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第22話 墓参り

 

 

 


太陽がじりじりと照り付ける8月。画廊は丁度お盆休みに入った。
俺は大野さんから付き合って欲しい場所が有ると
電車を乗り継いで、とある場所へと連れて来られた。
そこへ向かう途中、大野さんは俺に目的地を伝えようとしないから
俺も付いて行けば分かる事だと自分からは何も聞かず
他愛もない話をしながらその場所へと向かった。

そして辿り着いたその場所は沢山のお墓が並んでる墓苑だった。
ここって、もしかして?
俺はそれを見た時、直ぐにそこが真理さんの遺骨が眠っているお墓だと気付いた。
俺が思った通り大野さんは「石川家之墓」と書かれた墓石の前に足を止めた。
そして、ここに来る途中で買った花を生け、線香に火を点けて
そのお墓をジッと見つめ、静かに目を閉じて合掌した。
俺もとりあえず横に並び、一緒に手を合わせた。

「ここって、あの真理さんって人のお墓ですよね?」
「えっ・・・何で分かったの?おいら石川って苗字はまだ言ってなかったと思うけど。」
「な、なんとなくですよ。」

大野さんからは真理さんとだけしか聞いていなかったから
不思議に思うのも無理はない。だけど俺は櫻井さんから聞いてたから
実は真理さんが石川って苗字だってことはとっくに知っている。
だけど、俺の知り合いが裏で隠れてコソコソと真理さんの事を調べて
俺に色々と吹き込んでると知ったらきっと不愉快なはずだから
この時はこう答えるしかなかった。

「ゴメンね。こんなところに付き合わせちゃって・・・」
「う、ううん・・・」
「実はまだ言ってなかったと思うけど、彼女はおいらの高校の時の美術の教師だったんだよ。」
「えっ?教師?」
「そう。知り合った当時は真理さんもまだ独身だったんだけど、
おいらが卒業して直ぐに結婚が決まって、地方の議員の奥さんになった。
今の画廊を始めた直ぐに、真理さんが直接お祝いに駆け付けてくれて
どうしてあなたは自分の絵を飾らないの?って、あなたは絵の才能が有るから
自分が描いた絵を飾りなさいって、そう言ってくれた。
おいら、そう言われても何を描いたら良いか分からないって言ったら
自分がモデルになるから、描いて欲しいって・・・
そういう経緯が有って、3か月も掛けて描き上げたのがあの絵。」
「そ、そうだったんだね。」
「だけど、真理さんはもうその頃からご主人の暴力を受けていて・・・
今思えば、逃げ出すタイミングを見計らってた様に思う。」
「真理さんは、ご主人の暴力に耐えられなくなって自殺を?」
「直接の原因はそうじゃないんだ。おいらと真理さんの事を
何者かが勝手に不倫してると勘違いして彼女を強請ったんだ。
ご主人からただでさえDVを受けてたから、例え間違った情報でも
ご主人に伝われば大変な事になると思ったんだろうな。
精神的にどんどん追い込まれてしまった真理さんは
その若い命を自ら断った。
真実がどうであれ、おいらさえ真理さんと関わらなければって
ご両親の想いも有って、おいらは葬儀にも参列させて貰えなかったんだ。」
「そんな・・・あなたは何も悪くないのに。
単に巻き込まれただけじゃない。モデルの事だってあなたから
お願いしたのなら話は別だけど・・・」
「うん・・・でも、そう思われても仕方ないと思ってる。」
「だ、だけど実際に不倫なんてしてなかったんでしょ?」
「するわけないじゃん。だけどもうイイんだよ。
おいらが色々言ったところで言い訳にしか聞こえないだろうし
真理さんが戻ってきてくれるわけでもないしね。」
「そ、そりゃそうだけど・・・ね?大野さん・・・」
「ん?」
「真理さんをゆすってた相手って誰なのか知ってるの?」
「いや・・・特定は出来ないけど、ご主人の仕事柄考えると
不倫ネタを使って陥れようと企んでた奴は少なからず居るだろうな。」
「なるほどね・・・」
「何で?」
「あ、いや、真理さんがあまりにもお気の毒だから・・・
それにしてもどうして真理さんはそんな酷い暴力男なんかと
一緒になったんでしょうね。」
「本人の話じゃ、無理矢理お見合いさせられたと言ってた。」
「政略結婚か・・・何か色々訳ありそうだね・・・
議員と繋がっておけば得するヤツが真理さんの身内にもしかすると居たのかもね。」
「そこまで彼女の家庭の事情に踏み込んで聞けなかったから
おいらは実際のところは詳しくは知らないけどね。」
「あなたと真理さんは、教師と生徒、画家とモデルの関係ってだけだものね。」
「うん。」

やっぱりな。これが全てだよ。
大野さんの目は嘘なんか付いてるようには見えない。
あの二人が真理さんを脅してた事も知らないみたいだし、やっぱり大野さんは限りなく白だよ。

「でもどうして俺をここに連れて来たんですか?」
「えっ?ああー・・・ニノが最近真理さんの事をやたら気にしてるみたいだったから。」
「ええっ?そ、そんなことは・・・」
「んふふふ。真理さんが聞いたら喜ぶと思って、報告に来たんだ。」
「ほ、報告?」
「うん。それと、まだ連れて行きたい所はここだけじゃないんだ。」
「えっ?」
「いいから、行こう。」

大野さんはそう言って、俺の手を掴むと墓苑の駐車場の方に歩き出した。

続く

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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