裕の広さだ。
話の流れで俺は大野さんと一緒に風呂にまで入ることになってしまったけど
大野さんに対して恋愛を意識しちゃってる俺にとっては、
お互いが一糸まとわずって状態はかなりヤバイ。
いわゆる2段階も3段階もすっ飛ばしちゃったって言うのと同じことなんだもの。
流石にまだ心の準備ってものが出来てなくて、まともに大野さんの裸を直視して
平静でいられるかどうか自分でも分からないから不安でしかない。
それに、自分だって大野さんに身体を見られちゃうわけで、それは恥かしいに決まってる。
かと言って、幽霊が怖くて一人で入れないとか言い出したのは自分なんだから
今更別々で、とも言える訳もなく・・・俺は大野さんよりも一足先に脱衣所で服を脱ぎ
さっさと一人で湯船に浸かってた。
それから遅れる事数分後、大野さんが浴室に現れた。
薄いタオル1枚を腰に巻いて、掛かり湯をした後は
完全にタオルを取っ払って湯船に浸かり俺の間隣に並んで腰を下ろした。
下を向いたら完全に見えちゃうから、俺はなるべく大野さんから視線を逸らした。
「怖かった?」
「えっ?」
「今ちょっとだけ一人で入ってたじゃん。怖かった?」
「ああー・・・う、うん。怖かった、かな・・・」
「ニノって、女の子みてえだな。」
「そ、そう?俺はこれでも男ですよ。」
「んふふっ。そうだな。おいらと同じもの着いてるよな?」
「そ、そうですよ。ちょっと怖がりって言うだけで・・・」
「ここはファミリータイプで作られてるから、東京の自宅と違って風呂も広めだから。
一緒に入ってもあんまり狭く感じないだろ?」
「う、うん。」
「だけどなあ・・・」
「えっ・・・」
「あー、うん、おいらニノの身体見てムラムラしたらどうしよう(笑)」
「えええっ///こ、怖いよぉ」
「んふふっ、冗談だよ。」
いやいや、冗談とかじゃ無くて良いけど。もはやそれが俺の狙いでも有るんだし。
「ほら、背中流してやるよ。」
大野さんはそう言って湯船から出て洗い場の椅子に腰を下ろした。
「い、イイですよ。」
「何で?遠慮すること無いのに。」
「そう?それじゃ、お願いしようかな。」
これはある意味チャンス到来かも。
「あのさ、俺、身体洗う時、ボディタオルとかそういうの使わないんだよね。」
「え?何?それって素手で洗ってるってこと?」
「そう・・・だから、背中も出来れば素手でお願い出来るかな?」
「へえ。珍しいな。うん、いいよ。素手で洗えばいいのね?」
「う、うん。」
大野さんは俺の背中側に回ってボディソープを手に取って優しく背中を洗い始めた。
ボディソープの泡がくるくると大野さんの手のひらで転がされ
最初はなんだか擽ったくって仕方なかったけど、それを我慢してるうちに
何かめちゃくちゃ変な気分になって、勝手に俺の下半身が元気になってしまった。
タオルでそこは隠してはいるものの、何処から見ても突起してるの分かるし
これが大野さんにバレるのは時間の問題だ。
やっぱりお願いなんてするんじゃなかったかな・・・
だけど、もう今更状態だし、背中だけじゃ全然物足りなくなってる。
大野さんはまだ何も気付いて無いのかな?
俺はじれったくなって、思わず大野さんの方を振り返り
大野さんを目掛けて思いっきりダイブしてしまった。
「おわっ・・・二、ニノ?」
「ご、ゴメンね。じつは俺、あなたの事が好きなの。」
「ニノ・・・」
このタイミングが正解だったかどうかは俺にも分からないけど
遂に気持ちを打ち明けてしまった。
「ごめんね。迷惑だよね?俺なんかにそんな事言われても・・・」
「それって本気で・・・言ってるの?」
「本気だよ。こんなこと、冗談で言えるわけないし。」
「おいら、ニノが思ってるような男じゃないかもよ?」
「大野さんがどんな人でも、俺は大野さんが好き。」
「おいらなんかでいいの?」
大野さんは抱き着いてる俺の身体を離し、真っ直ぐに俺の目を見つめた。
俺は大きく頷いて見せると、少し戸惑った感じにも見えたけど
そのまま吸い込まれるようにお互いが引き寄せられ
どちらからでもなく二人の唇がゆっくりと重なった。
思い切って打ち明けて正解だった。
大野さんは少し戸惑いながらも、ちゃんと俺の事を受け入れてくれた。
バスルームではそれ以上の事は特に何もしなかったけど
当然ながら、その日の夜に俺達は愛し合い、
それはかなりどちらも緊張してガチガチではあったけど、
心も身体も一つになれた。
続く