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第21話 守るべきもの

 

 

それから連日相葉さんから携帯に着信が入る様になった。
恐らく俺の事を心配してくれての事だろうとは思うけど
大野さんとは何が有っても離れるつもりなんて無いから
当然俺はその電話には出なかった。
そんなことが有って数日後、俺を心配した相葉さんは
平日の昼間、画廊に姿を現した。

「あ、相葉さん・・・」
「ニノ、何で電話に出ないんだよ!」

普段は穏やかな人なんだけど、ちょっと怖い顔で俺を睨みながら
受付の俺の方に近付いて来た。

「な、何しに来たの?」
「何しに来たの?じゃないだろ。ずっと電話してるのに
全然出ないから心配してたんだよ。」
「ニノ、友達?」
「あっ、う、うん・・・前話してた相葉さん。」
「どうも。大野です、初めまして。」
「あっ、あなたが・・・初めまして。僕相葉と言います。」
「あ、相葉さん?あなた絵なんか興味ないでしょ。
俺に話なら仕事終わってからにしてくんないかな。」
「ニノ、良かったら奥でお茶でも飲んでゆっくりして貰ったら?
ここは俺一人でも大丈夫だからさ・・・」
「で、でも・・・」

自分が真犯人だと疑われてる事も知らない大野さんは
勤務中なのにわざわざ俺と相葉さんに時間をくれた。

「すみませんね。お仕事中なのに・・・」
「いえいえ。どうぞごゆっくり。」

俺は仕方なく奥の控室に相葉さんを案内して
コーヒーを注いで相葉さんの目の前に置いた。

「これ飲んだら帰ってね。」
「ニノ、ちょっととにかく座ってよ。」
「俺はもう何も話す事は有りませんから。」
「こないださ、いきなりああいう話されて戸惑う気持ちも良く分かるよ。」
「べつに俺は戸惑ってる訳じゃ無いです。あんな妄想の作り話を
真に受けるヤツとか普通いませんよ。」
「妄想ね・・・まあ、そういう風に捉えるのも自由だけど。」
「あなたはあの櫻井って人の話を鵜呑みにしてるの?」
「ニノにはさ、翔ちゃんがただの探偵ごっこでもしてるみたいに見えるかも知んないけど
一応聞き込み取材に関して言わせて貰えば俺達こう見えてもプロだから。」
「ね?おたくの会社って暇なの?」
「ええっ?」
「だってそうじゃない。自分が気になるからって、あの事件に関しては
上からも記事にはしないとストップ入ってるって聞いた。
事件は確かに闇に隠れてる部分はある。俺の正当防衛で幕を閉じた。
俺が納得してないならまだしも、俺がそれでいいと言ってるんだよ。
なのにそれをまた一から紐解いて・・・どうしたいんだよ。」
「ニノはそんな奴じゃないじゃん・・・」
「相葉さん?」
「俺、昔からお前の事知ってるけどさ、虫も触れないこと知ってるよ。
そんなニノを利用して、罪から免れようとしてるヤツが居るのが
俺達は許せないんだよ。」
「気持ちは有難いよ。でも、だからって何で大野さんなの?
俺にとってどんなに大切な人なのか、あなた分かる?」
「ニノ・・・」
「もし、世界中が大野さんを疑ったとしても、俺は、俺だけは
あの人を信じる・・・だから頼むからもうあの事件の事は忘れて。」
「もしかして・・・好きなの?」
「そうだけど・・・悪い?」
「お、驚いた・・・も、勿論ニノが誰と恋愛しようが勝手だし
幸せになる権利は有るよ。だけど・・・」
「だけど?大野さんとじゃ幸せになれないと言いたいの?」
「それは・・・」
「櫻井さんと相葉さんがこの話を他で喋らなければ良いだけの事だよ。
そもそも喋ったところで、何も証拠がなければ警察だって動いては
くれないでしょうね。所詮妄想にしか過ぎないってね・・・」
「ニノ・・・」
「仮にその妄想が真実だったとして、あの人が鬼や悪魔だったとしても
俺はそんな事はどうでもいいんだよ。」
「そこまであの人の事・・・」
「分かってくれたら戻って櫻井さんにも伝えて。
この件からは一切手を引いてくれって。」

相葉さんは大野さんを真犯人と思い込んでるから
その表情は複雑だった。
そりゃ、俺の事を真剣に心配してくれてる事はよく分かる。
だけど、大野さんを悪く言う奴は、例え幼馴染みの相葉さんであっても
身内であっても敵だ。決して許すわけにはいかないんだ。
あの人の事はこの俺が守る。
俺が命に代えても守り抜く。

「もう帰っちゃったの?」
「えっ?う、うん・・・」
「もっとゆっくりして貰って構わなかったのに。」
「いいんですよ。どうせあの人も仕事中抜け出して来たんでしょうから。」
「彼も雑誌編集部の人なの?」
「あ、うん。」
「凄い優しそうな人だよね。今度うちの宣伝お願いしようかなぁ。」
「え?」
「だって、週刊誌ならお客さんの幅も広がるかもしんないでしょ?」
「そ、そうだね・・・あっ、そうそう・・・大野さん?」
「ん?何?」
「あの絵だけど・・・どうして売らないんですか?」
「あの絵?」
「真理さんの。」
「ああ・・・あれは・・・彼女の形見みたいなものだから・・・」

そう呟いた大野さんの目が一瞬寂しそうに見えた。
俺の気のせい?
やっぱり、櫻井さんの憶測は本当の話なんだろうか?
だとしたら、大野さんはまだ真理さんの事が・・・

「ねっ、ニノ?」
「はい?」
「次の休み、何か用事ある?」
「いや、べつに今のところ何もないかな。」
「ちょっと付き合って欲しいんだけど・・・」

続く

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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