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第3話 事件の真相

 

 

梨沙は高校の同級生だった。
2年の時にバレンタインデーに告白されて、
その当時俺は彼女とかそこまで欲しいとは思ってなかったんだけど
付き合うってどうすればいいのかいまいちピンと来なかったし
だからと言って断る理由もないから、なんとなく彼氏彼女ってお互いで認め合って
時々一緒に下校したり、休みの日に公園行ったりはしてた。
俺が殺人容疑で逮捕された事を知った梨沙は、拘置所にも数回面会に来てくれた。
その時は、俺を信じるって言ってくれてたし、戻って来るまで待っててくれるとも言ってた。
最後に彼女に会ったのは初公判の直後だった。

執行猶予付きの有罪判決が下されて、流石に梨沙の両親が俺みたいな殺人犯とは
付き合うなと強く反対されてた事も想像は付いてた。
梨沙はただ泣きながら俺にごめんなさいと繰り返すだけだった。
今思えば、梨沙はこれが最後と俺に伝えに来たのかもしれない。
事件の真相はこの俺にだって分からない。
松本さんにはあんな風に言ったけど、他に真犯人が居るなんてことを口走ったのも
自分がそう思い込みたいだけなのかもしれない。
もしかすると俺は意識が朦朧としながらも
必至に犯されまいと抵抗して二人を殺害してしまったのかもしれない。
流石にこればかりは再現VTRでも残していなければ誰にも憶測としか思われない。
だから松本さんはこれ以上首を突っ込まず、忘れる方が良いと言ってるんだろうけど。

それから3日後の週末の事、俺はアルバイトを休んで松本さんから渡されたメモを頼りに
その証言してくれた人の自宅へ向かうことにした。
何時もは着古したTシャツにジーンズという簡単な装いの俺だけど
一応よそ行きの服を纏って髪型もセットして、失礼のないようにと
途中、洋菓子店で手土産まで買って万全の準備で家を訪ねた。

携帯の地図を開いて住所を入力し、辿り着いた場所は
駅から15分程に位置する少し古びたマンションだった。

「ここか・・・」

裁判の証人に立ってくれたと言っても、俺はその人とは何の関りも無い。
一度裁判の時に顔を見ただけで、実際は話したこともないんだから事実上は初めましてなわけだ。
まあ、でも彼が居なかったら俺は執行猶予付きの実刑判決を食らってた訳だから
ホント、感謝でしかないんだけど。

エレベーターでその人の部屋のフロアーまで上がり、
部屋番号をもう一度メモで確認して呼び出しのベルを押す。

ピンポーン・・・

「はぁい。どちら様?」

恐らく本人の声だろう。

「あっ・・・私、二宮と言います。」
「二宮?あぁ~ハイ、ちょっと待って貰えます?」
「は、はい・・・」

玄関のドアの前に立って待っていたら、ゆっくりと扉が開かれた。

「こ、こんばんは。」
「どうも・・・」
「すみません。突然お邪魔して。あの、今って大丈夫ですか?」
「うん。どうぞ、散らかってるけど・・・上がって。」
「あ、いえ・・・直ぐに失礼するんで。」
「こんな所で立ち話もなんでしょ?どうぞ、本当に上がって。」
「そ、それじゃちょっとだけ。お邪魔します。」
「うん、どうぞ。」

中に入ると男の一人暮らしといった感じの飾りっ気のない殺風景な部屋だった。
俺はリビングのソファーに座る様に促され
その人はキッチンでコーヒーを淹れてくれた。

「あっ、もうどうかお構いなくです。」
「せっかく来てくれたのに、そういうわけにはいかないよ。」
「すみません・・・あ、これお口に合うか分からないですけど良かったらどうぞ。」
「ええっ?いいの?わざわざゴメンね。こんなことまでしなくていいのに。」
「その・・・どうしても御礼が言いたくて・・・」
「あー・・・」
「その節は助けて頂いて本当に有難うございました。」
「俺はありのままを証言しただけ。それだけだから。」
「その事で一つだけあなたにお聞きしたい事があるんです。」
「もう、警察と松本って弁護士に話したことが全てなんで、これ以上何を聞かれても同じだと思うけど。」
「どうしても気になってるんです。」
「何を?」
「俺はあの事件は別に真犯人が居るんじゃないかって思うんです。」
「・・・そうかもしれないね。」
「あなたもそう思うでしょ?」
「うん、君が人殺しなんてするような子には見えないから。」
「あなたはあの2人とはネットで知り合ったと言ってましたよね?」
「あ、うん。」
「そしてそこでのチャット履歴から二人が俺を暴行するとほのめかっしてた事を
そのスクリーンショットを裁判所に提示して立証してくれたんですよね?」
「そうだけど。」
「そのチャットって複数でやり取りしてたんですよね?」
「うん。」
「そのメンバーの中に怪しいヤツが他に居なかったかなって思って。
ほら、二人の事を心底嫌ってるヤツとか、恨みを持ってそうなヤツ。」
「君が言いたい事は分かるよ。でもそういうのももう全部警察が調べ上げてるはずだよ。」
「文章だけじゃ見えない事ってあるでしょ?大野さんの直感で、あれっ?って思った人とか居ませんでした?」
「悪いけど、そういうのは全然気付かなかった。」
「そっか・・・」
「君は人殺しなんかやってないよ。俺は真犯人のことは分からないけど
君が無罪になって本当に良かったって思ってるよ。」
「あなたの・・・大野さんのお陰です。」
「もう、そんな頭下げなくていいってば。」
「でも、どうして見ず知らずの俺なんかのことを助けようと思ったんですか?」
「えっ?・・・うーん・・・どうしてかな。まぁ、君じゃなかったから
証言台に立ってたかどうかは分からないかな。」

その人はちょっと照れ臭そうに俯きながらそう言った。

 

 

 

続く

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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