truth 26

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第26話 不穏な足音

 

 

その夜、大野さんの実家に泊まる事になった俺は、
風呂に入り、おばさんが準備してくれたパジャマに着替えて
大野さんと寝室で一緒に横になった。
軽井沢の別荘で一線を越えてからは、俺達は寝室も共にしていたし
もう何の抵抗もないんだけど、おじさんやおばさんにまで公認っていうのが
まだちょっと俺には恥ずかしさがあって、べつに見られてる訳じゃ無いけど
自然に体は大野さんに背を向けてしまう。

「あのさ・・・さっきの話だけど・・・」
「ん?ああ・・・アメリカの?」
「そう。」
「イイよ。返事は急がなくても。」
「俺がもし行かないって言ったらどうするの?」
「え?うーん・・・どうしよう?」
「一人でも行く気ですか?」
「数週間の旅行とは違うから、ニノがもし行かないってなるとそうも簡単に会えなくなるもんな。」
「そんなの・・・俺絶対嫌ですから。」
「えっ?」
「あなたに会えなくなるなんて・・・嫌だ。」

俺は堪らず大野さんの方に寝返りを打って、そのまま大野さんに抱き着いた。

「んふふっ、そんなのニノだけじゃないよ。おいらも嫌だよ。」

大野さんもそう言って俺を包み込むように抱き締めた。

「だったら、このまま何処にも行かないで!」
「えっ・・・」
「ううん、今のは冗談。俺も一緒に行く。あなたに着いて行く。」
「ニノ・・・」
「俺なんか、あなたの足手まといにしかならないかもよ?それでもいいの?」
「足手まといだなんて・・・何時も傍に居てくれたらそれだけでいいんだ。」
「何か・・・プロポーズされてるみたい。」
「うん、プロポーズと一緒だよ。おいら、一生ニノのこと離さないよ。」
「大野さん///」

その後、めちゃくちゃ熱烈なキスを交わす俺達。
何?この恋愛ドラマみたいな展開・・・
でも、今まで生きてきた中で最高に幸せだと俺は思った。
濃厚なキスはエスカレートして、大野さんは更にその先を求めようとしてる。
俺はそんな大野さんの手を捕まえて待ったを掛けた。

「ダメ・・・今夜は我慢してよ。」
「何で?」
「下におじさんもおばさんも居るんだよ?」
「寝てるから大丈夫だって・・・」
「やだ。一晩くらい我慢して。」
「分かったよ・・・」

ちょっと残念そうに口を尖らせてたけど、最後は諦めて
手と手は繋いだまま眠りに就いた。
そして翌朝俺達は早々にマンションに帰る事にした。

「何よ?画廊はお休みなんでしょ?もう2,3日ゆっくりしていけばいいのに。」
「俺らも暇じゃないんだよ。色々とやることあんだよ。」
「ニノくん、また是非遊びにいらしてね。」
「ありがとうございます。」

俺達も暇じゃないだなんて、嘘ばっかり・・・
本当は何も予定なんて立ててもいないのに。
大野さんは、夕べ俺からストップ掛けられたものだから
一刻も早く帰りたかったに違いないんだ。
勿論それは俺も一緒だけどね。

そして、大野さんのマンションに帰り着いて数時間後の事だった。
溜まってた洗濯や掃除を済ませ、リビングでいちゃついていると
突然インターホンが鳴った。

「ん?誰だろう?荷物でも届いたかな?」

大野さんはソファーから立ち上がるとモニターで相手を確認した。

「どちら様でしょうか?」
「〇〇署の者です。大野智さんのお宅はこちらでしょうか?」
「警察?あ、はい・・・」

警察が大野さんに何の用なの?
大野さんも不思議そうに頭を捻りながらドアを開けた。

「大野智さん、ですね?」
「は、はい。そうですけど・・・」
「この二人の事をご存知ですよね?」
「え?あ、ええ・・・」
「この二人の事件のことで二、三お聞きしたい事が。署までご同行願います。」

その二人というのは、俺の事件で殺害されたあの二人の事だった。

「ま、待って!大野さんはあの事件で証人台に立ってくれた人ですよ?
もうあの事件は全て裁判で解決したはずです。それなのにどうして?」
「ニノ・・・大丈夫だって。二人の事で質問したいだけみたいだし。」
「え?だって意味が分からないよ。何で大野さんが任意同行なんて・・・」
「直ぐに戻るから、ニノは心配しないでここで待ってて。」

大野さんは興奮気味の俺の肩をポンポンと叩き
特に何時もと変わらない表情で二人の警察官に連れられて
マンションを出て行ってしまった。
一人取り残されてしまった俺は、とにかく居ても立ってもおられずに
慌てて松本さんの携帯に電話を入れた。

「あっ!もしもし?松本さん?俺です、二宮です・・・」
「おおっ、久し振り。どうしたの?」
「お願い、助けて!」
「ど、どうしたの?」

続く

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投稿者: 蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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