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truth 30

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第30話 完全犯罪のシナリオ

 

 

 
「大野さん?」
「ニノ・・・」
「帰ってたんだ?」
「うん、ニノも出掛けてたんだ?」
「うん、相葉さんとちょっと・・・」
「ちょっと大事な話が有るから座って。」

大野さんはいつになく真剣な顔で俺にそう言った。

「な、何?」
「いいから座って。」
「警察から何か言われたの?」
「うん・・・」

大野さんは右手で自分の下顎の辺りをしきりに触りながら
俺にどういう風に説明しようかと悩んでる感じに見て取れた。
それからフゥーッと大きく息を吐いて

「ニノ、暫くここを出て自宅に戻っててくんないかな。」
「えっ?な、何?急に・・・」
「悪いけど画廊も閉めようと思ってる。」
「は?何で?」
「このまま一緒に居るのはマズい・・・」
「どーしてよ?」
「当面の生活費は渡す。ニノには迷惑掛けないから心配しなくていい。」
「俺は何でかって聞いてるの。何だよ、一方的に。
 馬鹿じゃないの?それって手切れ金渡すから今直ぐ別れてって言われてるのと同じじゃん。
 何で俺が一緒に居るとマズいのよ?それと警察の尋問と何が関係あるの?」
「まだ現時点では確たる証拠が挙がってないから今日は帰されたけどさ、
 おいらが真理さんとあの二人を殺害した容疑で逮捕状が出るのは時間の問題だと思う。」
「な、何言ってるの?」
「勿論おいらはやってない。」
「当たり前じゃない。」
「頼むからおいらの言う通りにしてくれ。」
「待ってよ。意味が分からない。あのね、俺今日実は真理さんのお母さんに会いに行ってたの。」
「えっ?マジで?」
「うん。相葉さんがたまたま俺の事件の事で色々調べていたら
 真理さんの事件と繋がって、一度実家に話を聞きに行ったらしくて。」
「そ、そうだったんだ。」
「今回大野さんが警察から任意同行を受けたのは、真理さんのご両親が真理さんの自殺という
 死因に納得できないって、他殺の線でも調べて欲しいと申し出てたらしくて
 死亡してから既に3年も経ってるのに、ここに来て急に警察が動き出したの。
 何かちょっとおかしいと思わない?」
「う、うん。」
「あいつだよ・・・」
「あいつ?」
「石川って男。真理さんの元ご主人の。あいつが全て一人で企てた事に決まってるよ。
 花火大会で偶然会ったでしょ。あの時、再婚と子供の事に触れたら
 あいつ物凄い動揺してたよね。多分自分が浮気してた事がバレると思って
 あなたを野放しに出来ないと思ったんじゃないかな。
 真理さんも、あの二人も、浮気を隠す為の口封じに利用されて殺されたんだ。
 そしてこの俺が襲われ掛けて必死の抵抗をしてあの二人を殺害する。
 まあ、襲わせる相手は誰でも良かったんだろうけど、たまたま二人は
 俺に目を付けてただろうから、そこはもうどうしようもないけどね。
 で・・・結局俺があの二人を殺したって事で事件は終結したと思ったけど
 あなたに子供を見られてしまった以上、マスコミに話されでもしたら
 政治生命が脅かされるでしょ。だからあいつは本当ならあなたも消したい
 ところなんだろうけど、流石に何度も危険な橋は渡れないと思ったんだろうね。
 だからあなたを殺すことまでは考えなかった。
 あなたが二人を利用して真理さんから多額の金を強請り取り、
 自殺まで追い込んで、その事実を隠す為にあの二人に俺を襲わせて
 殺害したことにする。そうすれば全部丸く収まると思ってる。」
「仮にそれが事実だとしても、もうこの件に関しては特にニノの事件に関しては
 目撃者も他の証拠も何も出なかったわけで、ニノがこのまま俺とここに居たら
 ニノも実は俺の共犯者だったって疑いが掛けられるかもしんない。」
「俺達が知り合ったのは、あの事件の後でしょ。関係無いよ。」
「もし俺に容疑が掛けられた場合、俺の話なんて都合がいいように作られたものとしか
 受け取ってくれないよ。」
「とにかく、俺の顧問弁護士になってくれた松本さんにも話はしておいたから大丈夫。
 真理さんのお母さんも、あなたと真理さんは不倫関係なんて事実はないと
 俺から説明したら、信じてくれたと思うし・・・ただね、何か一つだけ
 気になる事があってさ・・・」
「え?何?」
「真理さんのご家族は真理さんが石川からDVを受けてた事を知っていたみたいなの。
 なのに、石川の事を擁護するんだよね・・・」
「真理さんはさ・・・政略結婚させられてたんだよ。」
「えっ?」
「真理さんのお父さんは事業主で、当時経営がうまくいかずに
 石川氏の支援を受けて事業のピンチを乗り切ったらしい。
 だから、ご両親は石川氏に頭が上がらないとも聞いたことがある。」
「それ、本当なの?」
「真理さんに聞いたから、本当だと思うよ。」
「ビックリ・・・なんか面倒な話だなぁ。」
「うん。まぁ、ニノの話も確かに有り得る話だとは思うけど
 やっぱり、証拠が揃わないとさ・・・とにかくおいらが捕まれば
 どっちにしてもニノに迷惑が掛かるのは事実だよ。」
「石川のヤツ・・・そんなに上手く事が運ぶと思うなよ。
 この俺がどんな手を使ってもその完全犯罪のシナリオを暴いてみせるから!」
「ニノはこれ以上危険な事に首を突っ込まないでよ。
 とにかく、明日にでもニノは自宅に戻るんだ。
 俺は早いうちに弁護士に相談に行くから。」

大野さんと離れてなきゃならないなんて。もう最悪としか言いようがないよ。

続く

 
 
 

 
 

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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